RFM分析はもう古い!?これからの顧客分析軸とは(後編)

998 View

筆者は、DNPのコンサルティング部門で、CRMの戦略立案と実行支援を主に担当している。近年CRM戦略の実装手段のひとつとして、プライベートDMP※1(以後DMP)の導入を検討するクライアントが増えており、DMPを導入することで従来のRFM分析に置き換わる新たな顧客分析軸の可能性が見えてきた。中編では、新たな分析軸として、「R」から「D」へ、「F」から「I」へといった話をしてきた。最終回にあたる本編では、残りのMonetary(購入金額)に代わる分析軸と、新たな3つの軸の有用性について述べていく。

MからPへ

Monetary (購入金額)はシンプルな考え方で、これまでお店で購入した商品の総額が高ければ高いほど優良顧客だと判断してきた。これには異論がないように感じるかもしれない。だが前編の第3の変化で述べたように近年CRMを含むマーケティングの投資対効果が強く求められるようになってきた。
そうした背景をもとに考えると、 Monetary(購入金額)の軸ではコストの視点が抜け漏れていることに気づくだろう。
たとえば、 Monetary(購入金額)がともに2,000円のAさんとBさんがいたとしよう。Aさんは、割引き施策やポイント倍増のキャンペーンを駆使しながらお得な買い物をしているのに対し、Bさんはまったくそういった割引き施策に乗じることなくお買い物をしているとする。この場合、明らかにBさんの方がお店や企業にとって優良顧客であることは間違いない。
近年DMPなどのシステムを使用することで、概念上、顧客一人ひとりに施策コストを付与することができるようになってきた。筆者はこのコストまで考慮に入れた軸をProfit(利益)と呼んでいる。

Monetary(購入金額)とProfit(利益)との違い
 

Monetary(購入金額)とProfit(利益)との違い

RFM分析からDIP分析へ

ここまでは優良顧客を定義づけるRFM軸に代わる新たな顧客分析軸(DIP軸)について述べてきた。このDIP軸の一番の有用性は、これまでRFM分析で培われてきた独自のノウハウをそのままいかせる可能性が高いことだ。例えば、従来F-Mで優良顧客のセグメンテーションをしてきた場合は、F-MをI-Pに置き換えるだけでより精緻に優良顧客を定義することが出来るのではないだろうか。ぜひ、ご自身の業務に置き換えて、この分析軸の有用性を試してもらいたい。

これからのCRM

これまで3編にわたって、近年の社会環境の変化によってもたらされるマーケティング上の変化とCRMで用いられるRFM分析が今後どのように変わっていくかについて述べてきた。2010年代においても、未だCRMが失敗する理由について筆者の考えを述べるならば、ICTの進化によってできることが爆発的に広がったにも関わらず、従来のRFM分析のような概念で生活者をとらえようとする”マーケティング担当者の常識”に原因の一端があるのではないだろうか。今後この種のリスクは時間の経過とともに増えていくことが予想され、ITとマーケティングの両側面を熟知していることはもちろん、既存の概念を自ら再構築していくようなマーケティング担当者の存在が、ますます求められてくるだろう。
さらに想像を膨らませると、自らの羅針盤を自ら創りだしていく時代に突入したというマーケットからのシグナルではないだろうか。筆者はそのように感じている。

※1プライベートデータマネイジメントプラットフォームの略。企業内に存在するあらゆるデータを一元管理し、広告配信やメールなどのアクションを最適化するためのシステム。または、役割を果たすシステム群の総称であり、主な製品としては、DNPが提供するオムニチャネル対応型データ・マネイジメント・プラットフォーム「diip」などがある

  • LINEで送る
  • Facebookでシェアする

情報イノベーション事業部 C&Iセンター コンサルティング本部 岩井 翔吾