大阪府泉大津市教育委員会様

「学びのフィードバック」で、一人ひとりに応じた学びを 
テストのデジタル採点による教員の業務効率化、児童生徒の基礎的な資質・能力向上を目指す大阪府泉大津市の取組み

日々、紙で実施しているテスト・ドリルをデジタル採点することで教員の業務を効率化するとともに、学習履歴(スタディ・ログ)に基づく個別に最適化された学びの実現を支援するシステム『リアテンダント®』。
全国の自治体・学校で導入が広がる中、2019年10月から小・中学校で活用を始めた泉大津市の教育委員会事務局教育部 指導課 大達雄 指導主事に、導入のねらいやこれまでの活用の成果について聞きました。

この記事のポイント

  • 学習評価観を「値踏みする評価」から「学習を支援する評価」に変える必要性を実感
  • 教員の働き方改革の視点と、学びの質を変えていく視点から、市の教育改革の方向性とマッチし、導入
  • テストの採点集計時間削減の効果が見られ、今後は一人ひとりに応じた学びの提供を目指す

学習評価観を「学習を支援する評価」に変える

泉大津市では、「キャリアを支援し『夢』を実現できるまち」づくりということを一つの視点として、これからの教育政策を計画しています。例えば、さまざまな家庭の事情を抱えた子どもたちがいる中で、等しく子どもたちが自立して学べるよう、家庭学習の在り方を情報技術(個別最適化学習等)の力を借りながら見直していきたいと考えています。

学校教育においては、一人ひとりの確かな学びを実現していくためには、教員・保護者・子どもたちが持つ学習評価観を変える必要性を感じます。それは、一言でいえば「値踏みする評価」をやめて「学習を支援する評価」に変えるということ。
「たとえば、子どもたちが受験に向けて成績を上げることばかりに目が向いているとすれば、それは主体的な学びと言えるでしょうか。結果としての評価(成績)をはじめ数値ばかりに右往左往してしまう現状があると認識しています。そうではなく、評価が本来もつ役割は『学びのフィードバック情報』です。この情報をもとに先生も子どもも、次の学びに活かしていくことが重要です」と大達指導主事は話します。
そして、こうした「学びのフィードバック情報」を提供する手段としても、教育とテクノロジーを融合させる「EdTech」が有効だと考えています。

市の教育改革にマッチするサービスを提供

もう1つ、教育委員会として「EdTech」の活用で期待しているのが、多忙感を抱える教員の負担を軽減する業務の効率化です。その意味で、最初に『リアテンダント』に注目したのは、テストをデジタル採点できる”教員の働き方改革”の視点だったといいます。

しかし、その後クラウド上で個々の学習状況を分かりやすく可視化し、教員が子どもたち一人ひとりに合った指導や評価に活用できるなど他製品にはない魅力があることを知り、「子どもたちの学習履歴を活用し、学びの質をどう変えていくかが今後の教育における課題になると考えると、『リアテンダント』の持つさまざまなサービスが、市の教育改革の方向性にもマッチすると感じました」と導入に至った理由を挙げました。

なかでも、紙のテスト解答結果を現代テスト理論に基づきAI的に分析し、子どもたちの習熟度に合わせた復習教材(レコメンドシート)を数日のうちに提供するサービス(※)には、個別最適化された学びを実現する魅力があるといいます。

さらには現在、学校現場では統合型校務支援システムが普及し、個々の学習・生活情報がデータベース化する時代を迎え、それらのデータをどのように有効活用していくかが課題になっています。その中で、「『リアテンダント』は子ども一人ひとりのスタディ・ログが記載された診断表『個人カルテ』を発行するサービス(※)があり、しかもアンケート集計など学校評価・運営にも便利な機能もあって、将来的な活用の見通しが持てることも大きかったと思います」と強調しました。
(※…小学校4~6年生対象)

採点時間が2分の1~3分の1に削減

次に、導入から2か月余りと十分な時間は経っていませんが、小・中学校での活用状況について聞いたところ、「学校によって差はありますが、定期テスト等で活用した中学校では、”採点集計時間が削減された”、小学校では個別最適化学習の部分で、”これをきっかけに評価を含めて、授業改善していきたい”という前向きな声を聞いています」と手応えを感じていることを披露します。

そこで、実際に導入した泉大津市立誠風中学校を取材しました。技術科を担当する梅﨑 貴弘先生は「本校でも、他の学校と同様にテストの採点や集計に時間がかかるのが課題になっていました。自分自身も、最初はこれを使うことでどれだけ作業が簡便化するのか興味があり、コンピュータの操作に慣れた若手の教員から使用していきました」と、これまで中間テストと期末テストの2回にわたり、『リアテンダント』でテストのデジタル採点を実施したといいます。

実際に使用した感想については、「個人的には1クラスあたり1時間半かかっていた採点時間が、30分で済むようになりました。得点の計算間違いなどのケアレスミスの心配も無くなるほか、観点別に自動集計されるのが便利です」と挙げ、他の主要5教科を担当する先生方に聞いても、概ね採点の集計時間が従来の2分の1程度に削減されていると評価しました。
「たとえば国語の先生は、その日のうちにテスト用紙を生徒たちに返せる状態になったと話しており、そんなに早くなるのならと、期末テストから使い始めた先生方も増えています」と話します。

子どもたちと一緒に深めていく授業を期待

今後の取組みについて大達指導主事は、教員の負担を軽減することと併せて、子どもたちへの丁寧な見取りと、そこに的確に一人ひとりに応じた学びを提供することで、子どもたちの学力を含めた基礎的な資質・能力を向上していきたいと語ります。
その上で、「これからは知識や技能を短期間で学習する情報技術(アダプティブ・ラーニング)がさらに進化し、学習効率を大きく高めることが可能です。そのぶん先生方には学校しかできない協働的な学びの中で、子どもたちと一緒に深めていく授業を実現していただきたいと思います。
また、『EdTech』により『見える化』された情報を、子どもたちの学びにどのようにつなげていくかを重視していくとともに、今までできなかったクラス間の教育内容の違いの気づきも含めて、教員同士のつながりにも使っていけるのではないかと期待しています」と抱負を述べます。

さらに、学びのフィードバックの場面を大事にした取組みとして、「子どもたちは自分がつまずいたところをはっきりと自覚できるため、それをもとに同じ課題をもった子ども同士がグループワークによって解決するなど、学び合い教え合う取組みにも活用してみたいと考えています」と話してくれました。

泉大津市教育委員会事務局教育部 指導課
大達雄 指導主事

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