デジタルマーケティング時代のペルソナHow-To

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デジタルマーケティングツールの導入が進むなか、デジタルマーケティングに取り組む企業でカスタマージャーニーマップを作成しようとする動きが増えてきた。そこで、本稿ではカスタマージャーニーマップ作成におけるペルソナ作りのHow-Toをご紹介しよう。

なぜペルソナが必要?

カスタマージャーニーマップを作りはじめてみると、すぐにつまづいてしまう場合がある。その多くの理由は、ターゲット像が曖昧なまま始めてしまうからだ。
カスタマージャーニーマップは、主に会議室に集まって協議を深めながら作成していくと思うが、その際に参加者内で思い浮かべているユーザー像がバラバラだと、なかなか先へ進めないことがある。カスタマージャーニーマップ上の行動仮説が不確かなものになり、ゆくゆくはジャーニーマップ自体の信憑性も無くなってしまうからだ。それを避けるためにまず、ペルソナを固めておく必要がある。

仮説でスタートしよう

ペルソナを描く際に、その仮説が正しいかという議論に陥ることがよくある。結論から言えば、初期に作るペルソナは精緻に正しいものでなくてもよい。むしろ平均値のような感覚を持ちながら描いて欲しい。
理由は2つある。
1つ目はカスタマージャーニーマップやペルソナは、デジタルマーケティングを始める際の「初期仮説」であるということだ。一般的に「仮説」は、データや論理推論を使って証明していく必要があるが、それは学術や研究分野での話である。デジタルマーケティング分野においては、仮説は早めに試してみて修正を加えることができるので、情報の「正確性」と「スピード」を天秤に掛けた場合、スピードに軍配があがる。正確性をもとめて施策実行が遅くなるよりも、初期仮説をすばやく立案し、施策を打ちながら検証をかけていくほうが効果をはやく出しやすい。
2つ目は、集団を対象として捉えているということだ。集団というものを扱っている以上、一定の特徴を持っている人達をグルーピングしているわけだから、他の特徴に目を向けると、まったく違う人達であることは、改めて述べる必要もないだろう。つまりどのみち曖昧性を帯びているものを扱っているのである。正確性を追求していくという観点よりも、参加者内で定性的に妥当性があるかどうかを評価していくほうが建設的である。初期段階では、「とりあえずのスタートラインを作ってみる」というような心意気で作成にあたって欲しい。

『こんな人いるよね』がポイント

ここからは、具体的な5つのステップに沿ってペルソナ作りのポイントを述べていこう。

STEP1:ペルソナの作成方針について明確にする

ペルソナを作る前に、まずデジタルマーケティング上で解決したい課題の方向性を参加者で事前に確認しておくと良い。例えば、既存顧客が既に多い層をベースにペルソナを明確化すべきか、人口分布と顧客を比較したときに取り込めていない層の顧客像をペルソナに落とし込むかなど、どのようなペルソナを作成すべきか、いくつ作成すべきかなどさまざまだ。例えば自社の会員が50代女性を中心に偏っているのであれば、当然ペルソナは50代女性だと考える人もいれば、まったく取り込めていない20代男性にフォーカスすべきだと考える人もいる。その認識を繋いでくれたり整合性を整えてくれるのが、マーケティング上の課題であり、それを解決する手段としてマーケティング戦略や商品(製品)戦略が存在する。作り始める前に一呼吸置く意味でもデジタルマーケティング上で解決したい課題の理解や解決の方針から認識をあわせていきたい。

STEP2:要素を漏れなく記載する

ペルソナの構成要素としては以下の3つの要素を意識して欲しい。

・デモグラフィック情報
・ジオグラフィック情報
・サイコグラフィック情報

◆デモグラフィックとは
その人が抱える属性のことであり、例えば性別、年代、収入、職業といった情報のことである。具体的には年収1,000万円以上の人と年収400万円の人では、子供の塾に支払える予算が違うだろうという予測を立てたりする際に役立つ情報となる。

◆ジオグラフィックとは
その人が存在する地域の特性であり、気候、人口、風土などである。具体的には、都会と田舎では商品に対する価値観や使用用途の違いなど、特徴が出やすい部分でもある。例えば、田舎で自動車が無いのは考えにくかったり、通勤にも使ったりするが、都会では週末、レジャーで使うのが主だろう。デモグラフィックの一部とされることも多い。また、近年マーケティングデータとして、注目度が高い。

◆サイコグラフィックとは
心理的な部分にフォーカスした内容で、価値観やライフスタイル、ニーズ、信念などがある。例えば、価値観として費用対効果を強く意識するタイプなら、安いスーパーで商品を買おうとするだろうなどという予測を立てたりする際に役立つ情報となる。

ペルソナ作成における3つの構成要素


これらの3つの要素を使ってペルソナを作る際にどの程度の項目数が必要か悩むことになる。「簡単」と言いつつ、ペルソナは参加者内で共通のターゲットイメージを固めるうえで欠かせないため、少なすぎても困ってしまうのだ。
作成しているうちにたくさん盛り込みたくなってしまうが、筆者の経験にもとづくと、ペルソナの項目数は15個ぐらいにとどめておきたい。イメージとしては友人との会話に、知らない人が入ってきた際、その人のひととなりを知るために、5つほど質問すればおおよそイメージがついてくるだろう。それが先ほど述べた3つの要素でおのおの補完されていれば、不足することはない。明確な基準があるわけではないが情報量としては5個~15個の範囲を目安として欲しい。

STEP3:すぐに入手できる情報を集めてくる

インターネットでの情報収集では、なるべく信頼性があり、定点的に時代の流れが捉えられているデータがあると便利だ。統計局が出している統計データはもちろんだが、DNPメディアバリュー研究の「情報接触スタイル」や株式会社博報堂が出している「生活定点」はインサイトを得るのに便利である。ほかにも、自社の顧客情報管理システムから容易に抽出ができるのであれば、それも活用するとリアリティが増すのでとり入れて欲しい。いずれにしてもSTEP1の作成方針に従って必要なデータをすばやく入手することだ。

STEP4:ブレストしながら一気に決めていく

STEP1~3までが完了したら、STEP1で検討した目的に沿って決めていく。欲しい情報がその場に無いこともあるが、そこについてはメンバー自身の経験や体験をまじえて埋めて欲しい。ここではメンバー内での「こんな人いるよね」という共感が持てるかどうかが鍵となってくる。

STEP5:他の情報を入れて確認する

文章や企画書でも、書き上げてから数日寝かすと、誤字や意味が通じない部分を見つけたり、いくつか荒い部分が見えてくる。ペルソナも同様で少なくとも1日は寝かして見直す機会を1回は持つと良いだろう。その際に新しい情報を用いて、作成したペルソナの認識を参加者内であわせるといい。そうすることで、参加者内のイメージがより擦りあってくる。筆者のおすすめは、数表などではなく、なるべく写真データを用いるようにすることだ。データではわからなかった多くのインサイトや、AとBの写真を比べて「こっち寄り」といった判断もできるようになる。たとえば、該当の年代をターゲットとしたファッション誌や趣味園芸の雑誌などを用いると準備も簡単だ。
と、ここまでくるとついつい楽しくなってしまうのだが、その気持ちをグッとこらえてカスタマージャーニーマップの作成に進んでいって欲しい。ペルソナイメージが揃った参加者であれば、その勢いでさらさらっと描けてしまうかもしれない。

『こんな人いるよね』がポイントのペルソナイメージ


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情報イノベーション事業部 C&Iセンター デジタルマーケティング本部 岩井 翔吾