ワークショップ開催レポート

サービスデザイン倶楽部 [ Vol.3 Blueprint ]

我々「サービスデザイン・ラボ」と、株式会社ロフトワークの社内活動がコラボレーション。
組織をこえて学ぶ・実践するコミュニティ“サービスデザイン倶楽部”というオンラインコミュニティを立ち上げ、月1回のペースでイベント(講演とワークショップ)を実施しています。


なんと今回で最終回。


サービスデザイン反復プロセスの最後のステップ「Step4:実施 -実現性の確認-」を行いました。サービスデザイン倶楽部Vol.0〜vol.2にかけて創出したサービスコンセプトと体験のラフイメージを“サービスブループリント”というサービスデザインのツールを使って、サービス提供者側のバックヤードを描きながら、技術的・ビジネス的実現性を確認しました。

一部始終をご覧いただく前に、ちょっとここで今まで実施してきたVol.0〜vol.2を振り返ってみます。

サービスデザイン倶楽部Vol.0〜vol.2のおさらい

サービスデザイン倶楽部では、サービスデザインの基本的な4つの反復プロセスに基づいて進行してきました。

Service Design Club サービスデザインの基本的な4つの反復プロセス

「Step1:探究 -気づきを発見-」では、お題である『リテール(小売店)』での嫌だった体験を“サービスサファリ”を使って共有し、一番興味深かった体験について探究すべく、“デザインブリーフ”という要件書を記載し、“ステークホルダーマップ”を使ってサービス提供者の関係性を可視化しました。

(詳細→サービスデザイン倶楽部 Vol.0)

「Step2:設計 -発案する-」では、“なぜなぜ5回”を使って生活者の本質的な課題を追求しながらインサイトを発掘し、それを解決するためのアイディエーションを“デスクトップウォークスルー”を用いて具現化しました。

Service Design Club デスクトップウォークスルーのアウトプット例

「Step3:再構成 -造って試す-」では、机上の空論から脱却するために、発案したサービスアイデアを“アクティングアウト”を使って演技で確かめました。

(詳細→サービスデザイン倶楽部 Vol.2)

包括的な視点でアイデアをカタチにしながら、ユーザーにとって満足できるサービスコンセプトと体験のラフイメージをデザインすることができました。


技術面・ビジネス面での実現性の確認

さて前回までで、ユーザーにとって高い満足度を与えられるサービスアイデアを創出できましたが…、まだユーザーの期待に応えただけの夢見がちのアイデアです。

今回は、ユーザー体験の良さを活かしたまま、「技術的に実現できるの?」「ビジネス的に儲かるの?」という技術的・ビジネス的実現性を、“サービスブループリント”を使って、サービス提供者側のバックヤードを描きながら、確認していきました。

“サービスブループリント”
ひとつのサービスを構成する個々の要素を特定し、その詳細を明らかにするツール。ユーザー体験を決定づける重要な要因や、それを支えるバックヤードの仕組みを可視化することができる。
(出典元:This is service design thinking.)

ワークでは具体的に、前回のアクティングアウトで創出された「裸足で自分好みのフットケアを受けながら、優雅に靴選びができるリラクゼーションサロン型の靴屋」という新しい靴屋のサービスコンセプトをお題とし、サービスブループリントを描いて、サービス全体をカタチにしていきました。

1.ユーザー体験の最大のポイントを明文化

実現性を確認していく際に大事なことが、今まで検討してきたユーザー体験のキーポイントをしっかり押さえ、それをぶらさないこと。
各シーンにおいて、ユーザー体験の最大のポイント(=体験の肝!)を設定します。

例えば、靴屋に入るエントランスのシーンでは、「裸足になって窮屈な靴から解放してあげること」が最大のポイントであると設定することができます。

2.体験の最大のポイントを支えるために必要なバックヤードを描く

次に、各シーンにおいて、体験の最大のポイントを支えるために必要なヒト(フロントオフィス、バックオフィス)やツールを洗い出し、更にその間でやり取りされている情報やモノの流れも可視化します。事前に準備すべきルールやコンテンツがある場合も、一緒に記載します。

例えば、靴屋に入るエントランスのシーンでは、「裸足になる」ことが最大のポイントであるため、靴を入れるロッカーが必要ですし、フロントスタッフによるお出迎えや入店管理システムも必要です。新しい仕組みであるため、事前に接客マニュアルも必要でしょう。

3.必要となるコスト・ユーザーからの収益を洗い出す

最後に、これらシーンの体験を成立するために必要となるコストと、さらに大事なことである「この体験に関してユーザーがお金を払うのか?」というユーザーからの収益を洗い出します。

Service Design Club ワークの様子

ビジネスのバイアスブレイク

さて、サービスブループリントを使ってサービスアイデアを現実に落とし込んでみましたが、ここから更に骨の折れるワークが続きます。

「初期コスト1億円です。運用コスト1000万円/月です。なんとユーザーは無料でこのサービスを体験できます。」

こんなことはビジネスとして成立しません。

そこで、収益モデルを成立させるために新たなビジネス上の課題を発見し、大胆にサービスアイデアをリデザインしなければいけません。はじめに設定したユーザー体験の最大のポイントを押さえつつも、技術面・ビジネス面での常識(バイアス)をブレイクさせます。

本来このワークは、靴屋の店員・バックオフィスのスタッフ、システムエンジニア、店舗の空間デザイナーなど、技術面やビジネス面で多様な知見を持ったメンバーを集めてリデザインするべきですが、皆さんに即興でワークしていただいたため、ビジネスのバイアスブレイクを起こす前に時間切れになり、ワークは終了しました。

頭を悩ませた参加者が多くいらっしゃいましたが、夢見がちなアイデアから実現性を確認するステップを体感いただけましたでしょうか?
参加者の皆様、ありがとうございました。

Service Design Club ワークの様子

約5カ月間に渡り、計4回の倶楽部活動を実施してきましたが、始めた当初からの想いである、気軽にサービスデザインを体感でき、組織や領域を越え有志のメンバーで共に学ぶ場を提供できたのではないかと感じております。嬉しいことに、皆様から継続の声を多数いただきました。ご期待に応えられるよう、次回、グレードアップしているであろうサービスデザイン倶楽部を、乞うご期待下さい!

(敬称略)