展覧会情報

第46回 清原悦志の仕事展 Hommage

1989年12月05日(火)〜12月16日(土)

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清原悦志の仕事は、独特の抽象図形を駆使、近代デザインの源流を表現に生かしながら、それを頑なまでに固持して、流行的なものに左右されることのない数少ないデザイナーの一人であった。特にタイポグラファーとしての厳密さは自他共に認めるところで、ブックデザイン、エディトリアルデザインを中心に、極度に緻密な構成が、強靱なポエジーを漂わす特異な境地の開拓者であった。また一方で、日本の近代詩のリーダーの一人である北園克衛氏の主宰するグループVOUに参加し、純粋形象としての写真や立体造形を残している。その同人の詩人、清水俊彦氏はこう語っている。『私の詩集「直立猿人」の装幀、レイアウトが、最後の彼の仕事となってしまった。彼のタイポグラファーとしての厳密さには、ただ頭がさがるだけです。そうした意味で「ヴィトゲンシュタイン全集」の仕事は、ヴィトゲンシュタインの思考の厳密さにまさにうってつけのものだったと思います……』と。彼と私は、東京教育大学の構成学科に学び、共に専攻科に残り卒業した。その学生時代より培われてきたデザインの理論は、彼の天性の感性と合いまって見事に豊熟し、一直線にひかれた線上を変えることなく走り去った「造形の詩人」である。昨年11月1日早朝突然、彼は新しい仕事場へと旅立った。その一年後、この展覧会をGGGと東京デザイナーズ・スペースの二つの会場で、同時に開くことができた。再び彼の率直で爽やかな感性に相まみえることができるのは、この上もなく幸である。それを私は、真眼の奥深く焼きつけたいと、心新たに思うのである。 (勝井三雄)