株式会社ファンケル様

従来のDMと比べて効果が約3倍に!休眠直前のお客さま一人ひとりに合わせたパーソナライズドDM施策で、再購入率の大幅な向上に成功。

世の中の「不」を解消するという理念のもと、安心・安全な無添加化粧品や、科学的根拠に基づいたサプリメント・健康食品の開発・製造・販売を行う、株式会社ファンケル様(以下、ファンケル様)。この度、大日本印刷株式会社(以下、DNP)と株式会社DNPコミュニケーションデザインは、同社の通信販売を利用されているお客さまに対し、一人ひとりの購買行動から読み取れる心理に合わせた情報が掲載されたパーソナライズドDMをお送りするという、新たなCRM(Customer Relationship Management)施策の実施を支援させていただきました。この取り組みによって、ファンケル様では、休眠直前とみられるお客さまへのDMによる再購入促進効果を、従来の約3倍にまで向上いたしました。

過去の購買行動特徴とメインで購入している商品に合わせて、
おすすめのご案内を最適化。

主にファンケル公式オンラインショップや電話注文などで、定期的に化粧品やサプリメントを購入していたものの、直近数ヶ月間で未購入(休眠直前)のお客さまに対し、メインで購入していた商品と過去の購買頻度の推移から読み取れる未購入理由に合わせて、訴求内容を変化させたDMをお届け。データ分析とアナログな紙メディアを組み合わせた、新たな顧客コミュニケーション手法の実現を支援させていただきました。

具体的には、ファンケル様で導入されているマーケティングオートメーションツール(以下、MA)にて、休眠直前のお客さまの過去の購入商品と購買頻度を抽出し、未購入要因をクラス分け。クラス分けされたお客さまリストを、DNPの「パーソナライズド・プリント・プラットフォーム」に連携いただくことで、購入商品と未購入要因別に最適化された訴求コンテンツを掲載したパーソナライズドDMを自動で生成・印刷・発送いたしました。

「パーソナライズド・プリント・プラットフォーム」パーソナライズドDM施策実施概要図

「パーソナライズドDM施策実施」概要図

「パーソナライズド・プリント・プラットフォーム」パーソナライズドDMの内容説明

「パーソナライズドDM」イメージ

◇パーソナライズドDMとは

パーソナライズドDMは、WEBサイトやオウンドメディアから得られる顧客行動データを起点に、コンテンツだけでなく、タイミングも顧客一人ひとりに最適化された紙メディアのことを指します。DNPの「パーソナライズド・プリント・プラットフォーム」では、顧客のホットなタイミングを逃さないよう、データ連携から最短24時間で、個々にパーソナライズ化されたコンテンツを紙メディアで発送します。

背景・課題・実施効果

今回、上記のCRMにおける新たなパーソナライズドコミュニケーション施策の実施を推進された、株式会社ファンケル 通販営業本部 営業企画部 デジタル推進グループ 課長 長谷川敬晃様と佐藤康平様に、施策実施やDNPの「パーソナライズド・プリント・プラットフォーム」の採用に至るまでの背景などについてお話を伺いました。

株式会社ファンケル 通販営業本部 営業企画部デジタル推進グループ  課長 長谷川敬晃様(写真:右)、佐藤康平様(写真:左)

株式会社ファンケル 通販営業本部 営業企画部 デジタル推進グループ
課長 長谷川敬晃様(写真:右)佐藤康平様(写真:左)

パーソナライズドコミュニケーションに、
アナログならではの「情報を届ける力」を組み合わせる。

Q.今回取り組まれたパーソナライズドDMの、実施に至った背景や目的について
お聞かせください。

株式会社ファンケル 通販営業本部 営業企画部デジタル推進グループ  課長 長谷川敬晃様



長谷川敬晃様(以下、長谷川様):もともとファンケルの中では、お客さまに対して1to1のコミュニケーションを行っていくというミッションを掲げていました。というのも、お客さまのニーズが多様化しているからです。サプリメントにおいては特に顕著ですが、ビタミンやミネラルなどの栄養補給型商品よりも、目のピント調整力や内臓脂肪を減らすなど、個別の悩みに特化した機能を持つ商品が近年求められるようになってきています。お客さまによって求める商品や志向性が異なる中で、画一的な情報提供では満足いただけないと考えています。

株式会社ファンケル 通販営業本部 営業企画部デジタル推進グループ 佐藤康平様



佐藤康平様(以下、佐藤様):そのような背景から、ファンケルとしては、2009年頃からWEBにおけるパーソナライズドコミュニケーションの取り組みを開始していました。10年近く取り組みを続けてきた中で、お客さま一人ひとりに合わせた情報提供の有用性は実感していましたが、一方、メールやLINE、WEBサイトといったデジタル接点を中心に推進してきており、実際にはメールが届かなかったり、普段は電話注文を中心としてWEBサイトにアクセスしていないお客さまがいる中で、1to1のコミュニケーションが一部のお客さまにしか行き届いていないことに課題を感じておりました。

長谷川様:しかし、ただ単純に「メールやLINEで届かない人には紙DMを送る」という発想ではなく、紙メディアならではの「読んでもらう力」や「情緒的な印象性」を活かしつつ、そこにデジタルで培ってきたパーソナライズの考え方を組み合わせたいと考えていました。100通送ったら2件のご注文があった、ではなく、100通送ったら100人のお客さまがそれぞれどう思われるのか。創業からおよそ40年、アナログな時代の通販から始まったファンケルだからこその、紙メディアで情報を届ける力やノウハウを、パーソナライズドコミュニケーションに落とし込む業務スキームを作りたかった。

“継続的なPDCA”と“印刷物としての品質”。

Q.今回のパーソナライズドDMの取り組みにおいて、DNPをパートナーとして選んでいただいた理由は?

長谷川様:まず、今回のようなプロジェクトは、日々のPDCAのチューニングを高速、且つ継続することによって成果を出していくものだと考えており、そこを一緒になって並走してくれることを重要視してパートナーを探していました。DNP様は、既にパーソナライズドDMのサービスを持たれており、実績も豊富、知見やノウハウといった面でプロジェクトを立ち上げるうえでの安心感があったのに加え、提案の中に導入後のフォローアップ体制やPDCAを協働しながら回していくという意思が感じられ、こちら側の真意や方向性をよく理解いただけていると思いました。

佐藤様:また、さきほど長谷川も申し上げたように、アプローチ媒体の一つとしてのDMという概念ではなく、お客さまとの繋がりを強くするために、印刷物であるからこその良さを活かしていきたいという考えがあったため、印刷物を作るプロにお願いしたいという思いがありました。この点については、社内メンバー全員が共通意識を持っていました。お客さまに届けるものに失礼があってはならない、良いモノを作りたい、そこはファンケルの文化として社員一人ひとりが心に留めています。

お客さまとの繋がりを強くする。そのポイントは、データから見える行動背景に寄り添ったクリエイティブ。

Q.今回のパーソナライズドDMでは、従来のDMと比べて引き上げ効果が3倍ほどに向上したそうですね?

長谷川様:はい。これまでのやり方のDMとパーソナライズドDMで、それぞれDMをお届けしない場合との再購入率を比較したところ、これまでのやり方のDMが+1.8%であったのに対し、パーソナライズドDMは+5.3%と約3倍の引き上げ効果が得られました。お客さまの行動の背景をデータから理解し、お客さまに寄り添ったコンテンツやクリエイティブを作りこんだことが、結果に大きく影響したと思っています。

佐藤様:今回の取り組みでは、一定期間購入がなく休眠直前と思われるお客さまへ再購入を促進するシナリオを実施いたしましたが、対象のお客さまの過去1年分の購買データから、何度か継続購入されていた商品とその購入間隔の推移を分析して、どんな理由で未購入なのかを推測し、その理由別にご案内を変えられるように数十パターンのコンテンツを用意しました。これが結果として、年代問わず、お客さまにとって自分事化しやすい、気づきや発見を与えられるコミュニケーションに繋がったのだと考えています。実際に年代別で見ると、ファンケルのメインのお客様層である30~50代よりも、20代や60代以上のお客さまからの再購入率の伸びが特に高くなっていました。

長谷川様:今までの画一的な情報提供によるコミュニケーションは、やはりお客さまの中でもボリュームゾーンに対してのコミュニケーション中心になりがちでしたが、今回のパーソナライズドDMにおいては、ボリュームゾーン以外のお客さまにもしっかり届くものになっていたということが重要です。

Q.数字的な効果の他に、今回の施策を通して発見や気づきはございましたか?

長谷川様:社内の横のつながりが強化されたと思います。現在、ファンケルの通販営業本部の組織は、デジタルマーケティングやデータ分析に特化した専門部門をあえて作っていません。組織全体でデジタルの力を持っていこうという意思の表れなのですが、実際のところ、デジタル担当と紙メディア担当とで業務レベルでは役割がきっちりと分かれてしまっていました。しかし、本プロジェクトでは、お互いに「お客さまとの繋がりを強化」という目的は同じで、タッチポイントがデジタルだろうがアナログだろうが関係なく、一緒に考えるべきだという意識が浸透していくのを感じました。

佐藤様:社内の「デジタルの民主化」も進んだ気がしています。今では、紙メディアの担当者からもデジタルを活用した企画が上がってくるようになりました。デジタル担当としても、紙メディアの業務フローが理解できたことはもちろん、効率だけでなく、紙メディアをはじめ、アナログなタッチポイントだからこその価値や定量化できない機能について議論するような動きも出てきています。

お客さまにとって最も心地よいタイミングを掴んだコミュニケーションを。

Q.パーソナライズドDM活用における、今後の展望がございましたらお聞かせください。

佐藤様:タイミングのパーソナライズを今後深めていきたいと思っています。コミュニケーションを取るタイミングによって、嬉しさと鬱陶しさ、与える印象は紙一重なので、お客さまの行動ベースでそこを設計することはとても重要だと考えています。

長谷川様:例えば、お店に行って『困ったな、誰かに相談したいな』と思った瞬間に店員さんに声をかけられるのと、商品を眺めているだけの時に「お探しものは?」とまくしたてられるのとでは、お客さまが持つ印象はだいぶ違いますよね。お客さまにとって最も心地の良いタイミングを掴み、最も心地の良いコミュニケーションを突き詰めていきたいですね。

※社名・役職などは掲載当時のものです。

【用語解説】

◇CRM(Customer Relationship Management)とは

顧客管理または顧客関係管理の略語です。市場に競合する商品が溢れ、さらに少子高齢化の影響もあって、新規顧客の獲得が難しくなっており、むしろ既成顧客との関係を継続的に強化するほうが、売上・利益向上に効果的との考え方から活用されています。これまでの購入特性に基づき、顧客のセグメント化を行い、それぞれのセグメントに最適な営業/マーケティング施策を実施することで、より大きな売上や利益を獲得や、顧客のファン化、ロイヤルカスタマー化を目指します。

◇マーケティングオートメーション(MA)とは

顧客、特に見込み客へのマーケティング施策を実施するため、顧客情報を一元化し、メール送信などを自動化することをマーケティングオートメーションと言い、これを実現するツールをマーケティングオートメーションツールと呼びます。営業活動が受注間近な顧客に集中しがちで、対応がおろそかになりがちな見込み客とのコミュニケーションを図ることができ、効率的な顧客育成が可能になります。

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