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展覧会レビュー

村田真 原久子

  北野恒富展
  2/1〜3/23 東京ステーションギャラリー
 
 
北野恒富展
明治末期から昭和前期の浪花で美人画を得意とした院展の日本画家。「浪花画壇の悪魔派」というキャッチフレーズに惹かれて入ったが、甲斐庄楠音ほどの悪魔性はない。でも岸田劉生のいう「デロリとした美」は伝わってくる。ポスターや挿絵も手がけている。後日、別件で明治神宮の聖徳記念絵画館に行ったら、2番目に北野の作品があった。
[3月12日(水) 村田真]
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WE LOVE PAINTING
  12/21〜3/23 東京都現代美術館
 
 
WE LOVE PAINTING
「絵が好き」とは、なんとあからさまな、というか、なんとヤケッパチなタイトルか。副題に「ミスミコレクションによるアメリカ現代美術」とあるので、アメリカの大金持ちの実業家、スミスさんのコレクション展であることがわかる。と思ったら、よく見るとミスミではないか。ミスではないか、と思った。ミスミは同館の近く、江東区東陽に本社をもつ商社らしい。そのコーポレートコレクションを近所のよしみで借りてきたってわけだ。最初はリキテンスタインやウォーホルの版画が並んでいてガッカリしたが、先へ進むにつれ知らないアーティストが増えてきて、よくぞこんなリスキーなもんを集めたもんだと感心する。きっと佐賀町に店をかまえていた小山登美夫も売ったんだろうなあ、その金で新川の広いスペースに移れたんだろうなあ、などと妄想する。あくまで妄想だが。ところでこのコレクション、7年前に川村記念美術館でも公開されたらしいが、その川村にいた広本伸幸氏が「株式会社ミスミ アートコレクション、キュレーター」の肩書きでカタログに文章を寄せていて、これが実におもしろい。「標題のWe Love Paintingとは『ペンキ塗りが好き』とも訳せるのである」とか「日本人にとって、絵とは見るもの、描くものであっても、買うものではなかった」とか「資源の乏しい我が国にとって将来最も有望な資源のひとつが現代美術のはずなのだが、その認識は驚くほど低い」とか。
[3月12日(水) 村田真]
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MOTアニュアル2003「days」
  1/11〜3/23 東京都現代美術館
 
 
MOTアニュアル2003「days」
タイトルの「days」は「おだやかな日々」のニュアンス。最初に野田哲也の版画「日記」シリーズがあって、作家からテーマを導いたのではなく、テーマから作家が選ばれたことがわかる。あとは押江千衣子、上原三千代、染谷亜里可、高木正勝、小林孝亘とまあ、きわめてまっとうな破綻のない人選だ。それにしてもMOTアニュアルのカタログ、年々シンプルになっているような気が。
[3月12日(水) 村田真]
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小沢さかえ展
  3/4〜16 ギャラリーココ[京都]
 
 
小沢さかえ展 小沢さかえ展
山並などの風景のなかに動物が登場。キャンバスとキャンバスの間を壁に直接描かれたドローイングがつないでいた。もともと壁に描く予定はなかったが、展示をはじめてから描くことを決めたという。その判断は「吉」と出た感じである。
[3月14日(金) 原久子]
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梅木香里展
3/4〜16 ギャラリーココ[京都]
 
 
梅木香里展
野菜などをモティーフにした版画作品。表面と内側を平面のなかにそれも少ない色数で表現している。版画にしか出せない色の重なりやエンボス技法を巧みに取り入れ作品を完成させている。
[3月14日(金) 原久子]
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島袋道浩――川の流れを見ながら
  3/15〜4/12 SHUGOARTS[東京]
 
 
島袋道浩
新川に移転したSHUGOARTS最初の個展。島袋は作品を発表するとき、いつもその場所を見てから決めるので、画廊自体ができてなかった1カ月半前まではなにをやるか考えてなかったんだそうだ。でここを見て、前に隅田川が流れてる、協賛してくれるアサヒビール本社も隅田川沿いだ、知人がカヌーをくれるという、ならばカヌーに乗って隅田川を上り、アサヒビールに行ってビールをもらってこよう、それが作品だ、ということになった。こう書くといかにもお手軽そうだが、それを作品にできるのは島袋くらいしかいない。実際、そのビデオを見ると、カヌーに乗り込むとき橋の下から詩吟が聞こえてきたり、ぽつぽつ雨が降ってきて帰りつくころにはずぶぬれになったり、森美術館の関係で来日していたピエール・ルイジ・タッツィやアサヒビールの加藤種男ちゃんもカヌーにゲスト参加したりで、すっかりドラマができあがっているのだ。絶妙ですね。
[3月15日(土) 村田真]

島袋道浩 島袋道浩
オープニングには凧上げをします、と言っていたが、初日には行けなかったので、翌日の「凧上げ+スライド・トーク」に行く。中国で買ったという凧は、魚や蛸の形をしている。川べりの空に浮かんだ魚という構図はなかなか面白かった。スライド・トークでは、過去の作品の未公開だったプロセスが明かされたり、今年イタリアで出品するセラミックの国際展に関する話などを聞くことができた。協力をしてくれるアサヒビールまで、画廊のある新川からカヌーを漕いで飲み物を画廊主とアーティストが受け取りに行くドキュメント映像が流れ、実際に使ったカヌーやライフベストなどが展示され、壁には当日の様子が言葉で書かれていた。都市の時間感覚に変化を加えられた島袋さんらしさがいっぱいの個展だった。
[3月16日(日) 原久子]

また島袋くんの個展へ。本日のトークのお題目は「冒険と美術」。山は登りつくされているけど冒険家はなくならない。美術もやりつくされたといわれてるけど美術家はなくならない。エヴェレストが征服されたあとの冒険家は、メスナーや植村直己のように無酸素登頂を試みるとか5大陸最高峰制覇をめざすとか、とにかくだれもやったことがない新たな目標に挑戦するという。そして冒険家はあとになにも残さない。なるほど島袋くんと同じだ。なんとなく彼のヒミツに触れたような気がした。
[3月20日(木) 村田真]
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