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Focus アート・シーン2001
イスタンブール・ビエンナーレ
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ガブリエル・オロスコ
 


ガブリエル・オロスコ
ガブリエル・オロスコ「Ping-Pond Table」

長谷川祐子メキシコ出身でニューヨークに住んでいるガブリエル・オロスコの手法は、すでにある既成の形に介入していく(インターヴェンション)という方法です。この「ピンポンド・テーブル」では、フォーマリスティックで美しいフォーメーションづくりが、2人ではなく4人で、多い時には8人でできるピンポン・テーブルの形に結晶されています。これは実際に使うことができるもので、最初は、まん中にネットをクロスに張っていましたが、それでは使いにくいため、ヴォイド(空間)に蓮の花を置きました。遠目で見ると、テーブルが蓮の花の形に見えるというレゾナンスがあります。この作品は、実際にピンポンをやっていただくところに意味があって、その光景を含めて作品として完結します。つまり、その行為によって人々が作品の中にインターヴェンションする契機が生まれます。
車を真ん中から切断して一人用の車にした作品は、「ミューズの横には誰も座れない」という一つの神話の物語です。造形やフォームが大胆なストーリーを紡いでいき、そのストーリーが様々な想像力をかき立てることがありますが、オロスコの場合、造形に対する卓越した感覚と未来に向かう新しい未知のストーリーをつくっていくスピードが、手法の性急さとあわせて非常に21世紀的ではないかと考えます。
余談ですが、彼を筆頭に、メキシコには素晴らしい作家が多くいると思います。なぜなら、彼らはユートピアに対する実証的、具体的なアプローチがヴィジュアル・アートによって可能だと信じているからです。[長谷川祐子]




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