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学芸員レポート
―1/15号掲載ー
札幌/鎌田享青森/日沼禎子福島/伊藤匡東京/住友文彦東京/南雄介豊田/能勢陽子福岡/山口洋三

―2/1号掲載―
東京/岡塚章子|東京/関次和子大阪/中井康之神戸/木ノ下智恵子高松/毛利義嗣山口/阿部一直
「愛知曼陀羅――東松照明の原風景」/「宇治山哲平展」
東京/東京都庭園美術館 岡塚章子
2006年の気になる展覧会、動向
 新世代の映像表現の旗手として注目された1950年代から半世紀あまり、戦後日本を代表する写真家として国際的な評価を確立した東松照明。本展は、東松の最初期の作品から60年代半ばまでのモノクロ作品約200点で構成される。
 1930年に愛知県名古屋市で生まれた東松は、15歳の時に廃墟となったこの街で敗戦を迎え、それに続く占領の日々を金網越しに基地を見ながら暮らした。愛知大学在学中に、写真を表現手段として選んでからは、すぐに廃墟や基地、傷痍軍人など戦争の傷跡の残る現実にカメラを向けている。
 本展の出品作品はすべて東松の故郷である愛知に関係するもので、愛知と近郊の四日市を中心に撮影された未発表作品が多く含まれる。これらの未発表作品は、今回、東松自身がネガを選び直し、キズなどをコンピュータで修正し、この展覧会のために全く新たにプリントされたものであり、ただ単に年代順に並べるのではなく、それぞれのシリーズとして再構成されるという。
 戦後の日本と日本人へ鋭い視線を投げかけ、見る者の想像力を強く刺激する斬新な作品群を次々と生み出してきた東松照明が、その原点を自ら振り返ると同時に、戦後日本の原風景に迫る展覧会である。 

会期と内容
「愛知曼陀羅――東松照明の原風景」
会場:愛知県美術館 愛知県名古屋市東区東桜1-13-2 TEL. 052-971-5511(代)
会期:2006年6月2日〜7月23日

2006年担当の企画および抱負
 「宇治山哲平展」は、○△□といったシンプルなかたちに、鮮やかな色彩を駆使した作品で知られる画家、宇治山哲平(1910―86)の50年に及ぶ活動を振り返る展覧会である。
 神童と称されるほど絵が巧みな少年で、早くから画家への道を志した宇治山は、評論家の福島繁太郎に作品を認められたのをきっかけに、国展を主な発表の場とするようになる。長らく生活のための職業を持ちながらの日々が続き、画業に専念する生活に入ったころには70歳を超えていた。しかし精力的な制作活動は衰えず、生涯のほとんどを故郷である大分県を拠点に活動した。
 画家としての専門教育は受けず、中央の画壇からは離れた立場で制作を続けた宇治山は、さまざまな模索を経つつ、長い年月をかけて独自のスタイルを確立させていった。カラフルな色彩とあまたの幾何学モチーフが作り出す抽象的で装飾的な絵画作品。そのベースには、意外にも仏教美術や古代オリエント美術への強い憧れがあるという。宇治山の作品は、いずれも大らかでユーモアにあふれ、厳しくも常に遊び心に満ち、明朗な画家の心象風景が刻み込まれている。
 本展は、首都圏においては実に30年ぶりの本格的な回顧展となる。晩年に描かれ未完に終わった大作を初公開するほか、画家のアトリエの再現も試みる。

会期と内容
「宇治山哲平展/ Teppey Ujiyama 1910-1986: A Retrospective」
会場:東京都庭園美術館 東京都港区白金台5-21-9 TEL. 03-3443-0201
会期:2006年2月4日(土)〜4月9日(日)

[おかつか あきこ]
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