COMMUNICATIONS
ワークショップ開催レポート
サービスデザイン倶楽部がはじまりました

概要
我々「サービスデザイン・ラボ」と、株式会社ロフトワークの社内活動がコラボレーション。
組織をこえて学ぶ・実践するコミュニティ“サービスデザイン倶楽部”というオンラインコミュニティを立ち上げ、月1回のペースでイベント(講演とワークショップ)を実施していきます。
具体的には、ロフトワークが運営する学びの場である「OpenCU(オープン・クリエイティブ・ユニバーシティの略)」の一講座として、サービスデザインの基本的な流れを体験頂く内容です。
全4回を予定しており、第1回目を、2013年8月26日(金)に開催しましたので、一部始終をご覧下さい。
サービスデザインの5つの特徴を共有
前半戦は、「サービスデザインとは?」の知識共有と、両者のサービスデザインの活動を紹介しました。
<サービスデザインの5つの特徴>
- ・一連の生活シーン(タッチポイント)が対象
- ・基本的な4つのプロセス、時には反復して進める
- ・整備されたツール/手法を適宜活用
- ・共創型(オープンイノベーション)
- ・2つの視点での人間中心設計(生活者、サービス提供者)
この5つの特徴を意識して、後半戦のワークを実施します。
デザインブリーフにまとめて、メンバー間で適切な課題設定
後半戦では、参加者全員でワークを実施しました。「Step1:探究」に入る前に、まずはお題を設定し、デザインブリーフにまとめます。
“デザインブリーフ”とは、デザインを行うための計画書です。
サービスのデザインを行う前に、デザインの目的や進め方、成果の活用イメージなどを明確化し、関与者全員で共有するためのものです。
(出典: Hidaka Seiji,モノのデザインを始めよう「支援ツール4 デザインブリーフ」)
なんでもOKという易しいプロジェクトはなかなかありません。なにをするにも制約はつきもので、その制約をうまく活かして独自性を生み出すことが大事です。
今回のお題は、「リテール(小売)」です。
スーパーマーケット、コンビニ、薬局、ディーラー、アパレルなど、一般生活者として利用するリテールは様々ですね。
また、デザインブリーフにまとめるために、使ったツールはこの2つ。
(1)“サービスサファリ”
参加者が「実世界」で実際にサービスを体験し、良いサービスと悪いサービスの事例を集める技法です。
(出典: Marc Stickdorn, Jakob Scheneider 「This is service design thinking」)
また、デザインブリーフにまとめるために、使ったツールはこの2つ。
(2)“ヤードセール”
自宅の庭で不要品を販売するヤードセール(日本ではフリマ)がモチーフです。庭先に品物を広げて、道行く人に自由に手に取ってもらうような感覚で、壁一面に広げたみんなのアイデアを各人が自由に見て回り、発案者に質問したり、コメントを残していく情報共有の方法です。
(出典: Marc Stickdorn, Jakob Scheneider 「This is service design thinking」)
また、デザインブリーフにまとめるために、使ったツールはこの2つ。
(1)“サービスサファリ”(簡易版)による興味の発掘
本来は実際に現場でサービスを体験し、カメラやボイスレコーダーを使って観察しながら情報収集するのですが、今回は簡易版ですので、「ここ最近で嫌だったリテールでの体験」を1人1人下記視点でシートに記入しました。
- 場所は?同行者は?時間帯は?気分は?
- 一言で言うと“どんな嫌な体験”だったのか?
- なぜ、嫌だと感じたのか?
(2)“ヤードセール”(簡易版)による共有+チームビルディング
参加者全員の「ここ最近で嫌だったリテールでの体験」シートを壁に貼り出し、本来は付箋を使ってコメントを残しながら共有していくのですが、今回は簡易版ですので、共有のみ行いました。
共有に時間がかかることがあるため、ヤードセールはその時間をシンプルにする効果があります。
共有した後は、リテールごとに8チームに割り振り、以降、チームごとのワークが始まります。分かれたリテールは下記8つ。
アパレル×2、飲食店×2、家電量販店、スーパー/コンビニ、本屋、その他
そしてチームごとに、「どこで、どんな人に対し、どんな不満を解消するサービス体験を創出するのか」ディスカッションしながら、デザインブリーフにまとめました。
まとめることで、解決する課題をはっきりさせることができますし、チームメンバー全員が同じ方向を向くことができます。
サービス提供者側の様々なプレイヤーを把握する
チームごとにデザインブリーフにまとめ、課題を設定したところで、ようやく「Step1:探究」に入ります。使用したツールはステークホルダーマップ。
“ステークホルダーマップ”
ひとつのサービスに何らかの形で関与する多様なグループ(サービス提供者)の関係性を視覚化したツールです。 各グループの相関関係を図解し、分析することができます。
(出典: Marc Stickdorn, Jakob Scheneider 「This is service design thinking」)
これから新しいサービスを考えていく上で、現状、どのようなステークホルダーがいて、その間にどのような問題点や期待があるのかを可視化します。
本来は、サービス提供の現場にいき観察やインタビューをするのですが、(もしくはクライアントからヒアリング)、今回は自分たちで調べられる限りの情報をマッピングしました。
ここまでで、第1回目は終了。
詰め込んだプログラムでしたが、全チーム活気あるディスカッションが繰り広げられていました。
ワークが終わった後は懇親会がスタート。おいしい食事と飲み物で交流を深めながら、今回参加頂いた皆様からご意見・ご感想を頂きました。
- 「サービスデザインというテーマでざっくばらんに話せるコミュニティが今までなかったため、参加したいと思った。参加できて良かった。」
- 「学ぶというより、皆で場を作っていくというビジョンに共感した。」
- 「サービスデザインの説明がわかりやすく、初心者の自分でも理解できた。」
- 「ワークで使ったサービスデザインツールを、早速業務でも使ってみます。」
- 「私、中学校の教師なのですが、このようなコミュニティに参加できて刺激になりました。」
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。次回の参加もお待ちしております。また、なるべく多くの方々に参加して頂き、気軽にサービスデザインを体感できる場を提供できればと考えています。少しでもご興味ある方は奮ってご参加ください。

サービスデザインの基本的な4つの反復プロセス

前半戦は両者の想いを伝えます

チームメンバー全員で、デザインブリーフにまとめます

ステークホルダーマップの可視化に頭を悩ませます

アウトプットの一例(飲食店チーム)

おいしい食事と飲み物で交流を深めます