価格に左右されない、ブランドと顧客との関係づくり

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2017年度以降に計画されている、ビール系飲料の酒税法改正。「ビール」「発泡酒」「新ジャンル」の種別ごとに異なっていた課税率を一律55円に統一する動きが出ているなかで、メーカー各社は酒税の一本化を見据え、「ビール」の再活性化に注力している。こうした背景をふまえ、価格に左右されないブランドと顧客との関係づくりをテーマに、生活者のビール系飲料に対する購買行動を紐解く。

価格が高くても飲み続ける、ビール飲用者

2014年4月に8%へ引き上げられた消費税。DNPでは増税前に「消費税増税に対する意識調査」(2013年8月)を実施。「ビール」と「新ジャンル」の飲用者に、増税後の飲み方の変化についてそれぞれに聞いたところ、「飲み方は特に変わらない」との回答が「ビール飲用者」では76.4%であったのに対して、「新ジャンル飲用者」は71.7%となった。「ビール飲用者」は「新ジャンル飲用者」よりも価格に対する態度変化が少ない傾向にある。

消費税増税後の、各種別の飲用が変わるか?

 

「ビール飲用者」のほうが、価格のハードルを越えて、飲み続けたいとの意識が高いのはなぜか。
DNPでは「自分のこだわりを満たしてくれる」「他のブランドより価格が高くても購入したい」など、最もよく飲むブランドへのコミットメント(愛着)に関わる意識を調査しており、飲用者別に比較してみると、どちらも「ビール飲用者」のコミットメント意識が高いことが分かる。ブランドへのコミットメント意識を構築することで、価格に左右されにくいブランドと顧客との関係がつくられていることがわかる。

最もよく飲むブランドへのコミットメント(愛着)意識

 

ブランドへの意識高まる、新ジャンル飲用者

よく飲むブランドへのコミットメント得点を、それぞれの飲用者別に比較してみると、「ビール飲用者」の得点が最も高いが、経年変化をみると、その値は低下傾向にある。一方で、市場においてシェアを伸ばしている「新ジャンル」では、コミットメント得点は低いものの、その値は上昇傾向にある。
※コミットメント得点とは、それぞれの飲用者の最もよく飲むブランドへのコミットメント意識を得点化し、統合して算出したもの

最もよく飲むブランドへのコミットメント得点の推移

 

また、2011年と2015年の差分でコミットメント得点の推移をブランド別に比較すると、「新ジャンル」を中心としたブランドのコミットメント得点が上昇していることから、「新ジャンル飲用者」において“価格による選択”だけでなく、“そのブランドを飲みたい”ということが意識され始めていることがうかがえる。
品質、味、美味しさが向上し、魅力的なブランドが定着しはじめたことで、「新ジャンル」のブランドを選択する生活者が登場し、その結果として「ビール」に迫る市場としての成長がみられるのではないか。

最もよく飲むブランドへのコミットメント得点の2011年-2015年差分(ブランド別)

 最もよく飲むブランドへのコミットメント得点の2011年-2015年差分

今後控える消費増税や酒税法改正などの、景気変動による市場の変化をとらえるだけでなく、生活者(顧客)のブランドに対する意識変化にも、合わせて注目していきたい。

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マーケティングインサイト・ラボ 岩井 美樹