2018年度DNP文化振興財団 グラフィック文化に関する学術研究助成 採択研究

審査の経過と講評

DNP文化振興財団グラフィック文化に関する学術研究助成は、2018年度も58件の応募がありました。研究者の間でこのプログラムの存在が着実に浸透してきたことを喜ばしく思います。
審査は例年どおり、書類審査である一次審査、審査委員が一堂に会する二次審査の二段階で行いました。そして討議の結果、グラフィックに関わる幅広いテーマを対象とするA部門で13件を本年度の新規採択研究に選出しました。また、2017年度採択研究のうち継続助成希望のあった11件については、中間報告書にもとづく審査の結果、10件の継続助成が承認されました。なお、グラフィックデザイナー田中一光に関する研究が対象のB部門は、残念ながら今年は応募がありませんでした。
審査は、研究テーマの新規性・独創性、社会や学問分野における意義・重要性、そして研究計画の妥当性の三つの観点で、個々の申請を評価しました。今年は、新規性・独創性で際立った申請が少なく、選考に際しては、相対的に意義・重要性、研究計画の妥当性の比重が高くなりました。その結果、研究手法や計画がよく練られた堅実な研究が選出されたと思います。一方、研究手法としてオーラルヒストリーを用いる申請が少なくありませんでしたが、一部の委員から、学術的に厳密な手法を欠いたまま安易にオーラルヒストリーに頼ることへの危惧が出されていたことを申し添えておきます。
採択された研究者の皆さまには、研究が充実したものとなり、有意義な成果の発表を聞けることを期待しております。

公益財団法人DNP文化振興財団
審査委員長 柏木 博

応募状況

募集期間:2018年5月1日〜7月17日

応募件数

  小計 内訳
国内 海外
A部門 58件 55件 3件
B部門 0件 0件 0件
合計 58件 55件 3件

2018年度採択研究

部門 研究テーマ 代表研究者
所属・職名
助成額
A
イメージ、タイポグラフィー、イデオロギー:植民地時代(1920-30年代)における韓国の構成主義
鄭善娥(チョン,ソナ)
ソウル大学 博士課程
400,000円
A
視覚文化研究における生物学とバイオメディアの考察:微生物によるグラフィックスを事例に
長谷川 紫穂
埼玉大学大学院人文社会科学研究科 産学官連携研究員
500,000円
A
古代地中海文明における空間と平面を繋ぐ媒体としてのグラフィックアートに関する研究:古代エジプトのデザイン技法の分析を中心に
安岡 義文
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 日本学術振興会特別研究員SPD
500,000円
A
画面デザインの保護のあり方・意匠法による保護拡張は必要か
麻生 典
九州大学芸術工学研究院 助教
500,000円
A
実験心理学手法による慣用色名認識の現状把握とカラーシステムへの対応性評価
吉澤 陽介
木更津工業高等専門学校情報工学科 准教授
500,000円
A
写真植字と光学的デザイン:1950年代末〜90年代前半の日本における組版とブック・デザインの展開
阿部 卓也
愛知淑徳大学創造表現学部 准教授
500,000円
A
書物の機能と装飾:西欧初期中世法典写本の研究
安藤 さやか
東京藝術大学美術学部芸術学科 教育研究助手
250,000円
A
亜欧堂田善の西洋版画受容の手法と特色
坂本 篤史
福島県立美術館 副主任学芸員
500,000円
A
近代日本写真における雑誌からオリジナル・プリントへのメディア変遷―ギャラリスト・石原悦郎の書簡アーカイビングを通じて
粟生田 弓
石原悦郎とツァイト・フォト・サロン アーカイブズ
500,000円
A
ドイツ語圏のジャポニスム:ヴァルター・クレムとカール・ティーマンの多色木版画を中心に
青木 加苗
和歌山県立近代美術館 学芸員
500,000円
A
明治期キリシタン版画にみる日本文化の受容と展開
白石 恵理
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構国際日本文化研究センター 助教
400,000円
A
井上隆雄写真資料のアーカイブ構築に基づいたラダック仏教壁画のグラフィック的観点からの表現技法研究
山下 晃平
京都市立芸術大学美術学部 非常勤講師
500,000円
A
パウル・スハイテマのグラフィックデザイン手法:雑誌「De 8 en Opbouw」におけるタイポグラフィと画像の統一的表現
井上 宗則
東北大学大学院工学研究科 助教
300,000円

2018年度継続研究(2017年度採択研究)

部門 研究テーマ 代表研究者
所属・職名
助成額
下段は昨年度助成額
A
言語・言葉:オイゲン・ゴムリンガーのタイポグラフィと具体詩について
マーガー,サイモン
ローザンヌ州立美術学校 助手
300,000円
500,000円
A
デザイン保護法制におけるグラフィックデザイン
—意匠法における保護対象としての位置づけを中心に—
末宗 達行
早稲田大学法学学術院助手・同大学院法学研究科博士後期課程
500,000円
500,000円
A
グラフィカルユーザインターフェースの法的保護について
吉田 悦子
大阪大学知的基盤総合センター 特任研究員
500,000円
500,000円
A
植民地的近代のイメージ:植民地期朝鮮の広告とグラフィックデザイン
全 庸槿(ジョン,ヨングン)
ロイヤル・カレッジ・オブ・アート 博士課程
500,000円
500,000円
A
生成・消滅・再生する切り紙のかたち―日本と世界の比較文化研究
丹羽 朋子
人間文化研究機構 特任助教
250,000円
500,000円
A
エンブレムブックの中南米のキリスト教美術への影響
伊藤 博明
専修大学文学部 教授
300,000円
500,000円
A
20世紀初頭の英国前衛美術と印刷メディアの発展―ヴォーティシズムのドローイングを手掛かりとして
要 真理子
跡見学園女子大学 准教授
300,000円
300,000円
A
独立以前のエストニアにおける風刺画と文芸新聞及び雑誌の相関
有持 旭
広島市立大学 専任講師
500,000円
300,000円
A
芹澤_介『絵本どんきほうて』と民藝運動
トルヒヨ・デニス,アナ
コミーリャス・ポンティフィカル大学 講師
500,000円
300,000円
A
小中学校デジタル理科教科書における「技術」のイメージに関する研究
郡司 賀透
静岡大学学術院教育学領域 准教授
500,000円
250,000円