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プライバシーステートメント
展覧会レビュー
村田真/酒井千穂
10/2〜10/10
石川直樹「NEW DIMENSION」
9/19〜10/2 銀座ニコンサロン[東京]
オーストラリア、ノルウェイ、アルジェリア、インド、北海道など世界各地に遺された先史時代の壁画や線刻画を撮ったもの。といっても、壁画や線刻画の写真は半分くらいしかなく、あとはそこに行くまでの道程や、その場所の自然、そこに暮らす人々の暮らしなどがとらえられている。つまり、この写真展の主人公は先史美術ではなく、撮影者の石川直樹であり、彼がそこへ向かうあいだの気分なのだ。そんなもん余計だとも思うが、そうした現実を併置することで壁画や線刻画の普遍性(むしろ彼岸性というか)がより強調されるのだ。
[10月2日(火) 村田真]
岡部昌生×港千尋
9/24〜10/6 ギャラリーQ[東京]
岡部昌生×港千尋
今年のヴェネツィア・ビエンナーレ日本館の報告展。といってもビエンナーレは11月21日までやってるので、そこで展示されているヒロシマのフロッタージュが来るわけではなく、ヴェネツィアやパリで擦りとったフロッタージュと、港の撮った記録写真を展示。今年はヴェネツィアには行けなかったが、日本館に関しては社交辞令を除いてあまり評判はよくなかった。実際はどうだったんだろう。
[10月2日(火) 村田真]
稲田美織 展──伊勢神宮
9/18〜10/6 ワダファインアーツ[東京]
稲田美織 展──伊勢神宮
伊勢神宮と、周辺の自然を撮った風景写真。3点ほど表装して掛軸に仕立てた写真があった。なんかヘンな感じ。
[10月2日(火) 村田真]
三瀬夏之介 展
10/1〜10/14 Neutron[京都]
三瀬夏之介 展
イタリアへ留学中の三瀬が一時帰国して個展を開催。和紙を継ぎ足した巨大な画面には、現在彼が活動の拠点としているフィレンツェの風景があちこちからモコモコと湧き上がってくるように描き出されていた。ワインのラベルや包装紙などのコラージュとともに、古い建物や山の風景のなかに飛行機が飛び、富士山や大原美術館の建築も出現する。さまざまなイメージが墨や錆という日本画の手法で繊細に表されているかと思えばダイナミックにも展開する三瀬の「風景」。歴史のなかでさまざまな文化や文明が生み出されてきた一方で、破壊され消失していくもの、そこに沈む絶望感も孕んだ絵画世界は、今回いっそう拡大した迫力と魅力を放っていた。帰国後の発表がまた楽しみになった。
[10月2日(火) 酒井千穂]
大竹伸朗「毎日と絵。」
10/3 大阪成蹊大学芸術学部[京都]
大竹伸朗「毎日と絵。」
大阪成蹊大学芸術学部で開催された公開講座。「『美術を目指す』と言う場合の挫折とは、ただ美術業界に(翻弄されて)『負けている』だけに過ぎない」、「そもそもそこには自分と絵(作品)しかないじゃないか」というリアルな言葉に心揺さぶられたのは学生だけじゃなかったと思う。「この得体の知れない衝動なんだよ」と紹介されたのは、昔、テレビ番組の「探偵ナイトスクープ」で取り上げられた、天気のいい日にひたすら崖から海に飛び込む男性の映像。大勢の聴講者でうまった会場もさることながら、大竹氏来校の日までの学内の歓迎ムードも尋常でないほどの盛り上がりで、その絶大な支持を改めて思い知った。映像、立体、テキスタイル作品などをインスタレーションして空間そのものを創り上げる「Niceguy?プロジェクト」は、昨年、滋賀県で開催された「第2回 湖族の郷アートプロジェクト」にも参加するなど、積極的な活動を見せる学生のチーム。彼らがせっせとつくった校門そばの2階建ての歓迎空間は、当日、憩いのバー(?)と化していた。大竹氏へのオマージュ作品<<イスに座ったジャリおじさんに座るイス>>が並んだド派手な装飾の建造物は、ときには雨にうたれ、ずぶぬれになりながら完成させた労作。気概は作業光景を見ていてもビシバシ伝わってきて、心打たれるものがあった。私にもその良い刺激が連鎖した。ありがとう。
[10月3日(水) 酒井千穂]
みかんぐみ「シゴセン」
10/6〜12/21 BankART金庫室[神奈川]
みかんぐみ「シゴセン」
「シゴカイ」にある「金庫室」での「みかんぐみ」の個展。注釈が必要だ。「シゴカイ」とは、BankART1929向かいの本町ビル4-5階にある建築家やデザイナーのスタジオの総称で、「金庫室」はその4階にある金庫室だった空間を改装したギャラリー名、「みかんぐみ」はそのシゴカイに入居している建築家のチーム。てなわけで、みかんぐみはBankART1929と同じ1929年に竣工したこの本町ビルを読み解く作業から始め、床上137センチの壁に引かれた線に注目し、これを「シゴセン」と名づける。このシゴセンに沿って金庫室の壁に10円玉を一列に貼りつけ、その上に5円玉、下に1円玉を敷きつめた。使ったお金は「シゴセン円」というオチかと思ったら、30万円近いという。よくも大枚はたいたもんだが、もちろん回収できるからね。
[10月6日(土) 村田真]
松本平の神仏 百柱をたてる 千住博(←「博」の「、」はナシ)
10/22〜11/11 松本市美術館[長野]
松本平の神仏 百柱をたてる 千住博(←「博」の「、」はナシ)
松本平の代表的な仏像・神像の数々を集めた展覧会。特に木食山居の作仏に焦点をあて、廃仏毀釈の波や、戦争、生活スタイルの変貌などに翻弄されながらも、地域の人たちによって守り継がれた仏像の数々が並んでいた。仏像の背後に千住博(←「博」の「、」はナシ)の「滝」を展示し、さまざまな色の照明が加えられた演出は過剰だったかもしれない。どちらの魅力も薄めているようにも思えたけれど、それにしても山居仏の穏やかな表情は実に尊く、それらを大切に受け継いできた人々の信仰の思いがうかがえて、心打たれる。強烈なインパクトで忘れられないのは、亡者が三途の川を渡る際に衣を剥ぎ取り、生前の罪の重さを測る奪衣婆の《奪衣婆坐像》。恐ろしくも表情がどこかユーモラスで、あの世とこの世の間にある存在の不思議な魅力をたたえていて何度も前に立って見入ってしまった。見に行ってよかった。
[10月7日(日) 酒井千穂]
ニューアート展2007林敬二と3人のアーティスト
10/10〜29 横浜市民ギャラリー[神奈川]
ニューアート展2007林敬二と3人のアーティスト
約40年続いた「今日の作家展」が終わって、昨年から「ニューアート展」が始まったわけだが(「今日の作家展」のときも入場料をとってたっけ?)、どこがニューなんだかわからない。だいたい林敬二ってだれ?
[10月10日(水) 村田真]
Index
10/2〜10/10
石川直樹「NEW DIMENSION」
岡部昌生×港千尋
稲田美織 展──伊勢神宮
三瀬夏之介 展
大竹伸朗「毎日と絵。」
みかんぐみ「シゴセン」
松本平の神仏 百柱をたてる 千住博(←「博」の「、」はナシ)
ニューアート展2007林敬二と3人のアーティスト
10/12〜10/13
あるがせいじ新作展
岩尾恵都子 展
六本木クロッシング2007:未来への脈動
ロートレック展
美術のボケ──漫才の「ボケ・ツッコミ」でみる美術の笑い
シュルレアリスムと美術
出田郷 展
10/15〜10/16
狩野永徳
春日明夫のオモチャ箱展
「ルーヴル美術館展」記者発表
ハン・ヤジュアン「Travel Alone」
増山麗奈 個展☆ストップ・地球温暖化キャンペーン☆「WATER WARS〜いのちの水〜」
ビクトリア・ジットマン
10/17
尾角朋子 trace展
落合多武 展
山本桂輔 展「豊穣」
ミロスラフ・ティッシー
藤本由紀夫 静/聴
ウォーホル・ポラロイド・ポートレート
10/19〜10/20
鈴木理策「熊野、雪、桜」
青山悟「Crowing in the Studio」
真島直子「密林にて」
伊藤誠 彼方
城三和子 展
Nuno Circle 須藤玲子 展
奥田耕司 展
10/21〜10/22
BIWAKO ビエンナーレ2007
タイムクレヴァスとの出会い──横浜トリエンナーレ2008に向けて
かえっこバザールinアートタウン
PHスタジオ、ドキュメンタリー映画上映会「船、山にのぼる」
北原愛展──世界をどう区切るのか
池上将暢 展
10/24〜10/26
臼井良平 展「Sunday Remains」
「沈黙から」塩田千春 展
浅田政志 写真展 浅田家2007
SPACE FOR YOUR FUTURE──アートとデザインの遺伝子を組み替える
Candle キャンドル
10/27〜10/31
結 宮川尚子 展
イリヤ・カバコフ『世界図鑑』絵本と原画
継ぐこと・伝えること36「らくごとあそぼう」
アート×ダンス──横浜創造界隈のアーティストたち展
神戸ビエンナーレ2007
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