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「文字の母たち Le Voyage Typographique」のおしらせ

港千尋「文字の母たち Le Voyage Typographique」

発行日:2007年3月23日
定価:3,150円(税別)
B5判変型(天地182mm 左右240mm)上製 112頁
写真 カラー24点、ダブルトーン61点
コラム19頁
装幀:間村俊一

インスクリプトより、写真家・評論家の港千尋さんの最新写真集「文字の母たち Le Voyage Typographique新規ウィンドウが開きます」が刊行されました。

「文字の母たち」表紙
「文字の母たち Le Voyage Typographique」と見本帖・パターン・原字・電胎母型

世界でもっとも古い印刷所のひとつ、パリ・フランス国立印刷所、秀英体活字を伝える東京・大日本印刷――。いまや絶えようとする活版金属活字の最後の姿をとらえ、文字の伝播の歴史を繙く最新写真集。

ガラモン体に始まるアルファベットをはじめ、楔形文字やヒエログリフ、ギリシア、アラビア、エチオピア、ヘブライ、ジャワ、チベット、そして漢字と仮名……、2006年に閉鎖されたパリ・フランス国立印刷所は、グーテンベルク以降の西欧の活版印刷技術を伝承し、近代から現代に至る活字書体の発展にも大きな影響を与えてきました。また東京・大日本印刷は日本における明朝体金属活字の精華・秀英体を伝えてきました。本書は、パリと東京で撮影を重ね、活字に凝縮された東西文明の交流と最後の職人たちの姿を見事に写しだした類のないフィールドワークです。

ひょんなご縁で、港さんにDNP市谷工場の活版印刷現場をご覧頂く機会が生まれました。

和文活版の現場はDNPにとってはあたりまえのものでしたが、フランス国立印刷所に通って撮影を行った港さんには、むしろ新鮮にうつったようです。

特に文選の部屋では、活字サイズごとに壁のように並ぶ活字棚(ウマ)を目にした途端、「あ、違う!」とひとこと。欧文の場合一般的に活字ケースを植字台にセットし、文選しながら文字を組んでいます。しかし和文組版には膨大な量の漢字があるため、利用頻度・部首などでいくつかに分類し、見えるように棚に配置し、文選にも専門の職人が配置されます。

和文と欧文
古いですが大正11年の欧文植字のようすと現在の和文の活字棚。欧文ではこういう活字棚はないそうです。

フランス国立印刷所にももちろん明朝体活字が保管されていますが、日常的に用いるものではありませあんので、普段は引き出しの中。フランスの職人さんは、「漢字ってあんなにたくさんどうやってしまっているの?」と疑問だったそうです。そう言われればそうですね。

直彫り撮影のようす
直彫り職人の中川原さんの撮影中。港さんもじいっとその技術に見入っています。

文選撮影のようす
文選職人の山口さんの撮影中。実はウン年ぶりに文選をしたとのこと。

大日本印刷の前身である秀英舎は、明治9年に、まだ日本に入ってきて間もない金属活版印刷会社として誕生しました。中国で生まれた漢字が、大陸の西の端のフランスで明朝体活字となり、宣教師たちの手で中国に帰って来ます。そして上海から長崎の本木昌造のもとへ、明朝体活字と活版技術が渡り、次第に日本国内に産業としての金属活版印刷が伝播していきます。本木の高弟・平野富二が興した東京築地活版製造所(平野活版)から活字を導入していた秀英舎は、やがて自社で活字の開発を始めます。その自社書体は、東京築地活版製造所の「築地体」と並び、後世の和文書体に大きな影響を与えるまでに完成度を高め、「秀英体」と呼ばれるようになりました……。

大陸の東西を跨ぎ、400年に渡る活字の歴史が凝縮された写真集、ぜひお手にとってご覧下さい。

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