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学芸員レポート
福島/伊藤匡|愛知/能勢陽子|大阪/中井康之広島/角奈緒子
「アーツ・チャレンジ2008──新進アーティストの発見in愛知」/「dot. オープンスタジオ」/「トヨタ・子どもとアーティストの出会い in 愛知」北山美那子ワークショップ
愛知/能勢陽子(豊田市美術館
アーツ・チャレンジ2008
 2月は、愛知県で若手作家の活動を観ることのできる機会が多かった。今年で2回目となる「アーツ・チャレンジ2008 新進アーティストの発見 in 愛知」は、愛知県が若手作家育成のため開催している公募展である。85企画の内、選考により選ばれた15人のアーティストが、愛知芸術文化センターと愛知県陶磁資料館の、展示室として使用されていないいわば空きスペースに作品を展示した。今回は愛知県ゆかりという枠は取り払われ、どこからでも応募できるようになった。それは望ましいことなのだが、応募者数が少ないのは残念だった。それには想定されているスペースが、展示に活かしづらいという問題もあるのかもしれない。関心を惹かれる作家もいたが、全体としてはどこかちぐはぐで、新鮮味に欠けるような印象を受けた。愛知県で若い作家が活動できる機会はまだまだ少ないし、思い切って場所を異化するようなプランや、意外な発想で場所性さえも超えていくようなアイディアが出てくれば、もっと面白くなっていくだろう。
 そしてこちらも2回目となる、dot.のオープン・スタジオ。dot.は1999年にアーティストラン・スペースとしてオープンしたが、現在は9名の作家の共同スタジオになっている。そこに2階のochiai takeshima studioも加わり、2月16日の1日だけスタジオを開放し、パフォーマンスやフード・インスタレーション、バンド演奏を行なった。前回と同様、この日も会場に溢れるほどの人が訪れ、dot.がこの地域における若手作家の重要な活動拠点となっていることを改めて認識した。
ワークショップ風景
ワークショップ風景
撮影:山村冴子
 今回殊に関心を引かれたのは、北山美那子がトヨタ自動車のメセナ活動である、「トヨタ・子どもとアーティストの出会い in 愛知」の一環として行なった、豊田市の東保見小学校におけるワークショップである。北山による4度の授業を通し、5年生の2クラスが班に分かれて、「仕事占い」「ラッキーフード占い」「前世占い」など、それぞれのテーマに併せ、連想ゲームのような形態で来場者を占う。子どもたちは見ず知らずの大人でも、「占い」を通してコミュニケーションを取ることができ、今回はむしろこちらの相談相手である。そして子どもたちから「大人になったら何になりたいですか?」という質問を受け、慌てて「子どもの時何になりたかったですか?」と聞き返されたりする瞬間に、はっとさせられたりもする。北山は1995年から子どもを対象としたアートスクール「ミナコース」を開催してきており、子どもの教育に対する姿勢──自らや他者に目を向けさせるという意味での──は、これまでの経験に根付いた確としたものである。北山は、子ども特有のファンタジーと微かな気付きを巧みに織り交ぜながら、未来に向けた幸せなイメージを教室の中に作り出していた。

アーツ・チャレンジ2008──新進アーティストの発見 in 愛知
[美術部門(展示)]
会期:2008年2月13日(水)〜2月24日(日)
会場:愛知芸術文化センターのパブリックスペース、アートスペース、愛知県陶磁資料館のパブリックスペース
[音楽部門(公演)]
会期/会場:2008年2月20日(水)/愛知県芸術劇場コンサートホール
会期/会場:2008年2月23日(土)/愛知県美術館ロビー

●dot. オープンスタジオ
会期:2008年2月16日(土)
会場:dot.
北名古屋市加島新田加島西91

●トヨタ・子どもとアーティストの出会い in 愛知:北山美那子ワークショップ
会期:2008年2月19日(火)
会場:豊田市立東保見小学校

学芸員レポート
 2008年の今年は、移民船「笹戸丸」がブラジルへ向けて出航してから、ちょうど100年に当たる。愛知県は日本で最もブラジル人の多い県であり、豊田市にも多くのブラジル人が居住している。また昨今優れたブラジルの現代作家に出会う機会も増えてきたことから、日伯交流年の今年に、ブラジルの現代美術を紹介する展覧会の準備を進めている。そんななか、先に触れた北山美那子による東保見小学校でのワークショップは、ブラジルとの繋がりという意味でも興味をそそられるものであった。というのも東保見小学校は、住民の半数近くがブラジル人という、日本一の外国人集住地域である保見団地の中にあり、児童にも日系ブラジル人が多い。学校の中には、日本語、ポルトガル語、英語の三カ国語であいさつの言葉が掲げられた張り紙や、ブラジルを紹介する手作りポスターなども目に付き、国際的な雰囲気である。北山美那子の「占い」ワークショップでも、「日本語、英語、ポルトガル語OK!」といった宣伝文句を掲げた班も多く、授業ものびのびとして楽しげな雰囲気に満ちていた。豊田市に来た10年ほど前には、外国人に慣れない日本人と日本の慣習を知らないブラジル人との間に軋轢が生じ、しばしばニュースにも取り上げられるほどで、日本の地域社会が外国人に対して閉鎖的であるという事実を実感させられることが多かった。10年ほどの時が経過した現在、同じような問題は引き続きあるのだろうが、それでもかなり改善されてきたのではないだろうか。少なくとも東保見小学校を見る限り、日本人の子どももブラジル人の子どもも十分コミュニケーションを取り合っており、こうした子どもたちが、これからの日本のどこででも起こりうるこうした状況を変えていってくれるのではないかという希望を抱かせてくれた。
[のせ ようこ]
福島/伊藤匡|愛知/能勢陽子|大阪/中井康之広島/角奈緒子
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