「電力小売り自由化」に向けた生活者の意識

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DNPでは、多様化する生活者のライフスタイルや購買、生活行動をとらえるため、生活者を取り巻く情報(ビッグデータ)を調査・収集・分析し、そのインサイトに迫る取り組みを進めています。
今回は、2016年4月に実施される「電力小売り自由化」に向けて、「生活者の意向と潜在意識、実際の行動がどのように結びついているか」について、2015年11月に実施した調査結果の一部をご紹介します。

調査結果サマリー

  • 1.電力小売り自由化の認知状況については、「見聞きしたことがある」が98.5%を占めるが、「内容を知っている」は52.2%にとどまる。
  • 2.電力会社の切り替えについては、「検討したい」とする人が50.9%存在する一方で、「どのような会社・サービスを選べば良いか分からない」、「手続きが面倒」、「電力の安定供給が不安」などの意見も多い。
  • 3.電力会社の切り替え先に求める条件としては、「低価格」が最も多いが、「価格・料金プランの分かりやすさ」を求める人も49.9%と多い。
  • 4.電力会社の切り替えを検討する意向がある人のうち、「携帯通信会社(キャリア)の切り替え経験がある」と回答した人は4割を超える。

調査結果詳細

1.電力小売り自由化の認知状況

  • ▶調査を実施した2015年11月時点においても「まったく見聞きしたことがない」と回答をした人は1.5%に過ぎず、ほぼすべての人が、なんらかの形で見聞きをしている。
  • ▶一方で、「内容までよく知っている(6.4%)」と「内容をある程度知っている(45.8%)」をあわせても52.2%にとどまる。
電力小売り自由化に関する認知状況

2015年末から2016年初めにかけて、新電力各社および既存の電力会社から新たなサービスや料金プランの発表が本格化し、各種メディア等でも取り上げられる機会が急増しているため、今後、内容の認知がどのように進んでいくか注視が必要である。

2.電力会社の切り替え阻害要因

  • ▶本調査において、電力会社の切り替えを「(非常に/まあ)検討したい」とした人の割合は50.9%と半数を占める一方、「どちらともいえない」「(あまり/まったく)検討したくない」とした人も45.4%とかなりの割合で存在する。
  • ▶その理由を確認すると、「どのような会社を選べば良いかわからない(20.2%)」、「どのようなサービス・料金プランがあるか分からない(20.0%)」と情報収集と比較検討の難しさをあげる回答や、「新しい電力会社が安定的に電力を供給してくれるか不安(19.8%)」「新しい電力会社が安定した電気料金で電力を供給してくれるか不安(15.5%)」など新電力の安定性に関する不安、また「手続きが面倒(17.3%)」などの回答が多い。
電力会社の切り替え意向と阻害要因

新電力各社としては、価格メリット以外に、生活者の手間や不安をいかに解消できるかが、電力会社の切り替えを促進できるポイントと考えられる。

3.電力会社の切り替え先に求める条件

  • ▶「できるだけ低価格のサービスを選びたい(67.5%)」という回答が最も高い結果となったものの、「料金プランの分かりやすい会社・サービスを選びたい(49.9%)」という回答も、ほかの項目と比較して非常に高い。
  • ▶次いで、「契約・手続きが面倒でない会社のサービスを選びたい(25.9%)」、「季節や時間帯など、生活パターンに合うサービスを選びたい(24.4%)」、「顧客対応等のサービス品質で選びたい(21.8%)」などの回答が高い。
電力会社の切り替え先に求める条件

2016年1月8日までに発表されている関東エリア各社の料金プランでは、電気使用量の多いファミリー層向けプラン※1においても月額500円前後の差にとどまっており、顧客獲得においては、価格メリット以外での訴求も重要になると考えられる。

4.「電力会社の切り替え検討意向」と「携帯通信会社(キャリア)の切り替え経験」との相関

  • ▶電力会社の切り替えの検討をする意向がない人※2は、「携帯通信会社の切り替え経験なし」が6割を超えるのに対し、切り替えの検討をする意向のある人※3は、「1回以上携帯通信会社を切り替えた経験あり」が4割を超える。
「電力会社の切り替え検討意向」と「携帯通信会社(キャリア)の切り替え経験」

電力小売り自由化による本格的競争環境の出現は、既存の電力会社、新電力参入各社にとって、初めての経験になるため、ほかの業界・業種の過去の経験から学ぶことも重要な視点と考えられる。


※1 契約電流量50アンペア、平均使用量が月700キロワット時
※2 「どちらともいえない」「あまり検討したくない」「まったく検討したくない」「わからない」と回答した人の合計
※3 「非常に検討したい」「まあ検討したい」と回答した人の合計

調査概要

DNP「電力自由化に向けた生活者の意識と行動に関するマーケティング調査」
調査方法:インターネット調査
調査期間:2015年11月
調査対象者:DNP「価値観クラスター*」を付与した全国の「エルネ」モニター会員
有効回答数:1,200サンプル

編集後記

今回の調査では、本稿に記載した内容以外にも「電力会社の切り替え要因」を探る質問を行っており、DNP「価値観データベース」のデータと掛け合わせることで、「電力会社の切り替え意向」と「生活者の潜在意識(嗜好)」がどのように結びついているかの分析を行いました。
電力小売り自由化に向けた各社の顧客獲得施策は、マス的なアプローチだけでなく、個々の生活者に応じたアプローチが重要になると考えます。DNPでは、電力・ガスなどのエネルギー販売に関連する企業様に、DNPが保有する情報資産と生活者のインサイトを探るマーケティングノウハウをご活用いただくことを視野にいれて活動してまいります。

*価値観クラスター/価値観データベースとは
株式会社DNPソーシャルリンクが運営するポイントサイト「エルネ」のモニター会員に対し、1,000項目近くにおよぶ調査を毎年継続し、生活者の価値観やライフスタイルにフォーカスして、日本の生活者を大きく5類型化(=価値観クラスター)したデータベース。

<価値観クラスター(5類型)>

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ABセンター 第2本部 生活者情報ビジネス開発ユニット 宇佐見 洋治