秀英体のコネタ

2008年09月11日

 

第25回 秀英体 meets 源氏物語!

「源氏物語の1000年」バナー

「特別展 源氏物語の1000年 −あこがれの王朝ロマン−」

2008年8月30日(土)〜11月3日(月・祝)

横浜美術館新規ウィンドウが開きます

10:00−18:00(金曜日は20:00まで) 毎週木曜は休館
一般 当日:1300円、前売:1200円
大学・高校生 当日:700円、前売:600円
中学生以下は無料

主催:横浜美術館、NHK、NHKプロモーション、後援:横浜市市民活力推進局
協賛:大日本印刷、三井住友海上火災保険、企画協力:京都文化博物館
特別協力:源氏物語千年紀委員会
協力:京浜急行電鉄、相模鉄道、東京急行電鉄、みなとみらい線、横浜ケーブルビジョン、横浜市ケーブルテレビ協議会、FMヨコハマ、ランドマークプラザ

2008年といえば、「源氏物語」が紫式部日記に登場しその作品が確認されてから1000年の記念の年だそうです。

さまざまな場所で、源氏物語や紫式部にちなんだイベントが開催されていますよね。新たな写本が見つかったというニュースも話題になったばかりです。

そんな源氏物語1000年を記念して、横浜美術館では2008年8月30日(土)から11月3日(月・祝)まで「特別展 源氏物語の1000年」が開催されています。

なんと、この素敵な展覧会のポスター・チラシ等に、秀英体が使われているんです!

「源氏物語の1000年」ポスター
秋は横浜で源氏物語を堪能!

表も裏も、小さな文字まで秀英体です。秀英太明朝体を中心に、細かいキャプションなどは秀英中明朝体が使用されています。

秀英体を使ってくださったデザイナーは栗原幸治さん、印刷物の製作はDNPグループのDNPアートコミュニケーションズが担当しました。

さて、星の数ほどある書体の中で、なぜ秀英体を使ったのか、栗原さんにうかがってみたところ、

「古典を紹介するための展覧会ですから、できるかぎり現代使われている文字の原点に近い書体(デジタルフォント)で組みたかったんです。」
とのこと! そんなふうに考えて使っていただけるとは、うれしい限りです。

タイトル中央の「の」だけは、リュウミン(モリサワ)が使用されています。これはどうしてでしょう?

「「の」についてはタイトルの要の位置にある文字なのでいろいろ検討してみました。展覧会のタイトルがちょっと長いので、引き締める意図で、形に特徴のあるリュウミンにしました。」

秀英体とリュウミンの「の」
左が秀英体、右がリュウミンです。
こういった書体の微妙な違いを理解して使って下さっています。

なるほど、そういった意図があったわけですね。日本語において、ひらがな・カタカナは書体の特徴が強く出る文字です。デザイナーの皆さんは、書体の特徴を深く理解しているため、目的に応じては、今回のように複数の書体を組み合わせたりすることもよくあります。書体を開発する際は、統一感のあるスタイルを目指して作っていますが、別の書体と一緒に使われることで、新たな見え方が生まれてくるものです。

書体の選択は、一見地味なようで、デザイナーの個性が発揮される場面です。映画やテレビにたとえれば、どういう声で言葉が語られるのか、ナレーターのキャスティングにあたる作業といえるのではないでしょうか。みなさんもぜひ、いろいろな書体の混植で、ことばを違った表情で輝かせてみませんか?

「特別展 源氏物語の1000年 −あこがれの王朝ロマン−」は、源氏物語が誕生した王朝文化をひもときながら、絵画として描かれ読まれてきた「源氏絵」の世界、そして明治以降の新しい画家によって描かれた源氏物語の世界が紹介されているそうです。そして何と、国宝に指定されている源氏物語絵巻の復元模写も展示! 絵巻が鮮やかな色彩でよみがえります。

1000年という長い長い時間を経てもなお愛される源氏物語の世界に、わずかながら秀英体もお手伝いできて光栄です。源氏物語からみれば、秀英体なんてたった100年、まだまだひよっこです。秀英体も長く使われていくよう、今後とも精進していきます。

(2008.9.11 佐々木)