何かを見た瞬間、それとは全く別の事が心の内側を過る。切掛が与えられ眠っていた脳細胞が起きる。その小さな部屋に閉じ込められていた原始の、はたまた未来からの記憶が蜂蜜のように流れ出してくる。僕はしばしばその記憶と戯れる。こちら側にいながらあちら側に行くことも向う側に行くこともできる。猿はそこで見たことを結晶化しようと試みる。記憶は新しい鉱物となってその時代に根を下ろすことを希望しているから。
(谷口広樹)
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