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展覧会レビュー
小吹隆文/福住廉
10/9〜10/21
BIWAKOビエンナーレ2007──風土 Genius Loci
9/30〜11/18 近江八幡市旧市街地[滋賀]
BIWAKOビエンナーレ2007 ─風土 Genious Loci─
近江八幡市の旧市街地を舞台に開催されたアートイベント。築100年以上の古民家などを会場に、国内外40名以上のアーティストが参加した。サブタイトルに「風土」とあるように、展示のキモは建物や環境とのマッチング。例えば大舩真言は酒蔵で絵画のインスタレーションを試み、井上信太は古民家一軒をまるごと自分の世界に作り変えた。また、和室の中に巨大な鉄の立体を設置した市川平のように、敢えて異質なものを投じる逆パターンの展示も。展示空間との折り合いという意味では、概ねよく練られた展示が行なわれていたと思う。ただし、地域の歴史性にまで踏み込んだ展示は斎藤寛の写真作品ぐらいで、少々寂しかったのも事実。地元住民への一層の浸透も課題であろう。今後地道に続けることでそれらをクリアしていけば、個性ある地方発のアートイベントとして評価が高まるのではなかろうか。
[10月13日(土) 小吹隆文]
山口典子展 PEPPERMINT MOTHER
10/13〜11/3 MEMギャラリー[大阪]
山口典子展 PEPPERMINT MOTHER
画廊での個展は初となる山口が作ったのは、横たわる女性に無数のチューインガムが取り付き、覆い尽くしてしまう映像作品と写真作品。口の中でくちゃくちゃ噛むガムが素材ということもあって、非常に生理的で触覚性の強い仕上がりとなった。以前の作品《KEITAI GIRL》では全身に携帯電話を貼 り付けたコスチュームをまとった彼女だが、同作の主題がコミュニケーションだったのに対し、本作では人間形成というより根源的なテーマが追求されている。深いテーマを概念でなく感覚で追求する点がユニークで、今後の展開が大いに注目される。
[10月17日(水) 小吹隆文]
安齊重男の“私・写・録”1970-2006
9/5〜10/22 国立新美術館[東京]
写真家・安齊重男の回顧展。70年から06年までの記録写真やアーティストのポートレイトなど3000点あまりを一挙に見せた。今となっては写真でしか見ることのできないインスタレーションや美術関係者の若かりし頃の姿も見物だったけれど、何より面白かったのは観客の反応。時系列に沿って過去から現在に沿って写真を見ていくせいか、写真の内容とはまったく無関係に、それぞれの個人的な記憶を語りはじめる鑑賞者の声が次から次へと耳に入ってきた。「この頃はやんちゃしていて、みんなに迷惑をかけていた」「当時は遠距離だったから楽だった」などなど。芸術だろうがなんだろうが、こういうところに写真の醍醐味がある。
[10月18日(木) 福住廉]
森のなかで
10/20〜12/9 和歌山県立近代美術館[和歌山]
森のなかで
木の国転じて紀伊國と呼ばれた和歌山らしく、森をテーマにした企画展。田辺市立美術館、熊野古道なかへち美術館との共同企画で、先の2館を経て和歌山市内にやって来た。出品者は戸谷成雄、銅金裕司、矢櫃徳三、押江千衣子、内山りゅう、高木正勝、栗田宏一の7名で、絵画、彫刻、インスタレーション、映像などバリエーション豊かな作品が見られた。テーマからエコロジカルな視点が強いことを予想していたが、実際には説教臭さを上手に回避しており、私自身はそこに最も共感を憶えた。これについては、巨視的なスケールで畏怖的世界を作り出した戸谷成雄や、弱肉強食の生存競争が繰り広げられる場としての森から着想した高木正勝の存在が大きい。彼らを選んだ学芸員に拍手。
[10月20日(土) 小吹隆文]
クリストファー・バックロー展
10/13〜11/25 ギャラリー夢創館[兵庫]
クリストファー・バックロー展
夢の中で出会った友人・知人をモチーフにして、アルミホイルに2万5000個ものを穴を開けて等身大のシルエットを作成。それをピンホールカメラに装着して、極めて美しいモノタイプの写真作品を作り出している。2万5000という数は、聖書に出てくる人間の寿命70年の間に昇る太陽の回数に依るらしい。光の粒子に還元された肉体=人が一生に出合う全体験・全情報ということか。肉眼では見えないオーラを写し取ったかのような神秘性と同時に、人間の存在を簡潔明瞭に表現した技量に感心させられた。
[10月21日(日) 小吹隆文]
Index
9/21〜9/23
三俣元──光の午後
酒百宏一──銀座の賜物
都市との対話
ミオ写真奨励賞2007入賞作品展
9/24〜9/29
Yokohama Boogie Under the Influence
イリヤ・カバコフ『世界図鑑』絵本と原画
Monotype展
陳文令 展 メタモルフォーゼ
芸術テロとシャーマニズム
津田直作品集『漕』出版記念イベント「やがて、図は景となる」
10/2〜10/4
現代美術の皮膚
三瀬夏之介「君主論」
鎌田仁 展
佐藤有紀 展
10/5〜10/6
ギュウとチュウ 篠原有司男と榎忠 展
「日本画滅亡論」展
三瀬夏之介 展──日本画復活論
サイクルとリサイクル
天体と宇宙の美学
10/9〜10/21
BIWAKOビエンナーレ2007 ──風土 Genius Loci
山口典子 展 PEPPERMINT MOTHER
安齊重男の“私・写・録”1970-2006
森のなかで
クリストファー・バッファロー 展
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