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関東エリア展覧会/イベント情報 嘉藤笑子
Exhibition「消滅する記憶」ブルース・ヨネモト

会期:1999年4月23日〜6月13日
会場:NTT・ICCギャラリーA
入場料:一般\800学生\600中小生\400
問合せ先:0120-144199


「消滅する記憶」ブルース・ヨネモト日系3世のアーティストとしてロサンゼルスを拠点に活動している映像作家。兄のノーマンとヴィデオやフィルムなどの映像作品を制作して注目集めているが、今回はソロによるヴィデオ・インスタレーションやメディアを駆使した作品を多く発表している。
ブルース・ヨネモトは、第二次世界大戦における日系人強制収容所やブラジル日系人などの移植者たちの生活を記録したドキュメンタリー作品などによって、アメリカにおける自らのアイデンティティを追い掛ける作品を手掛けている。しかし、その反面マイク・ケリー、ジョン・バルデッサリらとコラボレーションをするなど幅広い作家活動を行なっているといえるだろう。
今回の「消滅する記憶」というタイトルの展覧会では、時間にまつわるイメージをさまざまな装置によって表現し、多様なメディアを活用して展開している。なかでも、『スクリーン・セーヴァー』はスクリーンにまつわる言葉の遊びから選ばれた障子、映写機用のスクリーン、マッキントッシュのスクリーン・セーヴァーをそれぞれ展示している。初期のMacから長い時間をかけて映し出されるニューヨークの摩天楼の情景は、すでに遠い昔になってしまった過去のコンピュータ画像を呼び起こして、人の記憶の果敢なさを露呈させたといえるだろう。
この展覧会のなかで、すっかり魅了されてしまった作品は“花火”である。3面マルチのヴィデオ・プロジェクターから映し出させる壮大な花火。その巨大なスクリーンを占領して連続する花火と爆発音が、立っている自分の体内に直接に入り込んできて、現実の花火のなかに突然に放たれてしまったような錯覚がおこる。途中、20世紀FOXのロゴマークがうっすら幽霊の浮遊して、ハッとこれはフィクションなのだと気がつくのだ。イリュージョンとしてのスペクタクルな記憶が体のどこかに埋め込まれていく。そして、この感触がいつか再び喚起してくる瞬間が来るような気がするのだ。それが、“デジャ・ヴ”という半分消えてしまった記憶として、イリュージョンとリアリティの狭間を私達に問い掛けるのではないか。
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Exhibition「第13回写真3.3m2(ひとつぼ)展」

会期:1999年4月5日〜4月22日
会場:ガーディアン・ガーデン
公募展による13人の写真作品
問合せ先:03-5568-8818


「第13回写真3.3m2(ひとつぼ)展」初めて「写真3.3m2(ひとつぼ)展」を見たこともあって、なかなか質の高い公募展だと感心してしまった。この公募展でグランプリを受賞すると、この会場であるガーディアン・ガーデンで個展を開催できるというものだ。この公募展では、ポートフォリオをもとに事前審査を通過した13人の作家が、各自3.3平方メートル(ひとつぼ)のなかで作品を発表した。期間中にこの作品からグランプリが選ばれる。審査員は、青葉益輝、浅葉克己、飯沢耕太郎、小林のりお、高木由利子、平木収、大迫修三と大物ばかり。また、出品者が全員参加して審査員と対話しながら進める公開審査の形式をとっている。
会場では、グランプリ受賞者が選別される成りゆきがヴィデオで上映されていたが、全容は見れずじまいなので詳細は不明だ。今回、選ばれたグランプリは、デヴィット・ホックニーっぽい組み写真で、ひとつのシチュエーションをドラマ風に語る作品だ。写真の技法から逸脱してアートっぽいところが評価されたのか? うーん。それより、安っぽい手書きの額縁で自身のポートレートを採りまくっている作品のほうが、最近話題のスイスのアーティスト:エルケ・クリストゥフェクっぽくて危険な匂いだ。日本から彼女のようなエキジビジョニスト(露出狂)がでたらホントに恐い。
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Eventバルーンアートフェスティバル「Hot Air」
ーうかぶ・ふくらむ・てでふれるー

出品作家:アンディ・ウォーホール、藤原隆洋、チェ・ジョンホア・さとうりさ、
     ニコスナブリデス、
村上隆草間彌生、ハンス・ハマート、マシュ-・バーニー
       
ジェフ・クーンズ、タシタ・ディーン、パーミンダー、コー、
       マリケ・ファン・ワルメルダム、ピエール・レイメール、エリン・ヴィクストロム、
       パブロ・レイノソ・リー・ブル、中村哲也、笠原出、大岩オスカール幸男、
       吉永浩、山出淳也

  キュレーター:南條史生

  会期:1999年4月16日〜4月25日
  会場:グランシップ
  入場料:一般\800中高生\300
  問合せ先:054-203-5002


Hot Air主催者側からプレス向けの会場への往復バスが出たこともあって、静岡のグランシップまで行ってきた。新幹線なら2時間足らずでいけるところを片道3時間もかけてわざわざ出かけたが、バスは楽しい。たくさん眠れるから…。
さて、グランシップという施設は、今どきの御時世にも関わらず地方箱ものとしては、よくもこんな巨大なモノを作ってしまったなぁというぐらいデカイ。磯崎新のデザインによるこの超大物文化施設は、建築家のコントロールを逸脱してしまって、なにをやってもうまく行かないと言いたげなほどだ。久しぶりに困ったものを見てしまった。
このまま建築になぞるような、中身のないものだったらどうしようと思って恐る恐るだったが、バルーン・フェスティバルのほうは、さすがに全世界から選りすぐりの作家たちが集まった。それにしても、バルーンとは夢のあるオブジェである。それが、アーティストの手にかかれば、さまざまなアイデアとかたちで、バラエティのある作品に生まれ変わる。副題の「うかぶ・ふくらむ・てでふれる」というように観客は、作品に触れることが前提。ただでさえ、こどもに好かれる風船が、驚くほど大きくて、いろんなかたちで、カラフルで、となったらうれしくなってしまうのは当たり前だ。インタラクティブなどとカタカナを使わないコミュニケーションが自然と成立してしまうのだ。
グランシップではすでに次回のバルーン・フェスティバルを開催しようとかなり乗り気らしい。実は地元のこどもたちのコンペが大成功して、地元の観客にも受け入れられたのがプラスの要因になったようだ。確かに子どもの純粋なアイデアはバルーンに合う。公募で選ばれた子どものアイデアが実際にバルーンとなって展示されたが、著明なアーティストの作品と並んでもひけを採らない存在だった。グランシップのあの空間を埋めるには、バルーンは最適なものだったと確かに言える。
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Topics書籍『岡本太郎に乾杯』新潮社 岡本敏子 \1,442

書籍『岡本太郎に乾杯』新潮社近所の貧相な図書館に時々訪れて、暇つぶしの本を探すことが好きなのだが、ゴールデンウィークということもあって、いつもより気合いが入っていた。アート欄の書棚では、ゴッホやルネッサンスについての書籍が並ぶなかでひときわ目を引いた『岡本太郎に乾杯』を借りることにした。
私は岡本太の死に直面していないこともあって(もちろん臨終に立ち会うとか葬儀に参列するということではないが)、彼の生涯を振り返る良い機会になるだろうと思ったのだ。それにしても、私の海外居住の間に多くの美術家が他界したことか。それぞれ、今日の日本美術に多大な影響を残した人々だから、いつか他のアーティストたちへも自分なりのレクイエムを捧げたいと思っている。
さて、岡本太郎のほうに戻るが、この作家の生きざまには前から感心があったので、この本はその好奇心を助長させることになった。この人のアートをとやかくいう前に、まずこの人自身について学ぶことが必要だと確信する。だって初めは、テレビやCMでみていたコメディアンまがいのちょっといかれたおじさんのイメージしかなかったのだから。しかし、読後は「芸術は爆発だ! 」という彼の真意に近付けたような気がする。
岡本太郎は、すべて裸のままにアートライフを突き抜けた人である。多感な感性をまさに爆発させることで意欲的な作品を創作しつづけることができたのだ。彼は、アーティストということだけではなく、現代美術の運動家であり、児童絵画の奨励者、また縄文を発見した人物、優れたスポーツマン、すばらしいピアニストなど挙げたら切りがないさまざまな側面を持つ人物なのだ。日本の画壇に真っ向から挑戦して、戦後の日本のコンテンポラリーアートを引っ張ってきたのも彼の活動のたった一旦なのである。
ますますこの人に好奇心が沸いてきて、故人であることが残念だと思うが時遅しである。遅ればせながら遺業に気付くというのは、凡人が起こしやすい過ちだ。口惜しいが、これからでも近付けることはできるのではないかと思っている。
この書籍の著者であり、50年以上に亘って作家の秘書をしてきた岡本敏子さんが館長を勤める記念館が青山にある。彼の両親が住んでいた土地に、戦後にアトリエ兼住まいとして建て直し、死ぬまで生活していた場所だ。2000年には川崎市に「岡本太郎美術館」がオープンすることになっている。どちらも岡本太郎に近付くためにも訪れたい場所だ。

岡本太郎記念館

開館時間:11〜18時
休館:月・火(祝日の場合は翌日)
入場料:一般\600 子供\300
問合せ先:03-3406-0806

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