伝匠美 文化財の保存と次世代への継承

制作フローと技術開発

伝匠美制作フロー

  1. 調査・基本設計
  2. 撮像 スキャニング方式 デジタルカメラ方式
  3. 画像修整
  4. 印刷 「伝匠美」専用機
  5. 表装
  6. 完成

※金箔上への印刷(特許)
現在のところ、金箔上への印刷には限界があります。加えて、金箔上には印刷インキが定着しないため、描画部分のみを印刷した後で周囲に金箔を貼り、その上から古色を手彩色する方法が取られてきました。DNPは、精細な画像データを過不足なく印刷再現するべく、金箔上に直接印刷する技術を開発(特許取得)し、金碧障壁画の再現はもとより、精緻な截金細工の再現も可能にしました。

調査・基本設計

  • 原本採寸調査の様子
  • 原本保管環境調査の様子

【現地調査】
原本の状態、複製展示予定建築空間などを現地に伺って調査させて頂きます。ここで、複製製作の目的を再確認し、監修者起用の必要性、撮像方法や印刷媒体(和紙、絹、板など)の適切性などについて協議を行ない、複製方式(「画像修整」項に説明)を設定します。

【基本設計】
現地調査と入念な協議を踏まえ、最適な製作工程内容・時間・費用の設計を行ないます。

撮像

原本を原寸で忠実に再現できる高精細画像データを取得できる方法として2種類あります。基本的にはスキャニング方式で撮像しますが、原本のサイズが小さかったり、壁絵のように設置場所から移動が不可能な場合や複数のアングルや照明条件で画像データを残す必要がある場合などはデジタルカメラ方式を使用します。

  • スキャニング方式撮影スキャニング方式撮影
  • デジタルカメラ撮影デジタルカメラ撮影

画像修整

「調査・基本設計」で設定した複製方式を念頭に、適切な色相・濃淡・階調再現を行なうべく、高精細画像データを修整します。修整したポイントについては次項「印刷」初期の校正段階で監修者・所蔵家に確認を取ると同時に、修整ログを残して行きます。なお、複製方式は下記の3通りです。

現状再製
現状をそのまま再現することに徹するので、校正段階での微修整以外行ないません。
標準再製
襖絵・屏風・複数の掛軸など、同じ画題であっても保存状態に乖離が大きい場合、最も保存状態の良好な部分を基準とし、その基準に合わせて他の作品群の画像を修整します。
復元再製
画法・顔料・基底材・美術史的背景などの分析に基づく監修者の指示に従い、作品が描かれた当初の状態を復元すべく画像を修整します。

印刷

まず原本と照合する校正のために印刷を行ないます。この際、複製が展示される予定の場所で原本と照合できることが望ましく、太陽光が入る環境の場合は時間帯や天候も考慮に入れた校正実施が望まれます。
和紙・金箔地・板材・絹本など基底材も多様です。設計段階で決められた基底材に適切な下地処理を行なった素材を伝匠美の基底材といたします。必要があれば、胡粉による盛り上げ画法の立体性表現なども行ないます。

社内校正の様子現地校正の様子

■ 対応作品

【 襖絵・壁画 】事例一覧へ
  • ・ 紙本墨画淡彩/彩色障壁画再現
  • ・ 紙本金地墨画淡彩/彩色障壁画再現
【 天井画・杉戸絵 】事例一覧へ
  • ・板絵墨画淡彩/彩色天井画・杉戸絵再現
  • ・板絵金地墨画淡彩/彩色天井画・杉戸絵再現
【 屏風 】事例一覧へ
  • ・ 紙本墨画淡彩/彩色屏風再現
  • ・ 紙本金地墨画淡彩/彩色屏風再現
【 掛軸・額装 】事例一覧へ
  • ・ 紙本金地截金細工掛軸(額)再現
  • ・ 絹本墨画淡彩/彩色掛軸再現
  • ・ 絹本金地墨画淡彩/彩色掛軸再現  など

表装

伝匠美専用の和紙や金箔地に関して表装経験豊富な国宝修理装潢師や伝統工芸士の技により、国宝・重文レベルの文化財仕様にて仕上げます。

建具制作写真

製作クレジット

高精細複製「伝匠美」によって複製されたものであることを示すため、完成物の外面に「伝匠美」を明示した金属プレートを貼付しています。また内面には端(みみ)・折り返し部分にクレジット等基本情報を印刷しています。

制作クレジット写真

技術開発

高精細複製「伝匠美」の技術開発に着手してから15年余。
まず、和紙メーカーと共同して、最も基本的な基底材として専用和紙を開発。和紙としての耐久性を担保しつつ、印刷適性の高さを追及しました。天井画に使用する板材の開発や絹本複製における最適な基底材の検討も行なって来ました。特に、金箔上への印刷に関しては様々な検討を行い、金箔上に描画部分や古色を直接印刷し再現する技術を開発、特許取得致しました。また、デジタル技術の進化に合わせて、撮像から印刷に至るプラットフォームの最適化も進めてまいりました。

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