2014年-2015年春夏ギフト 変化する生活者の意識と行動

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日本の人口減少が続き、人口、世帯数に依存した商品・サービスの市場の収縮が続くなか、ギフト(贈り物)市場はギフトのカジュアル化と相まって成長が続いている。 DNPでは日常の買い物とは異なる動機を起点としたギフトの購買行動に2013年より着目してきた。本稿では、春夏に贈るギフトおよび、季節に関係なく贈られるギフトの最近1年間の変化を明らかにする。

「母の日のプレゼント」を贈る人の割合が7.5ポイントアップ

ギフトの機会別に2015年春夏に贈った人の割合を1年前と比較すると、「母の日のプレゼント」の上昇幅が最も大きく、「日常的なプチギフト」、「父の日のプレゼント」、「誕生日のプレゼント」、「旅行のお土産」が続いている。これらに共通するのは、①家族など身近な人へのギフトであること、②年に1回、または贈る機会が比較的高頻度で訪れるギフトであること、③比較的安価なギフトであること、などである。これらのことから、普段の会話や生活の延長線上で、日ごろの感謝や親しみを表したい時に、ギフトを気軽に行う人が増えていると考えられる。

半年間に贈ったギフトの種類数の変化

 ギフトの種類数の変化

ギフト機会別実施率の推移とその変化

 ギフト機会別実施率の推移と変化

昨年に比べて平均金額の上昇したギフト項目が7割

ギフト1回あたりの平均金額の1年間の変化を見ると、23のギフト機会のうち17機会で平均金額が上昇していた。上昇幅が大きかったのは、①就職、内定祝い、②新築、引越し祝い、③合格、入学祝い、④成人祝いなど、人生の節目となるライフイベントにちなんだ平均金額10,000円以上のギフトであった。上場幅の最も大きかった「就職、内定祝い」は9,000円以上(前年比76%)もの上昇を見せた。
実施率との関連を見ると、平均金額上昇幅上位4位は、①いずれも実施率5%未満、②実施率の変化幅はいずれも1%ポイント未満、③実施率の上がっていたものは、「合格、入学祝い」のみであった。このことから、かねてより低頻度高金額であったライフイベント関係ギフトを贈る機会がさらに減少し、一層の高額化が進行していると考えられる。
一方、普段のコミュニケーションの延長にあるカジュアルなギフトは比較的安価なものが中心で、「旅行のお土産」「日常的なプチギフト」などは平均金額が下がっている。
このように各ギフトの意味合いが従来よりさらにはっきり金額に表れるようになってきた。

ギフトの平均金額と実施率の変化(抜粋)

 ギフトの平均金額と実施率の変化

複雑化するギフト贈答意識

各種ギフトを贈ったときの気持ちは、①気持ちを伝えるために贈る、②形式的に贈る、③習慣で贈る、④相手に喜んでもらうために贈る、⑤よいコミュニケーションの機会だ、などが増えており、積極的な気持ち、消極的な気持ちが入り混じっている。日常生活でギフトを贈る機会が増えるなか、「気持ちを伝えるために贈る」というギフトの機会が増え、ギフト市場が盛り上がるとともに、形式的に贈る人も増えていることが垣間見える。

各種ギフト贈り手の気持ち2015(抜粋)

 ギフト贈り手の気持ち

以上、2014年から2015年にかけてのギフト実施状況の推移を概観してきた。ギフトを贈ることは徐々に生活の中に浸透してきている。そのなかで、日常的にやり取りされるものはますます高頻度かつ低価格化し、逆に頻度の低いギフトは高額化が進んでいる。
そして「気持ちを伝えるために贈る」「相手に喜んでもらうために贈る」「よいコミュニケーションの機会だ」など、普段は伝えにくい気持ちを伝えるコミュニケーションの機会として各種ギフトが活用されていることが明らかとなった。

今後も高額化が進むオケージョナル(特別な機会)なギフトと普段のコミュニケーションの延長としての手軽でカジュアルなギフトという位置づけがはっきりしてくると考えられる。今回触れなかった「お歳暮、冬ギフト」、「バレンタインデーのプレゼント」など秋冬ギフトも含め、生活者の動向に今後も注目していく。


DNP「日常生活とギフトの実施状況に関する調査」
調査時期:2014年10月、2015年11月
調査対象者:各回ともに全国の16〜79歳男女 2,600名
調査手法:インターネット調査

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マーケティングインサイト・ラボ 荒川 篤志