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Recommendation
東京 荒木夏実
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exhibitionコイズミ アヤ個展

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コイズミ アヤ個展「予感の風景 II-ii」
「予感の風景 II-ii」
 「箱」の中に不思議な小宇宙を作るコイズミ アヤ。ほどよい抑制の効いた決して大袈裟ではない表現の中に、軽々と時空をトリップさせてしまうパワーが秘められている。箱のもつ安定感と同時にその変容性が心地よい魅力だ。
 今回オープンするswitch pointはカフェスペースのあるギャラリーである。大阪出身の話題の若手デザイナー集団、grafが内装を手がけているとのこと。新スペースでお茶を飲みながらコイズミの世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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会場:switch point 東京都国分寺市本町4-12-4 1F
会期:2001年4月8日〜4月17日 12:00〜19:00 水曜定休日
問い合わせ:Tel. 042-321-8956

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exhibitionイメージの首飾り−現代イタリア美術にみる家族、政治、信仰のかたち

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イメージの首飾り−現代イタリア美術にみる家族、政治、信仰のかたち
 今年は日本におけるイタリア年ということで、イタリア関連の事業が数多く開催される。
 本展は、日本で見る機会の少なかった最新のイタリア美術を紹介するもので、「Gaze(眼差し)、「Power(力)」、「Defeat(挫折)」など12のキーワードに沿って若手作家12名の作品が展示される。現代イタリア美術の諸相を知る好機となるだろう。
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出品作家:ステーファノ・アリエンティ/ヴァネッサ・ビークロフト/シモーネ・ベルティ/リナ・ベルトゥッチ/マルコ・ボッジョ・セッラ/マウリツィオ・カテラン/ジュゼッペ・ガベッローネ/ルイザ・ランブリ/マルゲリータ・マンツェッリ/ディエゴ・ペッローネ/パオラ・ピーヴィ/グラーツィア・トデリ
会場:原美術館 東京都品川区北品川4−7−25
会期:2001年4月20日〜7月1日
問い合わせ:Tel. 03-3445-0651

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exhibition汚名−アルフレッド・ヒッチコックと現代美術

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汚名−アルフレッド・ヒッチコックと現代美術
 サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックの映画から影響を受けた現代美術作品を集めたというユニークな展覧会。ヒッチコック生誕100周年を記念して1999 年にオックスフォード近代美術館で立ち上げられ、世界中を巡回しているもの。ダグラス・ゴードン、スタン・ダグラス、シンディ・シャーマンら14人の作品が紹介されている。関連イベントとして4月6日に“ヒッチコック・マニア”であるダグラス・ゴードンによる「フィーチャー・フィルム」を上映。なかなか濃い企画だ。
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会場:東京オペラシティアートギャラリー 東京都新宿区西新宿 3-20-2
会期:2001年4月4日〜6月17日
問い合わせ:Tel. 03-5353-0447

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event中ザワヒデキ個展

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「〈768個の変曲点のある単一曲線〉と〈その逆行曲線〉と〈その転回曲線〉と〈その逆行転回曲線〉の四作品四層配置」1997-1998
CG printout, glass

 昨年「方法主義宣言」なるものを発表した中ザワヒデキによる「方法絵画」。なんじゃそりゃ?何でも偶然と即興を禁じて、方法それ自体で「色彩平面」を制作する試みとか。文字や碁石を「色彩の画素」にするだとか。うーん、百聞は一見に如かず、ですな。
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会場:レントゲンクンストラウム 東京都港区南青山3-14-13ツイン南青山103
会期:2001年5月10日〜6月2日
問い合わせ:Tel. 03-3401-1466

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report学芸員レポート [三鷹市芸術文化センター]

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渡辺聡ワークショップ1


渡辺聡ワークショップ2
渡辺聡ワークショップ風景


 先月三鷹市芸術文化センターで「渡辺聡展−隠された風景−」を行った。渡辺聡は無数のドットのシールをキャンバスに貼って、世界各地の有名な美術館や歴史的名所などの「風景画」を制作する作家である。シールを別のキャンバスに貼り替えて2点組の作品を作ることもあるが、ピンセットで何万枚ものシールを移す緻密な作業を通してできあがる作品には圧倒させられる。絵はがきや旅行パンフレットの写真をもとにした彼の絵画は、写実的でありながらドットの視覚的効果で薄ぼんやりとして見える。オリジナルと複製の関係、実体のない「風景」、観光という人間の愚行など、様々なことが示唆されていて、その毒とユーモアの融合は絶妙である。
 今回も、三鷹で恒例の作家によるワークショップを開催した。高校生以上は「大人がそんなとこに落書きして!」という落書きをテーマにしたもの、また小学生対象として「点々のシールで絵をかこう」と題したプログラムを行った。子供のワークショップでは、線で描いた自分の顔をもとにドットを使って自画像を制作した。輪郭をドットでなぞると、絵は大分シンプルになる。さらにドットを抜いた後に残ったシートを下敷きにして、穴と線が重なった場所だけ枠にあてはめるようにドットを貼っていくと、デジタルっぽく角張った、より単純化された絵ができあがる。
 この作業を通して気づいたことがある。小学生ともなると自意識も強くなり、自分と人を比較し始める。線で自画像を描いた時点では、恥ずかしがって絵を見せたがらない子供もいた。ところが、ひとたびこの「ドット・ドローイング」を始めると、みんな羞恥心が消えるのだ。特に枠にシールを当てはめていく方法はゲームにも似ていて、規則性に従えば基本的に誰でも同じものを作ることができる。しかし、どんなに単純化されてもオリジナルの絵の雰囲気は残っており、自分の顔だと判別がつく。いわばエッセンスが凝縮された絵といえるだろう。自分では予測のつかない「人工的」な作品ができるのが、子供たちには面白かったようである。なにより、「独創性」や「上手い・下手」から解放されて楽しめたことは良かったと思う。私が子供の頃の美術教育では、物を写実的に描写すること、または内面を表現してバランス良く色と形にまとめることに重点が置かれていたように思う。でも美術はそれだけではないだろう。渡辺氏自身が、内面を吐露するような抽象表現や、画家のオリジナルな筆跡といった、これまで美術史上貴重だと思われてきた要素に疑問をもち、現在のドット・シールを使う技法に行きついたという経緯がある。そんな作家の考えがワークショップに反映されていて興味深かった。
 また、このドット・ドローイングにある種のヒーリング効果を見出したことも発見であった。試しに私も作業に参加してみたのだが、黙々とシールを剥がして貼る作業は結構ハマる。そしていつの間にか心が穏やかになっていくではないか。ヒーリング・グッズとして「ドット・キット」を売り出そうか……渡辺氏と冗談で話したが、案外悪くないアイデアかもしれない。
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会場:三鷹市芸術文化センター 東京都三鷹市上連雀6-12-14
会期:2001年3月3日〜3月25日
問い合わせ:Tel. 0422-47-9100

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