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展覧会レビュー

村田真 原久子

ドクメンタ11
6/8〜9/15 フリデリチアヌム美術館ほか
 
 
ドクメンタ11

早朝、フランクフルトからICEでカッセルへ。ドクメンタ見物も数えてみればもう5回目。馬齢を重ねましたな。事務局で取材の手続きをすませ、フリデリチアヌム美術館から見る。身近なものを黒く塗り込めたショーレ・フェイジュ、グリム兄弟が編纂した辞書の表紙を並べたエッケ・ボンク、強烈な光を浴びせるアルフレッド・ジャーなどが印象に残る。シリン・ネシャト、シャンタル・アッカーマン、フィオナ・タンらの映像は省略。途中でドクメンタの日本語ガイドを務める円賀貴子さんと合流し、いろいろ教えてもらう。今回の総合ディレクターを務めるオクイ・エンウェゾーは、なにかテーマを掲げているわけではないが、作品は反グローバリズムや反植民地主義を主調低音としていること。出品作家も欧米に偏らず、しかも幅広い世代から選んでいること。そして昨年から「プラットフォーム」と称して世界各地で討論会をおこない、「ドクメンタ11」は「プラットフォーム5」に位置づけられていること、など。こりゃ便利。外に出ると、ヒゲを生やした連中がクラクションを鳴らして車を走らせている。今日は日本―トルコ戦。どうやらトルコが勝ったらしい。ああよかった。ドイツのなかでもとくにカッセルはトルコからの移住者が多いというから、日本が勝ったりしたらタダではすまされないもんね。デンマークのイェンス・ハーニンクは、街なかにトルコ人のジョークをがなりたてるスピーカーを仕かけ、住人の苦情で撤去されたというし。トルコ人は今回のドクメンタの陰の主役かもしれない。ドクメンタの展示はフリデリチアヌムのほか、カッセル駅、ドクメンタハーレ、オランジェリーでもやってるが、今回は新たにビール工場のビンディング・ブラウエライが加わった。駅では、コンゴのボディス・イセク・キンゲレスによる近代都市のモデルや、ベルント&ヒラ・ベッヒャーの建築写真が並び、ドクメンタハーレには、アーティストというよりアクティヴィストたちによるプロジェクトが紹介されている。オランジェリーとその前庭に点在するドミニク・ゴンザレス・フォースターらのインスタレーションを見て、今日はおしまい。フリデリチアヌムの前でビールを飲んでたら、ワコウ・ワークス・オブ・アートの和光清くん、シュウゴ・アーツの佐谷周吾くん、タウンアートの荒谷智子さんらと会い、市役所地下のレストランで食事。
[6月18日(火) 村田真]

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  るさんちまん、あいだだいや、林泰彦+中野展 他
6/10〜22 ギャラリー千[大阪]
 
 
るさんちまん、あいだだいや、林泰彦+中野展 他

IAMASの卒業生や在学生の4つの個展、1つのグループ展が一挙に開かれている。映像の作品が多い。時間的な拘束を嫌うのか、私より後から入ってきても皆私よりも先に出ていってしまう。映像を用いたものには最後まで見ないとわからないものと、途中でもはっきりクオリティのわかるものはある。なるべく全部見るようにするが、面白いものは時間の経過を感じさせない。そういう意味でも林+中野の作品には今後の期待がかかります!!
[6月18日(火) 原久子]

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ドクメンタ11
  6/8〜9/15 ビンディング・ブラウエライ[バルセロナ]
 
 
ドクメンタ11

ビール工場のビンディングへ。円賀さんによると、ここに全体の4割ほどの作品が集中しているらしい。実際、ここがいちばん密度も濃いしバラエティに富んでいる。壁を壊し床にコーヒー豆を敷きつめたインスタレーションで、「絶対に売れない作品」を標榜するブラジルのアルチュール・バリオ、展示室にアトリエを再現し、本人もここに滞在して制作しようとした(でも高齢で実現できなかった)クロアチアのイヴァン・コジャリク、ナイジェリア人の両親のもとロンドンに生まれ、植民地時代のイギリス貴族の愚行を皮肉ったインカ・ショニバレ、建築家が見落とす建築に着目し、スケボーのためのプールを制作したシンパークなどの作品に、今回のドクメンタの方向性がよく表れている。すなわち資本主義美術の批判であり、ポスト・コロニアリズムのアートだ。ほかにもルイーズ・ブルジョワやアネット・メッサジェといった大御所から、ウィリアム・ケントリッジ、ピエール・ユイグら人気作家、フレデリック・ブリュリー・ブアブレ、ジョルジュ・アデアグボらアウトサイダー系のアフリカの作家、リュック・トゥイマンスのペインティングもある。最後に、ひとつだけ離れた場所にある作品を見に行った。車で15分ほどの距離にある、いかにも低所得者のための集合住宅の空地に建てた、トーマス・ハーシュホーンの「バタイユ・モニュメント」だ。ジョルジュ・バタイユにちなんだテレビスタジオ、図書館、カフェなどからなる複合施設、といえば聞こえはいいが、実体は材木やプラスチックなどチープな素材でつくったバラック小屋。その管理運営は近隣住人にまかせているらしく、トルコ人らしき若者がくつろいでいた。10年前の「ドクメンタ9」で、やはりひとり離れた場所にトルコ人たちとバラック小屋を建てた川俣正の「ピープルズ・ガーデン」を思い出したが、それより昨年の横浜トリエンナーレで畳敷きの解放区をつくった小沢剛の「トンチキハウス」に近いかもしれない。
[6月19日(水) 村田真]

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  マニフェスタ4
  5/25〜8/25 フランクフルト・クンストフェライン
 
  夕刻フランクフルトに戻る。晩飯にはまだ早いので、クンストフェラインの「マニフェスタ4」と近代美術館を見る。「マニフェスタ」は1996年から2年にいちどヨーロッパ各都市を巡回するビエンナーレ。今年はたまたまフランクフルトで開かれ(おそらくドクメンタに合わせたのだろう)、クンストフェラインのほか数ヶ所でも展示されている。出品作家は20-30代が大半で、映像が多くうんざり。そのあと近代美術館でコンテンポラリー・マスターズに接してほっとした。フランクフルトに来るたびに寄る、いかにもドイツなレストランで、いかにもドイツな料理を食う。
[6月19日(水) 村田真]
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田名網敬一 金魚の潜む絶景展
  6/20〜30 gm/graf[大阪]
 
 
田名網敬一 金魚の潜む絶景展

金魚伝来500年を記念した金魚本を出版するという。お祖父さんが珍品の金魚を大きな水槽に飼っていて、幼少の頃、その前の縁側で宿題をしたりしていて、金魚とのかかわりは随分と深そうだが、金魚は好きではないという。サイケデリックな色彩と大胆な構図。常にスタイルは変わらないのに時代的な感覚とのギャップがなくて、イケている田名網センセイ。夢と現実が交錯しているような話しを、実話としてトークでしてくれたときの、ちょっとイタズラっぽい微笑みは、きっとこれからも変わらないのだろう。
[6月20日(木) 原久子]

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フランクフルト散歩
 
  最終日、まずはシュテーデル美術館へ。ここは古典から現代までひととおりそろった総合美術館。10年前に来たときはあわただしく通りすぎたが、今回はたっぷり時間をかけて見る。見どころはやはりオールド・マスターズ。超一流品はないけれど、とくに北方ルネサンスと17世紀オランダ絵画が充実。ファン・アイクの「ルッカの聖母」は小さいながらも珠玉の作品。ロベール・カンパン、シュテファン・ロッホナーもすばらしい。それに比べれば、ボッティチェリの「若い女の肖像」など影が薄い。オランダ絵画ではレンブラントも悪くないけど、なんといってもフェルメールの「地理学者」。フェルメールのなかでは仕上げが荒く、評価も高くないが、それでも他を圧倒している。ここでばったり彦坂尚嘉さんと会う。今朝フランクフルトに着き、これからドクメンタを見に行くという。その前にシュテーデルを訪れるとは、さすが彦坂さん。たっぷり古典を堪能したあと、シュテーデルに隣接するクンストインスティテュート、フランケンシュタイナーホーフ、ポルティクスなどで「マニフェスタ4」の続きを見る。映像やメディアアートはもうそれだけで見る気がしない。てことはほとんど見なかったということだ。これからも映像作品は増え続けるんだろうか。それを無視して「美術ジャーナリスト」は続けられるんだろうか(すでになかば足を洗っているけどね)。ああ帰って岡本太郎を書かなくちゃ、と絶望的な気分に陥りつつ、飛行機のなかで爆睡。
[6月20日(木) 村田真]
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EMPATHY Art, Gender and Politics
エンパシー アート、ジェンダー、ポリティクス
  6/26〜8/9 fujikawa gallery/next[大阪]
 
  イスラエル、パレスチナ、ドイツ、日本のアーティストが参加した展覧会。出品者はすべて女性だ。〈アート、ジェンダー、ポリティクス〉こういった切り口でのグループ展に慣れたアーティスト達、あるいは自身の活動として作品を通して発言の機会を増やしたいと考えるアクティヴィスト達もいれば、そうでもない人も含まれていたのかもしれない。いずれにせよ、イスラエルとパレスチナのアーティストの作品が、同じ場に同じ条件で展示されることが可能な日本という国に問題提起をしてくれるだろうか。タマル・ラバンというイスラエル人アーティストが「She has a headache inher stomach」という映像作品を用いたパフォーマンスをオープニングに行なった。彼女がパフォーマンス中に唱っていた歌はパレスチナ人の友人から教えてもらった童謡だという。
[6月26日(水) 原久子]
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みやじけいこ展
  6/〜7/21 ina art gallery[大阪]
 
 
みやじけいこ展

「求愛行動」という3点が組になった壁面を用いたインスタレーションは、赤ちゃんと大人の女性を並べている。無防備にも見えるポーズが愛くるしいが、私たちを含む動物が求愛行動に出るのは、保護してもらいたいという信号を出しているということなのかナ。
[6月27日(木) 原久子]

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