ワークショップ開催レポート

デザイン思考とサービスデザイン

会津大学 および (株)Eyes, JAPAN では、東日本大震災で被害を受けた福島県に、新しいイノベーションを興すことを目的とした活動として「FUKUSHIMA HACKERS SPACE」を行っています。この活動の一環として、8月15日に「デザイン思考とサービスデザイン」を学ぶためのセミナーが開催されました。

サービスデザイン・ラボもこの活動に賛同し、セミナーにてワークショップを行いましたので、その模様をお伝えします。

今回は、「デザイン思考とサービスデザイン」をテーマに、実際に体験しながら学ぶワークショップを実施しました。

■デザイン思考とサービスデザイン紹介

まず、ワークショップの前半はデザイン思考とサービスデザインの考え方やプロセスについて、事例を交えながら紹介しました。

FUKUSHIMA HACKERS SPACE 「反復しながら新たな体験を提供していくデザイン思考のプロセス」について紹介しています。

デザイン思考とは、デザイン・コンサルティング会社のIDEOが提唱した概念です。

"人々の生活や価値観の洞察から、解決すべき問題を見極め、解決のためのデザインをプロトタイピングし評価する”というプロセスを繰り返しながら、新しいユーザー体験を提供していく方法です。

もともとデザイン分野で生まれた考え方ですが、新たな機会を見つけるための問題解決プロセスとして、幅広い分野で注目を集めています。 このデザイン思考をビジネスに適用できる形に発展させた手法が、サービスデザインです。

・デザインの対象を、個別の利用シーンからサービスを利用する際の行動プロセス全体へ広げて考えること
・生活者(ユーザー)だけでなく、サービス提供者の視点を入れてサービスをデザインすること
・多様なステークホルダーで共創し、サービスを創っていくこと(オープンイノベーション)

デザイン思考に以上の視点を加え、包括的なサービスを共創してデザインしていくことが特徴です。

また、デザインを進める上での手法やツールが整備されていることもサービスデザインの特徴です。 後半は、サービスデザイン手法の一つである「アクティングアウト」というプロトタイピング手法を使って、体験型のワークショップを進めていきます。

■アクティングアウト形式でサービスアイデアを考える

後半は、デザインプロセスの「観察>課題発見>解決策の発案>プロトタイピング」を体感してもらうため、アクティングアウト形式でサービスアイデアを考える体験ワークショップを行いました。(アクティングアウトとは、実際の環境を再現し、ユーザー体験を演技で表現しながらアイデアを創出・精緻化していくプロトタイピング手法です。)

今回は「リアルコミュニケーションが苦手な大学生の生活を、より幸せにするための体験を考えよう」をテーマにサービスアイデアを考えました。

(1) 演者がペルソナの生活を演技で表現し、全員でペルソナの現状と課題を理解

ペルソナがどのような生活をしているのか、風景を映したスクリーンの前で演技をします。演技をすることで、全員が同じペルソナのイメージを共有できます。

FUKUSHIMA HACKERS SPACE 学食での学生の行動を演技で表現しています。

(2) 発見した課題とアイデアを、演技(アクティングアウト)やペーパープロトタイピングで表現

ポストイットやハサミ、ペンを使ってペーパープロトタイピングをしていきます。作ったプロトタイプを使って演技をして、アイデアを共有します。

FUKUSHIMA HACKERS SPACE 「飲み会で会話のきっかけを作るためのアイデア」を演技で表現しているところです。

(3) みんなのアイデアを組み合わせ、アイデアを精緻化

様々なアイデアにみんなの発想が刺激され、さらに楽しいアイデアが出てきます。

FUKUSHIMA HACKERS SPACE わくわくするアイデアが出てきて、どう乗っかろうか考え中。

(4) サービスアイデアを演技で表現し、全員で検証

みんなで考えたアイデアを演技で表現しています。リアルな居酒屋での飲み会を想像しながら、アイデアの価値や実現性を検証していきます。

FUKUSHIMA HACKERS SPACE 「飲み会で、気になる子と仲良くなるきっかけを作るには?」

今回のワークショップでは、サービスデザインのポイントである、オープンイノベーションの視点やプロトタイピング、反復しながら進めていくプロセスを体験してもらいました。 個人でアイデアを考えるのではなく、「アウトプットしながら、みんなで一緒に創り上げていく」ことを通して、新たなアイデアが生まれていく楽しさを体感いただけたでしょうか?

(カンノ)

(敬称略)