DNP 大日本印刷

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ニュースリリース

2011年11月10日

 

情報技術

音楽コンテンツの違法コピーを抑止する電子透かし技術 『ゲンコーダ®Mark for COPY PROTECT』 を開発

コピー時に妨害雑音を再生させることで音楽の著作権を保護

 

大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、音楽コンテンツを違法にコピーすると、再生時に雑音を発生させ鑑賞を妨害するように雑音データを埋め込む電子透かし技術「ゲンコーダ®Mark for COPY PROTECT」を開発しました。この技術は、音楽コンテンツのクオリティーを損なうことなく、低コストで容易に雑音データを埋め込むものです。違法にコピーされた音楽コンテンツを既存のAV機器で再生すると雑音が生じるため、抑止効果が見込まれることから、音楽著作権の保護対策として最適です。

【開発の背景】

現在、多くの音楽コンテンツは、デジタルデータの著作権保護技術であるDRM(Digital Rights Management)によって違法なコピーを防止しています。しかし再生されてスピーカーから出る音にはDRMがかかっておらず、近年性能が向上しているAV機器のマイクロフォンや端子などを使えば一定の品質で録音できてしまうため、DRMを外して違法にコピーされた音楽コンテンツの流通を抑止しきれていませんでした。

一方、電子透かしは、音楽コンテンツに著作権情報やコピー制御情報を埋め込む技術で、著作権保護のための仕組みとしても活用されています。しかし、現状では、インターネット上にアップロードされている音楽コンテンツを電子透かし専用ソフトで読み取り、違法かどうかをチェックして著作者が自らの権利を主張するのが実態で、違法コピーを直接的に抑止できるものではありません。また、電子透かしの複数の方式ごとに専用の読み取りソフトを準備する必要があります。そのため、電子透かしを利用して違法に流通している音楽コンテンツを発見するには、多くの時間と費用が必要なことから十分に普及していませんでした。

これらの課題に対してDNPは、音楽コンテンツを録音や圧縮などで違法にコピーした場合、それの再生時に妨害雑音を発生させる音楽用の電子透かし技術「ゲンコーダMark for COPY PROTECT」を開発しました。

【「ゲンコーダMark for COPY PROTECT」の概要】

人間の聴覚が知覚できる音波帯域は20Hz〜20kHzと言われており、音楽用CDや多くのAV機器はこの帯域に対応しています。一方、レコーダーやマイクロフォンなどの音響入力機器の多くは、人間の聴覚よりも狭い200Hz前後〜12kHz前後の音波帯域に対応しています。これらの機器を使って、インターネット配信用などに音楽コンテンツの録音や圧縮を行う場合、この狭い音波帯域のみを利用することになります(図1)。今回DNPが開発した「ゲンコーダMark for COPY PROTECT」は、人間の聴覚と音響入力機器の感度範囲の差を利用して、特定の帯域に雑音データを埋め込むことにより、違法コピーした音源を再生すると雑音を発生させる電子透かし技術です。

図1:録音や圧縮を行うと、聴取可能な音波帯域は狭くなる

【「ゲンコーダMark for COPY PROTECT」の仕組み】

妨害雑音を発生させる仕組みには以下の2種の方式があり、1方式のみ、または両方式を組み合わせての利用が可能です。

1.聴覚マスキングを利用した「妨害雑音:X」

人間の可聴域をカバーした20Hz〜20kHzの音源のうち、下限部の20Hz〜400Hzの帯域を20Hz〜200HzのA帯域と200Hz〜400HzのB帯域に分けます。そして、レコーダーなどの音響入力機器が対応する音波の下限付近のB帯域に、A帯域よりも音が高く、音量が小さい「妨害雑音:X」を、本来のB帯域の音成分に重ねて埋め込みます。A帯域よりも周波数が高いB帯域に「妨害雑音:X」を埋め込むと、「妨害雑音:X」が聞こえにくくなる聴覚マスキングという現象が起きるため、通常の再生では妨害雑音の影響はありません。しかし、この音源を音響入力機器でコピーすると音波帯域が200Hz〜12kHzに狭められてA帯域の音が消失するため、聴覚マスキングが作用せずに「妨害雑音:X」が明確に聞こえるようになります(図2)。

2.音脈分凝を利用した「妨害雑音:Y」

同様に、可聴域上限部の6kHz〜18kHzについても、6kHz〜12kHzのC帯域と12kHz〜18kHzのD帯域に分けます。そして、音響入力機器が対応する上限付近のC帯域に、本来のC帯域の音成分に強弱を加えた「妨害雑音:Y1」を、D帯域には、C帯域と正反対の関係になる強弱を加えた「妨害雑音:Y2」を埋め込みます。通常の再生時には、人間の脳がC帯域・D帯域双方の強弱変化を平準化しようとする補完作用(音脈分凝)の影響により、「Y1、Y2」は聞こえません。しかし、音響入力機器でコピーするとD帯域の音が消失するため音脈分凝が作用せず、「妨害雑音:Y1」を含んだC帯域の音が再生され、違和感を与えます(図2)。

図2:ゲンコーダMark for COPY PROTECTの仕組み

【今後の展開】

今後DNPは当技術の実用化を目指して評価実験を行い、音楽コンテンツの制作・配信事業者に対し、違法な複製・流通の抑止についての提案を行います。

また当技術の開発成果を、本年11月14日に東北大学電気通信研究所で開催される「電子情報通信学会・マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント研究会」で発表します。

 
※ニュースリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承下さい。
 
 
 

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