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村田真

 
icon9月17日(木)〜19日(土)
●第11回シドニー・ビエンナーレ
 9/17-11/8 
 ニューサウスウェールズ州立美術館など
 市内各所

キュレーターは、ロンドンのサーペンタインギャラリーのディレクターを務めていたジョナサン・ワトキンス。「エブリデー」をテーマに、100作家が参加。日用品を使ったり、日常生活を主題にした作品のほか、パブリックとプライヴェートの境界を問うような作品も少なくなかった。出品作家が欧米やオーストラリアだけでなく、アジア、中南米、アフリカと広がりを見せていたのは、同国の地理的条件によるものだけでなく、こうした日常性への関心が世界中の作家に広まっていることの証でもある。アエラ10/19号および毎日新聞(掲載日未定)参照。

 
icon9月23日(水)
●混沌を撃て
 ――エレクトロニックイメージの時代 
 9/17-10/4 スパイラル

ピピロッティ・リスト、曽根裕、森万里子らによる映像。それぞれの作品はそれなりに楽しめるのだが、映像作品であるならば、これまでの美術展とは違った見せ方の工夫がほしい、と、作者に対しても展覧会主催者に対しても思うのだ。

 
icon9月28日(月)
●鯨津朝子展 9/4-28 ギャラリー日鉱

毎日何十枚ものドローイングを描き、それを床に敷きつめたインスタレーション。だが、作者のパワーと作品の意図が必ずしもかみ合っているとは思えないぞ。

●畠山直哉展 9/16-28
 ギャラリーNWハウス

石灰岩発掘現場の爆発の瞬間を捉えた写真。これまで石灰岩の発掘現場、工場、その結果としての都市風景を撮り続けてきた作者の、石灰へのこだわりが生み出した快作。ところで、ペラペラマンガみたいな爆発の連続写真はほしかったけど非売。売ればいいのに。と、よけいなおセッカイ。

 
icon9月29日(火)
●「愛の悪魔」試写会 徳間ホール 
 1999年2月 渋谷シネマライズにて公開予定

イギリスの画家フランシス・ベーコンを題材にした、ジョン・メイブリィ監督の映画。なぜ配給がアップリンクなのか、見れば納得。ベーコンがホモセクシュアルだったとは知らなかった。主演のデレク・ジャコビはベーコンそっくり。

 
icon10月1日(木)
●シンポジウム
 「トランジション――変容する社会と美術」
 スパイラルホール

3日間にわたった国際美術評論家連盟の討論を締めくくるシンポジウム。印象に残ったのは、「アートは企業論理に組み込まれるか」と問うジャン・シャルル・マッセラと、それに呼応して、「自分というものの還元不可能性を出発点とするのがアーティスト」という峯村敏明の発言くらい。要は、文明と文化を巡る討論。

 
icon10月8日(木)
●水彩画の魅力
 9/12-10/11 練馬区立美術館

明治の水彩画がいかに魅力的だったか、それが昭和とくに戦後いかに衰退したかがわかる展覧会。サイズがでかくなればなるほど愚作が多くなるのも、水彩画の特徴らしい。

●金昌烈展 10/5-24 東京画廊

70年代から水滴ばかりを描いてきた作者の、漢字を背景にした水滴絵画の新作展。

●ピエール&ジル展 9/16-10/18
 ザ・ギンザアートスペース

タイの少年たちをモチーフにした今回は、これまでの絢爛豪華さが控えめ。

●小林正人展 9/22-10/9
 佐谷画廊

コワイですね、この人。アッチいっちゃってるって感じ。

●丸の内ウォークミュージアム
 ――リサ・ミルロイ 10/5-19
 丸の内カフェ

“オフィス街のオアシス”を謳う丸の内カフェで、「丸の内ウォークミュージアム」と称して、リサ・ミルロイが2週間ライブペインティングを行なっているのだが、カフェもウォークミュージアムもライブペインティングも意図がわからない。つまり空いたスペースにアーティストを放し飼いしようということ?

 
icon10月9日(金)
●バベルの図書館 9/18-10/25 
 インターコミュニケーションセンター

山口勝弘、幸村真佐男、鈴木了二、徐冰の出品。アルファベットで漢字をつくる徐冰の新英文書法が秀逸。中国人はときおり突拍子のないものを発明する。

●平川典俊展 9/16-10/9
 ワコウ・ワークス・オブ・アート

日本の作家には珍しく、ずっと独走している。そのまま突っ走ってほしいと思う。

●ヘルベルト・ハマック展 9/16-10/17 
 ケンジタキギャラリー

愛する妻いわく「おいしそう」。水ようかんみたいな作品。

●マンガの時代 10/3-12/13
 東京都現代美術館

戦後漫画の原画(やコピー)をズラッと展示。こんなに時間をかけて見る(読む?)展覧会も珍しい。けど、展示室の上半分以上が空いちゃってもったいない。

●リアル/ライフ イギリスの新しい美術展 
 10/10-12/13 東京都現代美術館

ダグラス・ゴードン、レイチェル・ホワイトリード、モナ・ハトゥーム、シール・フロイヤーら12作家。けっこう楽しめたけど、アイデア一発勝負みたいな作品が多い。映像もそのうち淘汰されるだろう。

 
icon10月11日(日)
●大岩オスカール幸男展「エデンの園」
 10/3-18 上野の森美術館エキストラ

「アート・リンク98」の一環。オスカールは公園内にある美術館を、公園でもあり美術館でもある場所にしてしまった。いや、公園でも美術館でもない場所というべきか。そんなことより、難しい“木もれ日”を描く作者のためらいのないタッチが気もちいい。

●「イタリアの光
  ――クロード・ロランと理想風景」
 9/15-12/6 国立西洋美術館

愛する妻とともに再訪。印象派に汚される以前の西洋風景画を特集したものとして、日本で望みうる最高の展覧会。

●田甫律子講演会「注文の多い講演会」 
 東京芸術大学第一講義室

“インタラクティブ・レクチャー”と題して、前半は「南芦屋浜コミュニティ&アート計画」における「注文の多い楽農店」の話、後半は客席との討論。いったい「コミュニティのためのアート」なのか、「アートとしてのコミュニティづくり」なのか、もうひとつ理解できなかった。

●谷口雅邦展 10/6-31
 アートフォーラム谷中

様々な植物の種子をくっつけたオブジェ。最終日には来場者に種子を配って育ててほしいそうだ。これも“注文の多い作品”?

 
icon10月13日(火)
●村上隆展 9/18-10/16
 小山富美夫ギャラリー

村上の作品はグループ展では抜群に輝くが、個展では相殺し合うのか、どうもシラケて見えてしまう。なぜだろうなぜかしら。

●トレーシー・エミン展 10/10-11/14 
 佐賀町エキジビットスペース

映像とインスタレーションは直接的なせいか共感できる余地がないが、ドローイングはすばらしい。

●ペキネーゼ 10/10-25 佐賀町bis

三田真由と信耕ミミの2人展。上の「トレーシー・エミン展」を見たあとではトホホと笑える、“女の子”の展覧会。

 
icon10月14日(水)
●「ピエール・クペ作品展」 9/9-10/27 
 カナダ大使館地下2階ギャラリー

たまたま近くを通りかかったので寄ってみた。「表記」というタイトルだったので小難しい作品かと思ったら、きわめてオーソドックスな抽象画。

 
icon10月15日(木)
●「福田美蘭 ピクチュアレスク」
 朝日新聞社

福田美蘭の92年以降の作品を収めた画集。本屋で立ち見して買おうかと迷ったけど買わなかったら、ご本人から贈呈。感謝感激です。残念ながら、著作権や肖像権に引っかかりそうな部分(具体的にはディズニーのキャラクターや村井秀夫の顔)が白ヌキになっている。と思ったら、驚いたことに、その部分に貼るための修正用シールが同封されているではないか! 編集者より一枚上手の、いかにも福田美蘭らしい裏技といえる。

 
icon10月16日(金)
●芸術と環境――エコロジーの視点から 
 10/8-11/24 国立国際美術館

出品は、ユゼフ・シャイナ、モンティエン・ブンマー、フェリックス・シュテファン・フーバー、ミロスワフ・バウカ、PHスタジオ、石内都の6作家。これがなぜ「環境」「エコロジー」なのか、よくわからない。出品作品はほとんどモノクロームで、重いおもーい展覧会だった。ちなみに観客は、ぼく以外ひとりしかいなかった。

 
icon10月17日(土)〜18日(日)
●ミュージアム・シティ・福岡1998
 10/1-30 福岡市内各所

5回目を迎える町の中の美術展。出品は、ナウィン・ラワンチャイクン、韓桂崙、王晋、ラサロ・サアベドラ・ゴンザレス、フランソワ・ボワロン、風倉匠、プラントデモンストレーション、飯島永美、島袋道浩、PHスタジオ。今年はアーティスト・イン・レジデンスを導入し、9月の1ヶ月間、現地制作させた。詳細は『美術手帖』12月号参照。

 
icon10月18日(日)
●台湾現代美術展PART3 10/8-25
 三菱地所アルティアム

朱嘉樺、王俊傑の出品。台湾の現代美術は、大陸のようなスケールの大きさはないかわりに、より強く消費社会に根ざしている。このふたりの作品もチープでポップでなんか変。

●私だけのMUSEUM 10/13-12/13
 福岡市美術館

大分在住の阿部浩二と山出淳也という若手作家と、同館学芸員の山口洋三の3人が企画した展覧会。一言でいえば、美術館および美術館における展示を考え直すのがテーマ。企画展示室に、阿部は椅子やロッカーといった美術館の備品で「待合室」をつくり、山出は「なぜあなたはここにいるのですか?」というアンケートを取り、山口は同館所蔵のシーガルやクリストの作品を持ち込む、といった構成。おもしろい。もっとやれ。

●宮崎準之助展 10/10-11/15
 福岡県立美術館

かつて九州派に属し、その後、木彫による玩具のような作品をつくって89年に亡くなった作家の回顧展。同展の最大の特徴は、九州派のころの作品は別にして、それ以後の作品には触ったり動かしたりできること。

●江上計太+牛島智子、鈴木淳、宮川敬一展 
 10/10-31 モダンアートバンクヴァルト

9月にインスタレーションした江上の作品を、彼の教え子ともいうべき3作家が思い思いに壊したり手を加えたりしていく展覧会。これもおもしろい。もっとやれ。この時期の福岡はけっこうアナーキーだ。

 
icon10月21日(水)
●「まひるのほし」試写会
 ユニジャパン試写室 

7人のアーティストを追った映画。「しげちゃんよりさとえちゃんは○月○日(○)しげちゃんの家に電話を下さい8時55分」というメモを毎日書き続けた西尾繁、対象を力ずくでねじふせ画面に定着させる舛次崇、飄々とした表情で朝から晩まで「なさけない」とつぶやきながら陶芸に打ち込む伊藤喜彦、ヌードを思いがけないフォルムと色彩に変容させる川村紀子。映画としてのデキはともかく、そこに映し出されるアーティストの行為と作品に、目が釘づけになる。

上映予定
11/13 鳥取県民文化会館
12/6 兵庫神戸市立王子ホール
12/12 宮崎門川町文化会館
12/20 三重メリーゴーランド3階ホール
1999年
1/16〜 東京シネヴィヴァン六本木にてロードショー公開
1/23〜 大阪 テアトル梅田にてロードショー公開
2/14 神奈川藤沢市民会館小ホール
         

●牛島達治展 10/7-1/27 ゼクセルZOOM

今回のインスタレーションはややこしい。構成要素は、回転する車輪とそこに取りつけられた小型ビデオカメラとモニター、階段つきの台とそこから突き出たチューブ、その下で循環する水など。それらが連動していることは、観客が台に上ってチューブをのぞいたとたん、動き、映像、音が一変することからわかる。だが、そこからなんらかのメッセージを読みとろうとしても徒労に終わるだろう。そういう作品。

 
icon10月22日(木)
●アーカス1998プレスコンフェランス
 スパイラル6階

茨城県のアーティスト・イン・レジデンス「アーカス」に招かれた6作家によるプレゼンテーション。思いっきり変なことをやってほしい。

 
icon10月23日(金)
●Powwow 08 近藤龍男 コマンドN

今日は行くべきレクチャーやパーティーが5本ほど重なってしまったが、結局ここへ。Powwow(パウワウ)はゲストを招いてのテーブルトークで、今回はニューヨーク在住37年の近藤龍男。彼には悪いけど作家としてより、ニューヨーク・アートシーンのレポーターとして興味があった。60年代から現在までのアメリカン・アートをおさらい。

 
icon10月25日(日)
●ジョルジュ・ブラック回顧展
 9/12-10/25
 Bunkamura ザ・ミュージアム

ピカソ展に続いてブラック展とはタイミングがいいのか悪いのか。ブラックにとってキュビスムってなんだったんだろう、と考えてしまう展覧会。

 
icon10月31日(土)
●インド現代美術展 10/17-11/29
 国際交流フォーラム

8作家の出品。プペン・カーカルのエロおやじぶり(クレメンテやホックニーの絵とよく似ている)と、ラヴィンダル・G・レッディのヒンズー・ポップがうれしい。

●会田誠展「パリ、津田沼」
 10/23-11/28 ミヅマアートギャラリー

会田巨匠、相変わらず楽しませてくれる。若いのに、こんなにかゆいところまで手の届くサービス精神の旺盛な作家はいませんね。大作「スペース・ウンコ」か「スペース・ナイフ」がほしかったけど(各¥1800000)、手が出ないので「UT」Tシャツ(¥3000)を購入。「UT」とは「徳川連合」のことで、徳川家の家紋と国連旗を合わせたデザイン。

●キリンコンテンポラリー・アワード98
 受賞作品展
 10/2-11/13 キリンアートスペース原宿

なんか病んだ現代社会の縮図を見るよう。

Copyright (c) Dai Nippon Printing Co., Ltd. 1998