人権・労働
DNPは「人権の尊重」を、企業が社会の一員として果たすべき責任と認識し、「株主・投資家」「顧客」 「サプライヤー」「地域社会」「社員」といった多様なステークホルダーとの対話を通して、取り組みを強化しています。またDNPは、一人ひとりの「違い」を尊重し、互いに受け入れ、その多様性を活かすことにより、人と社会をつなぎ、新しい価値を提供します。同時に、職場の安全衛生の維持・向上ならびに社員とその家族の心身の健康保持・増進に努めることによって、DNPグループの健康で安全な活力ある職場づくりを推進し、持続的な発展につなげていきます。
中長期ビジョン
人類の尊厳を何よりも大切なものと考え、あらゆる人が固有に持つ文化、国籍、人種、民族、言語、宗教、価値観、性別、年齢、性自認、性的指向、障がいの有無などの多様性を尊重し、規律ある行動をとるという前提に立ち、社員の多様性に配慮した働き方を尊重し、健康で安全な活力ある職場の実現をめざす。
対応するSDGs
達成状況を測る指標および実績
中長期ビジョン達成状況を測る指標 | 目標値 | 実績 |
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人権への取り組み
方針と体制
近年、ビジネスが人権に与える影響への関心が急速に高まっています。DNPは従前からの取り組みを踏まえ、2020年には、「国際人権章典」や「労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」等に基づき、取締役会の審議を経て、「DNPグループ人権方針」を策定しました。人事・労務関連の部門のほか、ダイバーシティ推進、サステナビリティ推進、購買、事業推進、 法務・コンプライアンスなど、人権に関係する各部門が連携を深めて、人権尊重の取り組みを強化しています。
教育と浸透
DNPは、事業活動を支える社員一人ひとりが人権尊重の重要性を理解し、日々の活動に反映することが欠かせないと考えています。2021年度は、人権への理解促進を目的として、グループ全社員を対象に、「ビジネスと人権」のe-ラーニングを実施し、約25,000名が受講しました。また「ダイバーシティ&インクルージョン」や各種ハラスメントに関する研修のほか、調達等の業務に携わるスタッフに向けた専門教育、特定の事業部門に対する鉱物調達に関する教育など多種多様な研修プログラムを展開しています。
社外のサプライヤーに対しては、「DNPグル―プCSR調達ガイドライン」に基づく各種の調査や面談、サプライヤー説明会などのさまざまな機会を通じて、継続的に啓発を行っています。
救済制度
DNPは社員や調達先・業務委託先がコンプライアンス上の問題を通報・相談しやすく、また会社としても権利侵害を把握・特定できるよう、苦情処理メカニズムの構築をはじめとする環境整備をグループ全体でグローバルに推進しています。情報の機密性や通報者の匿名性を保護し、通報者が不利益を被らないように運用しています。
人権デュー・ディリジェンス
2014~2016年にかけて、全ての事業部門へのヒアリング調査のほか、海外の全ての連結グループ会社22社に対する書面調査を行いました。これによって、DNPが事業を行っている国・地域の社会、サプライヤー・業務委託先、原材料の産地、生活者・顧客企業、社員など幅広いステークホルダーの観点でリスクの把握に努めました。これらの調査で得た情報の範囲において、人権に係る重大なリスクはないと認識しています。2017年は、人権方針の策定と詳細なリスク評価を行うため、有識者の意見なども取り入れながら、進め方などを検討しました。
2020年には、「DNPグループ人権方針」に基づく人権デュー・ディリジェンスの一環で、デンマーク人権研究所の「HUMAN RIGHTS COMPLIANCE ASSESSMENT QUICK CHECK」を活用したリスク評価を、製造部門を持つ海外連結グループ9社に実施し、重大なリスクがないことを確認しています。引き続き、現地調査の実施などを通して、さらなるリスクの把握に努めていきます。
サプライチェーンでの取り組み
DNPはサプライチェーン全体で人権を尊重した「責任ある調達」を行うため、各種ガイドラインを整備するとともに、その実効性を高めるための実態調査アンケートやそれに基づく面談・教育など、さまざまな取り組みを進めています。
DNPは多様な製品・サービスを国内外の事業拠点からグローバル市場に提供しており、その原材料等の調達活動もグローバル化しています。安全で強固な運営体制を構築するため、国内外のサプライヤーや業務委託先に、「DNPグループCSR調達ガイドライン」遵守状況調査を毎年行うなど、サプライチェーン全体でリスクを管理しています。特に、人権の尊重については、サプライヤーとの対話を深め、マネジメントの確認やリスク低減に向けた活動を継続的に行っています。
企業市民としての取り組み
DNPは、「児童の権利に関する条約」と「子どもの権利とビジネス原則」を支持し、児童労働の禁止はもちろん、「児童の権利に関する条約」で定められた「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」という子どもの四つの権利を尊重します。「DNPグループ社会貢献活動方針」のひとつに「次世代育成」を掲げ、次世代を担う子どもたちの健全な育成を支援する活動に力を入れています。
人財への取り組み
人的資本ポリシー
DNPは、中長期的な成長に向けて、財務資本と非財務資本を統合的に活かすことで経営基盤を強化しています。特に重要な基盤である社員を支え、意識と行動の変革につなげていくため、社会全体の変化も念頭に置いて、社内外から見て魅力的な制度の実現などに取り組んでいます。2022年、こうした取り組みの前提に据えてきた“人に対するDNPグループの普遍的・基本的な考え方である、「社員を大切にし、大切にした社員によって企業が成長し、その社員が社会をより豊かにしていく」という信念”を「人的資本ポリシー」として制定しました。このポリシーを最上位の概念と位置づけ、人に関わる方針・ビジョン・宣言などを束ね、一体的かつ戦略的に人的資本の強化と最大化に取り組み、企業価値の向上につなげていきます。
ダイバーシティ&インクルージョン
DNPグループの強みの源泉は社員一人ひとりの存在にほかなりません。一人ひとりのあらゆる「違い」を尊重し、互いに受け入れ、それらを強みとして掛け合わせることで組織の力を最大化し、新しい価値の創出につなげていきます。
多様な人材の活躍を支援する風土醸成
多様な人材の活躍を支援する取り組み・制度
社会課題を解決し、人々の期待に応える新しい価値を創出する力を向上させるため、多様な人材の活躍を支援する取り組みを行っています。
人材開発・育成
DNPでは、創業以来イノベーションを支えてきた、かけがえのない財産である社員の活躍支援に力を入れています。社会全体の動きを意識し、“人的資本の最適化・最大化”に向け、優秀な人材の採用や育成、処遇などに関する制度を提供しています。
人材開発・育成の取り組み・制度
労働安全衛生
DNPグループでは、「DNPグループ安全衛生憲章」の下、「健康と安全は全てに優先する」職場風土の構築に向け、「オールDNP」全員で取り組む安全衛生活動を推進しています。
労働安全衛生推進の取り組み
社会動向や国の労働安全衛生施策を踏まえ、かつ社内における活動実績および課題に基づき、3年ごとの中期計画として「労働災害防止・健康保持増進基本計画」を策定して活動の推進にあたっています。
労使関係
DNPグループは、労使の「相互理解と相互信頼」をベースに、経営の安定と永続的発展 、社員のこころ豊かな生活の実現を図るため、様々な課題について労使で協議・意見交換する体制(経営協議会、労使専門委員会等)を整えています。この他にも、働き方や職場環境、人事制度全般、安全衛生等について、幅広く労使協議を行っています。
このような充実した労使関係はDNPグループの強みでもあり、「オールDNP」の総合力の発揮に向け、今後もより一層進化させていきます。
労使共同宣言
2006年10月に、「目指すべき労使関係の姿」や「労使関係の原点」を全従業員で共有するために、「労使共同宣言」を発しました。「労使共同宣言」でうたう「労使協働」とは、会社と組合員以外の人たちも含む全従業員が「対話」を通じて「目指す方向」について共通認識を持ち、その実現に向けてそれぞれの役割を果たしていくということを意味しています。
労使共同宣言
前文
私たちは社会とDNPグループの永続的な発展を目指し、真に優れた会社として社会の中で果たすべき役割をさらに高めていくため、経営の基盤である「労使協働」の大切さを相互に確認し、次の通り宣言する。
宣言第一項
協働による21世紀社会への貢献
宣言第二項
永続的な発展と豊かさを求めて
宣言第三項
対話による企業風土づくり