なぜ出版社によるWebメディアの読者が共創マーケティングに向くのか?

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企業にとって生活者を巻き込んだ商品開発やプロモーションは当たり前のこととなってきています。投稿キャンペーンで生活者の声を募集したり、コミュニティサイトを運用するなど、生活者との距離を縮めるなかで新しい価値を生み出す「共創」の取り組みが浸透してきています。
生活者と直接交流した内容は、マーケティングデータとして極めて重要であることは言うまでもありません。しかしデータをきちんと自社に蓄積し、マーケティング施策に活かしたいと思っていても、生活者とのコミュニケーションにかかる運営・運用コストの問題から自社運用には至らないケースが多いのが現実です。

編集者と読者の間に強い絆を持つ雑誌がWebメディアに力を入れ出した

生活者との直接の交流を継続するにあたり自社運用が難しいとなると、「誰」と「どのように」一緒に取り組んでいくかが共創マーケティングの成功の鍵になってきます。そこで雑誌にひもづく読者の力に再び注目が集まっています。
出版社が編集する雑誌は、独自性のあるコンテンツによって、共通の趣味嗜好を持つセグメント化された読者を集めています。この読者のホンネを把握し、企業とのマッチングを図ることでマーケティングリサーチや商品改善・新商品開発に活用する例は以前からありました。2009年にブームとなりすっかり定着した「食べるラー油」が、実は雑誌から生まれたヒット商品というのは有名な話です。
頻繁に誌面に読者が登場することからもわかるように、編集者は読者と継続的に直接コミュニケーションをとっています。編集者と読者に信頼関係が生まれ、編集者の力で読者はホンネを語り、さまざまなアイデアが生まれてきました。近年では、こうした読者との強い絆づくりに一日の長がある出版社がWebメディアにも力を入れはじめ、多くの企業との共創マーケティングを実践しはじめています。

編集者との信頼関係が自然と読者のホンネを引き出していく

例えば「暮らしニスタ」(http://kurashinista.jp/)は、主婦の友社が運営する主婦向けライフスタイル雑誌「Como」から登場したWebメディアです。読者による暮らしのアイデア投稿、読者によるアイデアコンテスト、編集部による記事などのコンテンツで構成されています。子供がいる主婦が中心である読者からは、日々の暮らしを豊かにするレシピや日用雑貨に関する実用的なアイデアが寄せられています。日常に一工夫を加えて楽しさを求める人が増えるなかで、自分のアイデアを披露したいという欲求に応え、さらにトレンドの目利きである編集者が読者のホンネを上手く引き出すことで、約27,000点(2017年2月現在)のアイデアが集まっています。

【暮らしニスタのトップページ】

暮らしニスタ

頻繁にアイデアを投稿する「アイデア主婦」はブログ・Twitter・InstagramなどのSNSでも積極的に投稿をしており、企業とのコラボレーションにも前向きです。自らの意思でハイクオリティな投稿をする読者が多く、そんな読者同士、編集者と読者で、気軽に意見交換できるITインフラが整ったことが自然と読者のホンネの発信を促しているようです。

【暮らしニスタに掲載されたアイデア投稿例】

暮らしニスタ アイデア投稿例

主婦のホンネが見えるアイデアを効率的に集め、共創マーケティングに活かす

これまでグループインタビューや座談会といった形態で行われてきた定性調査では、生活者の生の声が聞ける、というメリットがある一方で、時間と人数が限られるという制約もありました。
クックパッドのようなSNSでは「つくれぽ」などデジタルの仕組みによって投稿の動機づけ、ユーザー同士の交流、定着化を促し、企業との共創マーケティングに結びつけています。
一方出版社のメディアでは、読者と編集者との信頼関係というアナログと、オンラインコミュニティのようなデジタルの仕組みを組み合わせて、企業との共創マーケティングにつなげようとしているところが特徴といえます。
具体的には、SNS等で発信力があり共通の趣味嗜好を持つ読者を数十人単位でオンライン上のコミュニティに集め、商品の利用シーンや改善点、新商品のアイデア、さらにはSNSなどで話題になるポイントなどについて編集者と共に意見交換を行います。生活者のホンネを効率的に集め、従来の定性調査を補完するアイデア創造の場としての役割が期待されています。
企業のマーケターにとって、デジタルマーケティング、特にSNS上で生活者に受け入れられ話題化できる施策の検討にあたり、出版社が運営するWebメディア読者の意見を効率的に集める取り組みは今後より重要な位置を占めることになりそうです。


<参考>アイデア主婦によるマーケティングリサーチサービス「暮らしニスタLab.」
このたびDNPと主婦の友社・株式会社ウィルゲートは、アイデア主婦によるマーケティングリサーチサービス「暮らしニスタLab.」を開始しました。「暮らしニスタLab.」は投稿会員13,000人 の中から暮らしニスタ主催のコンテストに入賞するなどした上位80名のアイデアリーダー「暮らしニスタプレミア」を集めた専用のサービスです。DNPはアイデア主婦がオンラインで意見交換をするためのオンラインコミュニティ機能を提供し、編集者を交えた意見交換、ブラッシュアップされた提言まで、アイデア主婦の声を活用した企業マーケティングを支援します。

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hontoビジネス本部 出版ソリューションユニット 高原 一実