2015年度DNP文化振興財団 グラフィック文化に関する学術研究助成 採択研究

審査の経過と講評

昨年からスタートしたDNP文化振興財団のグラフィック文化に関する学術研究助成は、 今年も世界中から45件の応募がありました。 研究者の間でこのプログラムの存在が徐々に浸透しつつあることをたいへん喜ばしく思います。
審査は、昨年と同様に6名の審査委員による申請書の書類審査である第一次審査を経て、 審査委員全員が会する第二次審査委員会を9月30日に開催しました。 そして、長時間におよぶ討議の末、グラフィックに関わる幅広いテーマを対象とするA部門で 12件、グラフィックデザイナー田中一光に関する研究が対象のB部門で1件の、 合計13件の研究テーマを本年度の採択研究に選出しました。
応募された申請は、グラフィックデザイン史、美術史に関わるテーマが多いのはもちろんですが、 それにとどまらず、社会科学や工学の領域からも魅力的な申請が寄せられ、 グラフィック文化に関する学術研究助成という本プログラムの社会的な意義と可能性を あらためて確認できました。審査に際しては、新規性・独創性、社会や学問分野における 意義・重要性、そして研究計画の妥当性の観点から個々の申請を慎重に評価した上で、 多彩な領域からバランスよく採択することを心がけました。 結果的に意欲的で質の高い研究が選出できたと思います。
採択された研究者の皆さまには、研究が充実したものとなり、 有意義な成果の発表を聞けることを期待しております。

公益財団法人DNP文化振興財団
審査委員長 柏木 博

応募状況

募集期間:2015年5月1日〜7月10日

応募件数

  小計 内訳
国内 海外
A部門 43件 39件 4件
B部門 2件 2件 0件
合計 45件 41件 4件

2015年度採択研究

部門 研究テーマ 代表研究者
所属・職名
助成額
A
戦後首都理想図
—ヴィジュアル・コミュニケーションにおける「東京」のグラフィック・デザイン
OSAWA Kei
東京大学 総合研究博物館 特任研究員
500,000円
A
日本近世の「施印」に関する基礎研究−国内・国外調査と事例研究
ファンステーンパール,ニールス
京都大学大学院 教育学研究科 准教授
前)京都大学大学院 文学研究科 白眉プロジェクト 特定助教
500,000円
A
蘭字〜日本近代グラフィックデザインの「始まり」の根とその発展
吉野 亜湖
静岡産業大学 情報学部 非常勤講師
500,000円
A
災害におけるカラーバリアフリーの表示
土田 賢省
東洋大学 総合情報学部 教授
500,000円
A
アートディレクター・石岡瑛子研究
河尻 亨一
東北芸術工科大学 企画構想学科 客員教授
350,000円
A
死者イメージの視覚化に関わるヴァナキュラーな信仰実践の研究
小田島 建己
東北大学 大学院 文学研究科 専門研究員
500,000円
A
メディアとしての明治期・木版多色摺り図画教科書
—京都画壇関係者による学校教育を通した芸術発信に関する検討—
竹内 晋平
奈良教育大学 美術教育講座 准教授
500,000円
A
フィリピン・マルコス時代における政治的グラフィック・アート
黒田 雷児
福岡アジア美術館 事業管理部長・学芸課長
500,000円
A
イギリスの大衆紙『ザ・グラフィック』とファンシー・ピクチャーの復権に関する研究
佐藤 直樹
東京芸術大学 美術学部 芸術学科 准教授
500,000円
A
グラフィックデザイナーの著作権と生計に関する日仏比較研究
長塚 真琴
一橋大学 大学院法学研究科 教授
500,000円
A
近代日本の広告図像における少女の表象とその受容
前川 志織
京都工芸繊維大学 美術工芸資料館 技術補佐員
500,000円
A
コトバ×デザイン×コミュニティ〜消滅危機言語復興研究におけるデザインのちから
山田 真寛
立命館大学 衣笠研究機構 専門研究員
前)京都大学 学際融合教育研究推進センター 特定助教
400,000円
B
田中一光の造形的特質・切り絵の造形から:田中一光アーカイブ資料をもとに
深谷 聡
奈良県立美術館 学芸員
500,000円

2015年度継続助成 (2014年度採択研究)

部門 研究テーマ 代表研究者
所属・職名
助成額
下段は昨年度助成額
A
近代日本のポスター史に関する総合研究〜翻案・創造・展開〜
田島 奈都子
青梅市立美術館 学芸員
500,000円
500,000円
A
タイポグラフィの観点から分析した東アジアのオノマトペ
—相違と類似性に関する研究
金 均
国立韓国芸術総合大学 教授
400,000円
500,000円
A
グラフィック文化としての近代ポルノグラフィ史に関する基礎研究
足立 元
無所属
300,000円
300,000円
A
近代グラフィック・デザイン運動における「世界統一規格」構想の再考
—もう一つの「ディー・ブリュッケ」を中心に—
後藤 文子
慶應義塾大学 文学部 准教授
500,000円
500,000円
A
教材としてのDr. Frantz Stoedtner作成のガラススライド
—明治・大正期の新知識受容の一側面—
和田 積希
京都工芸繊維大学 美術工芸資料館 特任助教
100,000円
250,000円
A
多様なグラフィックデザインの創作及び伝播を実現するための環境整備のあり方について
—社会科学の観点から
小島 立
九州大学大学院 法学研究院 准教授
300,000円
300,000円
B
1950年代における田中一光のデザイン活動
—戦後日本のグラフィックデザインの転換期についての分析—
山本 佐恵
無所属
250,000円
200,000円
B
Metabolism in Visual Culture: 1960年代の菊竹清訓と田中一光の共同について
辻 泰岳
東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻
日本学術振興会特別研究員
400,000円
500,000円
B
Ikko Tanaka's graphic design as a recipient of Japanese art traditions
日本美術の伝統の受容者としての田中一光のグラフィックデザイン
Rossella Menegazzo  ロッセラ・メネガッゾ
ミラノ大学 准教授
500,000円
500,000円
B
Tanaka Ikko and Japanese Modern Typography
田中一光と日本の現代タイポグラフィ
Mariko TAKAGI  タカギ・マリコ
香港バプティスト大学 視覚芸術アカデミー 准教授
500,000円
500,000円

公益財団法人DNP文化振興財団
理事長 北島 義俊