マーケティングツール選びより大切なこと

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「自社に高度なマーケティングツールを導入しても、うまく使いこなせないのではないか。」といった心配をしたことはないだろうか。その主な要因を「社員のスキル不足」ととらえがちだが、実は落とし穴はそこだけではない。具体的には、チーム(組織)としてのマーケティングの方向性が明確になっていないケースが存在するのだ。
もし、まだツールの導入が決定していないのであれば、チーム(組織)内で今後実行していくマーケティングの方向性について話す機会をつくってみてはどうだろうか。筆者は、マーケティングツールの導入検討とセットで「マーケティング指針」をチーム(組織)内で立ててみることをお奨めしている。そのことについて述べていきたい。

マーケティング指針とはなにか

マーケティング指針とは、企業経営で言うところの経営指針や企業内の行動指針、またはWayといった言葉で掲げられる標語のマーケティング版である。
例えば、チーム(組織)内にAさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人がいたとする。Aさんは、自身の興味のあるマスマーケティング活用に有用なツールを期待している。一方、Bさんはone to oneを前提としたセグメンテーションの細分化に優れたツールを期待している。Cさんは実店舗の来店促進に活用でき、DさんはECサイトに活用できるツールをそれぞれ期待していたりする。仮にすべての領域に対応するツールがあったとしても、このチーム(組織)の状態がこのままでは、巨額の投資が必要になりかねない。それを避けるためには、チーム(組織)として「どのようなマーケティングを今後実施していくか」といった方針を明確にしておく必要がある。

マーケティングツールに期待すること

マーケティングツールに期待すること

なぜマーケティング指針は必要なのか

この指針作りには、主に3つの効果が期待できる。
・チーム(組織)でマーケティングツール選びの基準を持つことができる。
・チーム(組織)のマーケティング意思決定を速やかに行うことができる。
・新しくチーム(組織)に入ってくる人にも会社としてのマーケティング方針を分かりやすく伝えることができる。

マーケティング指針の作り方

では、具体的にどのように作っていけばよいのだろうか。
実はあまりこれといったルールやフォーマットがあるわけでは無い。あえて、ポイントをあげるとするならば、平素で簡潔な文章が良いだろう。また、言葉を選ぶときにはすこし過激な言葉を、選ぶように意識してほしい。例えば、チーム(組織)として「何をしないか」を明示的に言葉にすることも大切だ。そうすることでマーケティングにおけるチーム(組織)の方針が明確になる。
先の例でいえば、Dさんの期待しているECサイトの活用については、思いきってチーム(組織)として実施しないことを考えても良いだろう。「ECサイトを中心としたマーケティングから脱却する」という指針を立てることで、ECサイトをFace to Faceの店頭コミュニケーションを補助するという位置づけに変化させていくこともできる。そうすることで、自社の中心顧客は店頭に来てくださるお客様であるということが意識されれば、ECサイトは既存の売上を伸ばす役割からお客様情報の入力装置としてシフトしていくことも十分考えられるだろう。

既にご理解いただいているとは思うが、ここでの目的はDさんの期待を単純に排除すべきと述べたいわけではない。そのような宣言に至るプロセスの中で、チーム(組織)内で十分な意味付けがなされる必要がある。中心顧客が誰であるのかということや、ECサイトの役割について十分検討がなされることが最も重要なのである。
チーム(組織)で明確な指針を作る事ができれば、そのチーム(組織)が必要としているマーケティングツールを選び出すための評価基準が見えてくる。そうすれば、マーケティングツール選びで失敗するリスクを下げてくれるだろう。

マーケティングツールに期待すること

マーケティングツールに期待すること

マーケティング指針はシェアしていこう

これまで、マーケティング指針をどのように作るかという観点で述べてきたが、最後はそれをどのように運用していくかについてひと言添えておきたい。
チーム(組織)内で十分に意味付けされた「マーケティング指針」であれば、マーケティングツールの運用がスタートするころには、それなりに愛着が沸いてくるだろう。ぜひ、策定時のチーム(組織)だけでなく、「マーケティング指針」を隣のチーム(組織)にシェアすることで、さらに多くの人々に愛される存在に育ってていって欲しい。そうなればマーケティング指針自体の形骸化を防げるばかりか、新しい文化を醸成するのにもひと役買ってくれるはずだ。

マーケティング指針作りとは、単に言葉を文章に起こすだけの作業だが、その効果は思いのほか高い。この仕事に携わらせていただきながら、常々現場でそう感じている。

マーケティング指針のPlan-Do-See体制

マーケティング指針のPlan-Do-See体制

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情報イノベーション事業部 C&Iセンター デジタルマーケティング本部 岩井 翔吾