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Exhibition Reviews & Guide ..

softpad
9/28〜10/14 ヴォイスギャラリー[京都]
 
 
softpad
南琢也、奥村輝康、上芝智裕の3人が結成したアーティストユニットのsoftpad。椅子の前のスクリーンに投影される断片的な映像を、見る人が個々に自由に構築してゆける作品だ。クールな3人がつくり出す今後の展開に注目すべし。
[10月14日(日) 原久子]
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田中信太郎 饒舌と沈黙のカノン
9/13〜10/14 国立国際美術館[大阪]
 
 
田中信太郎 饒舌と沈黙のカノン
行こう行こうと思いつつ時間がとれずにあきらめかけたころ、大分市美術館の菅章氏から「交通費を使ってもおつりがくるほどいい」との熱烈メールがきたので、にこちゃんとその母を蹴散らして最終日に駆けつける。たしかにすばらしい展示。3階は1980年代後半以降の色鮮やかな平面と立体を組み合わせた作品を並べ、2階はミニマルでモノクロームの作品ばかりを集めていて、それぞれのフロアがひとつのインスタレーションとして完結している。美しい。会場を出たところに担当学芸員の中井康之氏と信太郎さんがいたので、しばらく歓談。信太郎さんは大阪万博のときにパビリオンの仕事をしたほか、万国博美術館に今回も展示していた《マイナー・アートA.B.C.》を出品している。その万国博美術館を前身とする国立国際美術館で31年後に個展を開くなんて、カッコいいじゃないですか。ところで、このあとの京都も含めて交通費は計30730円。もとは取れたかおつりは来たか。
[10月14日(日) 村田真]
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キリンアートアワード2001
  10/9〜11/10 キリンビール新川本社[東京]
 
 
キリンアートアワード2001
本社ビル内でも、警備員に呼び止められないで到達できる1階ロビーでやってくれてるのがいい。警備員、おまわり、銀行マンは私の敵だ。あ、税務署員もね。それから締切日まぎわの編集者。そうそう、にこちゃんの母も。展覧会のほうは、最優秀作品賞がなくて、優秀賞2作品、準優秀賞4作品、奨励賞7作品の計13点の出品。絵画あり彫刻ありインスタレーションあり映画あり演劇ありダンスありで、もちろん愚作もあったけど、ジャンルもレベルもてんでばらばらなだけに、かえって凡庸な現代美術展より楽しめた。ちなみに、優秀賞は64歳のおやじ(林田嶺一)と20歳のねーちゃん(稲垣民子)という落差がすごい。とくに林田さんはパンフに載ってる顔写真もインパクトあるが、「幻の『元』満州國の場から引き揚げ帰国までの幼児体験のドラマ」と題する絵画インスタレーション(?)もエイブル・アート並のすごさ。また、準優秀賞の岡本武紫(62歳)の絵画「壊れた手巻時計の旅」は、「作者の郷土である四国遍路を皮切りに、ヨーロッパ、ニューヨーク等の旅先各地を作者の感性で表現したシュールレアリスムの世界。各作品ごとに詩の朗読付」だ。ここらへんはおそらく椹木野衣審査員の選択ではないかと思うが、こういう壊れたおやじに日の目を当てるキリンアートアワードは尊敬に値する。ていうか、自分が壊れたおやじになりつつあるのか。
[10月15日(月) 村田真]
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シエナ美術展
  10/6〜12/9 東京ステーションギャラリー[東京]
 
 
シエナ美術展
シエナといえば中世末期にフィレンツェと競うように栄えた都市。だからシエナ美術といえば13-14世紀のドゥッチョ、シモーネ・マルティーニ、ロレンツェッティ兄弟らを抜きに語れないはずなのに、ここには15世紀以降、つまりシエナ凋落以後の凡作しかない。もっとも彼らの代表作の多くは建物の壁に描いたフレスコ画だから、もってきたくてももってこれないけどね。
[10月16日(火) 村田真]
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小谷野夏木展「親密な絵画」
  10/15〜20 Space Kobo & Tomo[東京]
 
 
小谷野夏木展「親密な絵画」
同サイズのキャンヴァスに女性の顔を描いたタブロー。マルレーネ・デュマスを思い出すが、それよりヘタ。デッサンも色彩も稚拙なのだ。それゆえに「親密な絵画」なのかもしれないが。
[10月16日(火) 村田真]
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吉川和江展
  10/15〜27 ギャラリー現[東京]
 
 
吉川和江展
これも同サイズのキャンヴァスが並んでいるが、あきらかに吉川和江ならではの色彩、ならではのタッチ。小谷野との差は歴然だ。
[10月16日(火) 村田真]
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真島直子展
  10/9〜27 ギャラリー川船[東京]
 
 
真島直子展
たとえどんなリアリストでも、森を描くとき木の葉の1枚1枚、葉脈の1本1本まで描くやつはいないだろう。そこまで描いてられないし、そんな必要もないからだ。しかし、ある種の人たちは1本1本の葉脈から描き始め、森全体を描きつくそうとする。その必要がある、というよりむしろ、そうせざるをえないからだ。おそらく真島直子もその種の人たちのひとりに違いない。というと、なにやらアウトサイダーアートを想起させるかもしれないが、彼女がそうでないのは1点1点作品として完結させようとしていることからもあきらからだ。覚醒した狂気、という点では草間彌生以上。
[10月16日(火) 村田真]
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ルイザ・ランブリ展
  10/12〜11/10 ギャラリー小柳[東京]
 
 
近代建築の巨匠作品を写真に収めてきたルイザ・ランブリが、妹島和世+西沢立衛の建築写真を撮った。といってもフツーの建築写真ではない。向こうから光の入る窓やパーティションばかり。なるほど、こうして見ると建築とは巨大な「カメラ」であることにあらためて気づく。
[10月16日(火) 村田真]
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