秀英体のコネタ

2006年03月29日

 

第16回 秋田県立近代美術館で秀英体と会いましょう

 

秋田県横手市にある秋田県立近代美術館は、1994年に開館した美術館です。代表的な収蔵品に、秋田藩主・佐竹曙山や家臣の小田野直武らの描いた「秋田蘭画」があります。これは、江戸末期に遠近法・陰影法といった西洋の絵画技法を使い描かれた、日本初の洋風絵画として知られます。また、秋田といえば! の日本画家・福田豊四郎、平福百穂など、地元ゆかり作家の作品も数多く収蔵しています。

美術館におじゃましたのは2月、雪深い秋田ですが、ちょうどその日はあたたかく、コートもいらないほどでした。

かまくらと秋田県立近代美術館
青空! かまくらの間に見えるのが美術館です。

秋田県立近代美術館には、所蔵品や世界の名作を高精細な画像で鑑賞できる「ハイビジョンギャラリー*1」があります110インチ、60インチ、32インチのディスプレイが設置されており、来館者の方は自由に迫力の大画面でじっくり鑑賞することができます。

110インチのへや
110インチのディスプレイが設置されている部屋

60インチのへや
こちらは60インチ

今回、秋田県立近代美術館にお邪魔したのは、このハイビジョンギャラリーの表示用書体として、昨年から試作を行なってきたディスプレイ表示用秀英体が採用されたためです。

1994年の開館から運営されてきたハイビジョンギャラリーですが、ちょうどシステムをリニューアルすることになりました。以前から秀英体が搭載されていましたが、タイミングよくディスプレイ表示用の書体に取り組んでいたところでもあり、このたびの採用となりました。

データベースは作品名・作家名で検索します。検索結果は制作者名・タイトル・作品解説と作品画像が表示されます。それ以外にもっと詳しい作者略歴や誰に師事したか、といった情報は、モニターのそばに設置されたプリンターから出力することもできます。この画面表示とプリントアウト用にディスプレイ表示用秀英体が活躍しています。

リニューアル作業中
リニューアル作業中

プリンター
検索結果はプリンターで出力し、情報を持ち帰れます

検索画面
検索画面もすべて秀英体

見出し画面
もちろん見出しも

検索結果
検索結果。写真がうまく撮れませんでしたがこれもすべて秀英体。

ちなみに今回搭載したウェイトは試作した3種類の真中であるM、仮名は秀英4号を合わせています*2。かなりシックです。秋田県立近代美術館の収蔵品にもうまくマッチしているように思います。

プリントアウト
プリントアウトしてももちろんきれいですよ

お世話になった学芸班の三浦さんです。

秋田県立近代美術館のハイビジョンギャラリーは、郷土の作品(秋田県立近代美術館名作撰)・日本の名作(日本美術の至宝)・世界の名作(世界の美術館)という3本立てになっているところが特徴です。今回のシステムリニューアルで検索スピードも格段にアップしたので、今まで以上に楽しめるシステムになりました、とのことです。

4月6日からは新しい企画展「アートでむしむし展 −みればみるほどワクワク世界−」がはじまります。アートで自然で虫? 小さい子も一緒に楽しめそうな展覧会です。この展覧会では重要文化財に指定されている小田野直武「東叡山不忍池図」が公開され、展覧会にあわせたコンサートも予定されています。

秋田県立近代美術館の三浦さん
秋田県立近代美術館の三浦さん

ディスプレイに文字を表示することは、印刷とはずいぶん勝手が違います。まず解像度が印刷に比べると圧倒的に低いため、明朝体の特徴である細い横画やしゅっと伸びたハライなどが、可読性を妨げてしまいがちです。また、モニタのしくみや画面解像度、輝度、あるいは表示するシステムの描画エンジンなどによって、文字の表示結果が異なることがわかりました。

ディスプレイで文字がくっきりと表示できること、これがまず第一です。しかしその後には必ず「どう伝えたいか」という表現力が求められるのではないでしょうか。明朝体は日本の文字表現の世界ではスタンダードとして使用されています。デジタルメディアでも「明朝体で」という声をたくさん頂いております。秀英体の持つ表現力をディスプレイでもきちんと発揮させていけるよう、今後とも調査・研究を進めて参ります。
ご期待ください!

(2006.3.29 伊藤)