学会発表

「共創におけるインターナルマーケティング手法」
研究成果発表

ISIDC2014 ISIDC 2014

サービスデザイン・ラボでは、サービスのイノベーションを生み出すため、様々なビジネス形態、ビジネス課題に適合したサービスデザイン手法の研究開発を進めています。今回は、慶應義塾大学武山研究室と共同開発した「共創におけるインターナルマーケティング手法」の研究成果を発表するため、マレーシアのクチンで開催されたISIDC 2014に参加してきました。

■ISIDC 2014(International Service Innovation Design Conference)について

ISIDCはサービスデザイン分野において、アジアで最初に発足した国際学会です。第4回目となる今回は、デザインと人間工学をベースにイノベーション創出を目指す研究機関InDI(The Institute of Design & Innovation)とUNIMAS(UNIVERSITI MALAYSIA SARAWAK)が主催となり、マレーシアのクチンで開催されました。今回のテーマは「New culture and Value」。学会では、サービスの生産性向上や持続的社会構築のためのサービス改善、サービスデザインを通じた地域活性化などに関する発表・ディスカッションが行われました。

■発表内容「共創におけるインターナルマーケティング手法」
について

まず、サービスデザインの特徴の一つとして様々なステークホルダーが連携して包括的なイノベーションを生み出す「共創」という思想があります。共創型でプロジェクトを進めていく為には、適宜必要なメンバーをアサインし、効果的なデザインツールを用いて、ビジネスを生み出していく必要があります。
しかし、そのような共創型プロジェクトは、立場や考え方の異なる様々なメンバーが集まるため、意思伝達や合意形成で障害が生じることが多いのも事実です。

その理由の一つとして、組織環境が挙げられます。従前の企業体系(特に日本企業で多い)は役割ごとに分断された縦割り組織が多く、組織ごとに最適化された文化やプロセスが形成されてきました。プロジェクトも工程毎に担当部署が入れ変わり、それぞれの組織に最適化されたやり方でプロセスが進められていました。
そのため、この縦割りプロセスで形成された異なる文化を持つステークホルダー達が共創する中で、意思伝達と合意形成が上手く行かないことが発生するのです。
(特に、様々なステークホルダーが加わり、具体的なサービスモデル・ビジネスモデルを構築していく段階でこの障害が発生しやすいです。(下図赤枠部分))

collaborate with various stakeholder サービスデザインプロセスと共創における障害

この課題を解決するために、共創における意思伝達と合意形成を円滑に進めることを特徴とした、サービスモデル・ビジネスモデル構築プロセスを体系化しました。

■サービスモデル・ビジネスモデル構築プロセスについて

service model process サービスモデル・ビジネスモデル構築プロセス

上図が私達の体系化したサービスモデル・ビジネスモデル構築プロセスです。
まず、サービスモデル・ビジネスモデル構築までのステップを6つに分解し、各ステップで「必要となるメンバー」と「合意形成を円滑に行ううえで障害となるキーファクタ」を整理し、更に、これらのキーファクタを解決するためのデザインツールを選定しました。
(※1)本研究課題を実践にて取り組むため、大日本印刷株式会社が運用するモバイル端末向け電子コミック配信サービス「まんがこっち」の将来の新規サービス開発およびその事業展開をテーマとして、サービスデザインプロジェクトを遂行しました。
本プロジェクトを通して創出されたサービスアイデア「Gift Quotes」の事業化検討に、私達の提案するサービスモデル・ビジネスモデル構築プロセスを適用しています。

■学会発表の反応・所感

学会では、サービスモデル・ビジネスモデル構築プロセスと、その実証実験(※1)を通じた手法の評価検証結果を発表しました。発表後のディスカッションでは(今回はサービスモデル・ビジネスモデル構築における共創手法の発表でしたが)アイデア発想における共創手法に関する質問を受けるなど、共創手法に関する関心を得られたように思います。また、実証実験で使用したデザインツールを紹介したところ、合意形成効果についても共感を得ることができました。
今回の学会は、プロダクトデザイン/デザイン工学/サービス工学の研究者が多く参加しており、様々な参加者とのディスカッションを通じて新たな視座が得られました。今回の学びを活かし、更なるサービスデザイン手法の開発・精緻化に引き続き取り組んでいきます。

(カンノ)

(敬称略)