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大林組品川新本社コーポレートアート計画

大林組の新本社が品川駅の南側に建設中の3本のビルのうちの一つに入居する。そこでこの新本社ビルの内部に多数のコーポレートアートを設置する仕事を依頼された。しかしこれについてはまだ広報計画が確立していないので、その概略と要点だけを述べておく。

本社は3階のロビー、そして14階から30階までの事務所空間からなる。
ビルのコンセプトは「透明な速度」。
これは最近の建築デザインが重厚長大な威圧感のあるものではなく、ガラスや細いラインを多用した軽やかで透明感がある方向に向かっていることがひとつの理由である。そしてこの新本社ビルも、オフィスビルとしては繊細で軽やかで透明感のあるデザインで構成されているからだ。当然このタイトルの背景にはヴィリリオやボードリヤールを想定しているが、ここではその話はおくことにする。

作品18点の特徴はサイトスペシフィックであること、建築空間と融合していることである。

フランソワ・モルレーは18階から28階までの吹き抜け空間の光壁をデザインし、デビッド・トレムレットは回廊の壁を作品にした。またジュリオ・パオリーニやダニエル・ビュレンヌのデザインした応接室もある。3階と14階のロビー空間には、それぞれ草間彌生とパスカル・コンヴェールのガラスの大きな衝立の作品がある。3階ロビーには、繊細で軽やかなミニマリズムで知られるエットーレ・スパレッティの彫刻と絵画からなるインスタレーションを設置した。また西川勝人の設計した階段や、庄司達のつくった大型の天蓋状の作品、インゴ・ギュンターの回転する地球儀11個の埋まった廊下など、企業のオフィスビルとしてはきわめて実験的な作品が並ぶことになった。

このような空間の実験をもっと多くの建築関係者が試みてもいいのではないかと思う。なぜならアートは建築家の考えるのとは全く違った観点から、その空間に対する美的・造形的回答を出すからである。そのことによって建築もより豊かになると思うし、またアートも通常のギャラリー空間では不可能な別の存在価値と自己実現の可能性を模索することができるからだ。

本プロジェクトの全貌については印刷物やウェブサイトで詳記する予定である。
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1998
「イタリア美術1945-1995 見えるものと見えないもの」展

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