コミュニケーション型顧客を探せ! -洗濯用洗剤編

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<‘情報の質’が問われる時代>
SNSの普及によって個人の意見が身近にあふれ、企業が発信する情報もふるいにかけられるのがあたりまえとなりました。生活者への効率的なアプローチとして、情報感度が高く周囲に影響力がある‘インフルエンサー’を活用したマーケティングも多く実施されていますが、近年は、誰が発信するかによって伝わる情報のスピードや質が変わるため、ブランドや商品のことが好きで、それを応援する人である‘アンバサダー’を活用したマーケティングにも注目が集まっています。
DNPでは、ブランド育成にとって大事なのは、ブランドや商品の‘アンバサダー’であり、‘インフルエンサー’でもある、ブランドの価値を周囲に広めてくれる強い味方となる顧客、「エバンジェリスト(伝道師)」を育てて行くことだと考えています。
DNPが2008年に開発した独自のマーケティング・フレーム「ブランドキズナ診断」では、下図のように【ブランドへの愛着度合い】や【カテゴリーに対する情報受発信感度】によって、4つの顧客セグメントを定義しています。このうち「エバンジェリスト」になり得る、カテゴリーへの情報感度、ブランドへの愛着がともに高い顧客を「コミュニケーション型」と名づけています。とくにロングセラーブランドの育成においては、この「コミュニケーション型」の意見にもとづいて競合との差別化を図ることが重要になります。
今回は、この「コミュニケーション型」の顧客をとらえることで、ブランド・商品にとってどんな発見が得られるのか、その一部を洗濯用洗剤市場を例にご紹介していきます。

洗濯用洗剤は‘エバンジェリスト’ が多い、活性化している市場!

DNPが実施した各調査の結果をもとに、カテゴリーを比較すると、洗濯用洗剤市場はカテゴリー全体に「コミュニケーション型(エバンジェリスト)」が多く存在する市場として、右上にプロットされています。これは、洗濯用洗剤の商品やブランドに対する意識が高く、カテゴリーの情報が活発にやり取りされている市場であるといえます。
ホームクリーニングは、洗濯機や洗剤の進化、節約志向を背景に市場が広がっており、洗剤に求める機能も多様化するなど、生活者のなかでこだわりが生まれ、情報が活発にやり取りされていることがうかがえます。

市場の活性化を牽引するトレンドは、「抗菌」「香り」の機能

ブランド・商品ごとのコミュニケーション型のシェアをみると、「抗菌」や「香り」を特長とした商品はコミュニケーション型の獲得率が高いことが分かります。「アリエール パワージェルボール」は抗菌や高機能かつ、手が汚れないなどの付加価値が評価され、2014年に大ヒットしました。また、洗濯における「香り」へのニーズは、柔軟剤の「ダウニー」が爆発的ヒットを収めて以降、継続して高まっています。「ボールド 香りのサプリインジェル」をはじめ、さまざまな商品が発売されていますが、いずれもコミュニケーション型顧客のシェアが高く出ています。
一方で、 「汚れ落ち」や「白さ」をうたった「トップ プラチナクリア (粉末)」や「ウルトラ アタックNeo」などの商品は、非計画型顧客の割合が高く、店頭で行き当たりばったりで購入されている可能性があります。洗濯に対する生活者のこだわりが多様化しているなかで、綺麗になることや、白くなることは、商品の特長として意識されにくくなってきていることがうかがえます。

ブランド・商品によって、獲得している顧客のタイプが異なり、コミュニケーション型顧客の獲得状況を競合商品と自社商品を比較することで、ブランド・商品の特長について新たな気づきを得ることができます。‘ブランドがコミュニケーション型の顧客を獲得できているか?’ ‘コミュニケーション型の顧客が支持するブランドの良さとは何か?’など、現状を顧客目線で捉え直し、競合との差別化、脱・価格競争につながるブランド育成に取り組みませんか。

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マーケティングインサイト・ラボ 岩井 美樹