
2010年04月15日
京都・一休寺の狩野探幽・原在中の障壁画のデジタル再製画を制作
デジタル画像上の修復により、本来の画法表現の鑑賞を可能に
大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、酬恩庵一休寺(所在地:京都府京田辺市薪里ノ内102 住職:田邊宗一 以下:一休寺)所蔵の狩野探幽による障壁画43面と原在中(はらざいちゅう)※による障壁画4面、計47面のデジタル再製画を制作しました。一休寺は、これらのデジタル再製画を方丈に設置し、4月15日より一般公開します。
【概要】
一休寺は、境内整備事業の一環として方丈の障壁画のデジタル再製画制作を、2009年5月より進めてきました。デジタル再製画は、株式会社伝統文化財保存研究所の代表・石川登志雄氏の監修のもと、DNPが制作にあたってきました。このたび完成となり、一休寺はこれを方丈に設置しました。従来公開されていた原画は、劣化を防いで長期保存するため、境内の収蔵庫に保管します。
国指定の重要文化財である一休寺方丈は、慶安三年(1650)に加賀藩・前田利常の寄付によって再建され、その際、障壁画43面が納められました。
狩野派を代表する絵師・狩野探幽が手がけた43面は、形象を簡略化して表現する「減筆体」という画法などが用いられ、余白も表現の一部とする作品です。しかしながら、度重なる修復と経年の劣化により、探幽が目指した表現が認識できないような状態となっていました。今回の事業では、原画そのものを修正するのではなく、画像データ上で経年劣化による汚れを取り除き、破損やこれまでに修復された部分を修正しました。これらの作業により、完成したデジタル再製画を方丈に設置することで、作品制作当時に狩野探幽が意図した絵画空間を鑑賞できるようになりました。
【対象作品】
■紙本墨画淡彩(しほんぼくがたんさい)
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室中之間(しっちゅうのま) |
狩野探幽筆「瀟湘八景図(しょうしょうはっけいず)」 襖16面 |
衣鉢之間(いはつのま) |
狩野探幽筆「山水図」 襖4面、壁画1面 |
檀那之間(だんなのま) |
狩野探幽筆「陶淵明(とうえんめい)図・林和靖(りんなせい)図」 襖8面 |
書院之間(しょいんのま) |
狩野探幽筆「竹雀図」 襖5面、壁画1面 |
礼之間(らいのま) |
狩野探幽筆「松竹梅図」 襖8面 |
仏間(ぶつま) |
原在中筆 壁画2面 |
■紙本金地着色(しほんきんじちゃくしょく)
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相之間(あいのま) |
原在中筆 小襖2面 |
【デジタル再製画の制作方法】
1. 画像データ作成
紙本墨画淡彩の作品の画像データ作成には、非接触型高精細スキャナーを使用しました。このスキャナーは、大きなサイズの原画を原寸のまま、光の屈折などによる画像のボケや歪みといったレンズ収差の少ない画像データとしてデジタル化することが出来ます。
紙本金地着色の作品の画像データ作成には、銀塩カメラを使用しました。撮影時に独自のライティングのノウハウを駆使することにより、画像データ上で金地の質感を出すことを可能にしました。
2. 画像データ処理
墨の色調、濃度、階調を管理するため、一休寺専用のカラーチャートを作成し、カラーマネジメントを行いました。色調を安定させるカラーマッチングシステムを応用した試作品用印刷機を一休寺に設置し、試作として出力したデジタル再製画と原画を照合しながら、色調などを原画に近づけるための画像データの色調整を行いました。また、監修者や一休寺関係者の確認のもと、原画に触れることなく、画像データ上で汚れや破損部分、修復により劣化した部分の修正を行いました。
3. 印刷
DNPが独自に開発した約100年の耐久性を持つ特漉き和紙と、デジタル再製画専用の印刷機を用いて、超高精細印刷を行いました。耐光性のインキを使用することで、紙本墨画淡彩の作品は50年以上、紙本金地着色の作品は90年以上にわたり、再製した障壁画の鑑賞が可能です。
【DNPのデジタル再製画『伝匠美(でんしょうび)』の取り組み】
DNPは1999年より、デジタル再製画技術『伝匠美』の取り組みを開始し、画家の表現手法の研究と、特漉き和紙といった素材、専用印刷機、カラーマネジメント用システムなどを開発してきました。従来は不可能とされていた金箔上への印刷、天井画・杉戸絵など木材への印刷などを実現し、あらゆる日本画の再現に対応できるようになりました。
主な実績として、東京国立博物館の応挙館、銀閣寺、大乗寺(兵庫県香住)、無量寺(和歌山県串本町)などのデジタル再製画制作があります。
詳細は『伝匠美』ウェブサイトをご参照ください。 → http://www.dnp.co.jp/denshoubi/


