ニュースリリース

ホログラムを用いてレーザー光源を利用したプロジェクターやディスプレーの映像のちらつきを防ぐ技術を開発

大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、レーザー光源を利用したプロジェクターやディスプレーなどで発生し、映像のちらつきの原因となる「スペックルノイズ」を、ホログラムの多重記録機能、光整形機能を応用して、軽減する技術を開発しました。

【開発の背景】

近年、ディスプレーやプロジェクター、照明などの光源として、LED(発光ダイオード)の実用化が進む中、このLEDに続く新しい光源として、より長寿命、低消費電力で、光学部品の小型化も可能なレーザー光源が注目されています。レーザー光は直進性が高く、放射状に光が拡散するLEDなどに比べて、高輝度で色純度が高いことから、色再現性に優れています。また、プロジェクターに使用する場合、他の光源と比較して光学部品を少なくできることから小型化につながり、モバイル端末などへの組み込みも可能です。さらに、従来の多くのプロジェクターで利用されている高圧水銀ランプをレーザー光源へ置き換えることで、水銀の使用を無くすことができます。しかしレーザーの場合は、光源ユニットおよび被照射面となるスクリーンで散乱した光が相互に干渉しあって、微細な斑点模様であるスペックルノイズが発生しやすく、これが映像のちらつき(シンチレーション)の原因となっていました。

今回DNPは、量産性に優れる体積型ホログラムフィルムを活用して、このスペックルノイズを軽減する技術を開発しました。これまでの技術では主に光源ユニットで発生するスペックルノイズしか軽減できませんでしたが、本技術はスクリーンで発生するスペックルノイズも効果的に軽減できるため、リアプロジェクション方式、フロントプロジェクション方式などさまざまな装置での利用が可能です。

* 体積型ホログラム : 非常に多くの情報量を記録可能なホログラムであり、大記憶容量メモリなどへの応用が検討されている。フィルム上に特殊なポリマー層を塗布し、そのポリマー層内に屈折率の変化による干渉縞を三次元的に記録して製造する。その干渉縞に光を入射すると回折現象によるホログラム像が再生される。立体感や奥行き感の表現に優れており使用する材料や製造プロセスが特殊なため、偽造が極めて困難であることからセキュリティ用途でも利用されている。

【既存技術の課題】

スペックルノイズは光源ユニットとスクリーンで発生します。既存の技術では、回転する拡散板などをレーザー光路中に挿入し、平均化した干渉パターンをスクリーンに投射することで、光源ユニットに起因するスペックルノイズを軽減していました。一方、スクリーンで発生するスペックルノイズは、スクリーンを回転させることで軽減できますが、大きなスクリーンを回転させる構造上の工夫が必要であり、実用化が容易ではありませんでした。

【本技術の概要】

今回DNPが開発した技術は、ホログラムの異なる点に光のビームを照射しても同じ位置に同一のパターンの像を再生するという体積型ホログラムの機能を応用しました。レーザー光をスキャンミラーなどの光走査デバイスによりビームとしてホログラムの各点に連続的に照射することで、スクリーン上に再生する像への入射角が常に変化し、多数の干渉パターンを生成します。結果として干渉パターンが平均化され、スペックルノイズが軽減できます。また、レーザービームの整形および光強度の均一化をホログラムが行うため、ディフューザー、レンズアレイといった光学部品が不要となります。本技術は、レーザービーム形状や干渉性の大小に関わらず、スペックルノイズ軽減の効果が得られるため、さまざまな種類のレーザーに応用できます。また、再生像の形状を用途にあわせて任意に設定できるので、プロジェクター、ディスプレーのほか、スペックルノイズを抑えて明瞭な形状を捉えることのできる3Dスキャナーなど、さまざまなセンサーや映像装置への展開が可能です。

 

スキャンミラーの角度を変化させて光の進行角度が時間変化することで干渉パターンが均一化される

【今後の展開】

DNPは、今回開発した技術がさまざまな光学装置に応用可能という特長を活かし、光学機器メーカーをはじめ、映像やセンサー、照明などの幅広い分野の企業に向け、本技術を提案していきます。これらの企業の協力を得て本技術の評価を行い、2011年春には本技術に対応した体積型ホログラムのサンプル出荷を開始する予定です。

【参考情報】

スペックルノイズ

      

スペックルノイズ除去前(左)と除去後(右)

スペックルノイズが生じる仕組み

スペックルノイズの種類

 

光源側で発生するスペックルノイズ

スクリーン上で発生するスペックルノイズ

 

* プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承下さい。