株式会社DNPロジスティクス
DXの取り組みとして点呼業務をデジタル化!
点呼時間の短縮と記録簿のペーパーレスを実現
運送事業者は、安全運行を確保するため、法律にもとづき、運転の前後に点呼を行います。点呼では運転免許証(以下、免許証)の有効期限やアルコール、運転者の疫病、疲労、睡眠不足等の状況などを厳格にチェックしなければなりません。
今回、日々の点呼業務や点呼記録簿をデジタル化し、運行管理業務の効率化を目的として、安全運転管理サポートシステムを導入した株式会社DNPロジスティクス(以下、DNPロジスティクス)に、導入効果や運用方法についてインタビューしました。
(2020年12月記載)
導入場所・時期
2019年3月、DNPロジスティクスの9拠点に、「安全運転管理サポートシステム」を導入。
導入企業プロフィール
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DNPロジスティクス 本社ビル |
・会社名:DNPロジスティクス
・事業内容:一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、貨物軽自動車運送事業、倉庫業、荷造・包装及び梱包請負
・URL:https://www.dnp.co.jp/group/dnp-logistics/index.html
・関東周辺1拠点あたりのドライバーの人数:12~20名
・ご担当者:第1輸送本部東京統括運輸部赤羽事業所 鈴木、藤田
・DNPロジスティクスは、輸送の安全の確保に積極的に取り組み、“Gマーク”を取得しています。
目視や手書き、紙での管理など、点呼業務における課題
安全運転管理サポートシステムの導入前、DNPロジスティクスの点呼業務は非効率でした。
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DNPロジスティクス 赤羽事業所 鈴木 |
- 目視、紙に手書きという“アナログ”な運用方法
鈴木、藤田によると、日々の点呼業務は、次のような流れでした。
1. 点呼記録簿の用紙を用意。
2. 運行管理者が、ドライバーの免許証が本人のものであるか、有効期限切れでないかどうかを目視で確認。
3. アルコールチェッカーの数値がゼロであるかを目視確認。
4. 点呼記録簿を手書きで記入し、検印。
5. アルコールチェッカーから出力されたアルコールチェック結果の用紙に検印。
6. 点呼記録簿に糊付けをして専用のファイルに保管。
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DNPロジスティクス 赤羽事業所 藤田 |
- 点呼業務にかかる時間
一連の点呼業務には、ドライバー1人当たりにつき5~10分程度かかっていました。帰庫が集中する夕方の時間帯には点呼の順番待ちの列ができ、残業時間が発生するということもありました。
目視、手書きによるミス
人の目で免許証やアルコール数値をチェックして点呼記録簿を手書きする、という運用方法では、どうしても見逃しや書き間違い、検印の押し忘れといったミスや漏れが発生してしまいます。DNPロジスティクスでは、2年に1回の外部機関による巡回指導や、年に1回の内部監査が行われています。
鈴木、藤田:「点呼記録簿に記入ミスや検印漏れがあった場合、指導の対象になるので、そのようなことは避けなければなりません。」
紙の資料管理が大変
点呼記録簿は、貨物自動車運送事業輸送安全規則※1により、1年間の保管が義務付けられています。点呼記録簿の用紙1年分は膨大な量になるので、保管する場所の確保が課題でした。また、巡回指導や内部監査の際には、対象の日付の点呼記録簿に糊付けされているはずのアルコールチェック結果の用紙が剥がれていることもあり、資料をそろえるのに時間がかかっていました。
※1「貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成二年運輸省令第二十二号)」第7条
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DNPアイディーシステム 梅本(インタビュアー) |
DNPロジスティクスでは、社内でDXに取り組んでいたこともあり、 “アナログ”での点呼を廃止して業務効率を向上するため、デジタル化・ペーパーレス化を実現できる「安全運転管理サポートシステム」を導入しました。
安全運転管理サポートシステム導入後の変化
安全運転管理サポートシステムの導入後、DNPロジスティクスの点呼業務は効率化されました。
ペーパーレスを実現、目視・手書きの手間やリスクを削減
鈴木、藤田:「点呼の結果は全てシステムでデータ管理されるため、点呼記録簿の用紙を作成・印刷する必要がなくなりました。運行管理者はシステムの画面の項目にチェックを入れるだけで済み、免許証も専用リーダーにかざすだけで有効期限切れかどうかの判定結果が自動的に表示されるので、細かい日付までチェックする必要がありません。
アルコールの数値もアルコールチェッカーの測定値がそのままシステムの画面に表示されるので、アルコールチェック結果の用紙は要らなくなりました。また、システムで運行管理者が誰であるかも明示されるため、管理者の検印も不要になりました。」
目視や紙の点呼記録簿がなくなったことにより、免許証の有効期限切れの見逃しや検印漏れといったリスクも削減されました。
安全運転管理サポートシステムによる点呼 |
点呼業務にかかる時間を短縮
鈴木、藤田:「ドライバー1人当たりにつき5~10分程度かかっていた時間は、1分程度に短縮されました。帰庫が集中する夕方の時間帯に順番待ちが発生した場合でも、1人にかかる時間が短くなったため、待ち時間が少なくなり、終業時間が過ぎてしまうこともほとんどなくなりました。」
紙の資料管理の手間を削減
鈴木、藤田:「点呼記録簿の用紙は不要になったので、保管場所を確保する必要がなくなりました。巡回指導や内部監査の際にも、システムから対象の日付の点呼記録簿を出力すればいいので、資料をそろえるための時間や手間も減らすことができました。」
DNPロジスティクスにおける運用面でのコロナ感染防止対策
新型コロナウィルスの影響により宅配需要が高まる中、物流は社会的なインフラとしての重要性が再認識されています。企業活動や消費者の生活を支える物流に携わるDNPロジスティクスでは、下記のように、社内の感染症防止対策も徹底しています。
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サーモグラフィーによる体温確認 |
・ サーモグラフィーによる、オフィス入室前の体温チェック
・ 使用前後に点呼用PCやスキャナー、アルコールチェッカーをアルコール消毒
・ 点呼用アルコールチェッカー用に、個包装のストローを使用
・ 社長を含め、全社で毎日決められた時間にデスク周りのアルコール消毒を実施
安全かつ確実な運送サービスの提供をめざして
点呼の“デジタル”化とペーパーレス化を実現したDNPロジスティクスですが、一部の事業所では勤怠管理システムと安全運転管理サポートシステムを連携させ、入退室の時間と業務開始前後の点呼実施時間の整合性チェックを行うなど、DXに精力的に取り組んでいるとのことです。
業務のデジタル化は、業務時間の短縮やペーパーレス化だけではなく、運行管理やドライバーの労働に関する記録や台帳の整合性チェックの精度も向上し、適正な運行管理やドライバーの労務管理につながります。
鈴木、藤田:「DNPロジスティクスは、運行管理やドライバーの労務管理を適正に行い、安全かつ確実な運送サービスを利用者に提供できるよう尽力します。」
用語説明
- DXとは…
デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)の略。
経済産業省の「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」では、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義されています。
【引用】経済産業省 デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)
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DNPロジスティクスのGマーク |
- Gマークとは…
・国土交通省が推進する「安全性優良事業所」の認定制度です。
・Gマーク認定事業所の事故割合は未取得事業所に比べて半分以下です。
・安全性の高いトラック運送事業者を選ぶための目安です。
【引用】国土交通省 Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)
- 運行管理者とは…
運送事業者は、貨物自動車運送事業輸送安全規則※2により、営業所ごとに車両の数に応じた人数の運行管理者を選任することが義務付けられています。
運行管理者は、業務開始前後にドライバーに対して点呼を行い、点呼の記録は1年間保存しなければなりません。
※2「貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成二年運輸省令第二十二号)」第7条、第17条、第18条、第19条、第20条
この事例で導入した製品・サービスの動画
安全運転管理サポートシステム 点呼編:自動車運送事業者(緑ナンバー)向け
製品の企画・販売元
※記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
内容について、予告なく変更することがあります。
本製品に関するお問合わせは、「安全運転管理サポートシステムのお問合わせ」ボタンをクリックし、必要フォームを入力の上ご連絡ください。
※本製品について、電話でのお問合わせをご希望する場合には、フリーダイヤル0120-033-343または、03-3350-4612までご連絡ください。
「この事例で導入した製品・サービス」
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無免許運転(不携帯、有効期限切れ、無資格、偽造)、飲酒運転を未然に防ぎ、運転者と企業の社会的信用を守ります。
車両を保有する企業において「運輸事業に必要な乗務点呼をシステム化したい」、「運転免許証の目視確認で有効期限切れ、運転資格などの見逃しを防止したい」、「※運転免許証の確認、アルコールチェックから車両の鍵、ETCカード、給油カードまで一元管理したい」、「運転者情報、確認履歴をデータで管理したい」などコンプライアンスに関わる課題を解決します。
安全運転管理サポートシステムでは運転資格のないドライバーを運転させない、事務所からの道路交通法違反を防止し、安全運転意識の向上をサポートします。
今までの運輸事業者の乗務点呼に特化したシステムから新たに確認事項のカスタマイズ機能を追加して一般企業にも使いやすくなりました。
※運転免許証の確認は有効期限、無資格運転、偽造判定、不携帯の防止の確認が可能です。
関連製品サービス
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運転免許証(以下、免許証)によるドライバー管理・ICチップデータを活用した社員証のような個人認証・ICチップデータとスキャン画像による本人確認時のチェック(真贋判定補助)などの機能を簡単にシステム組み込み可能なソフトウェア開発キット(SDK:Software Development Kit)です。
スタンドアローンで運用可能な「運転免許証確認アプリケーション」では、自動車教習所(以下、教習所)など、免許証チェック(真贋判定補助/ICチップデータ読み取り)や、帳票(確認記録)の印刷が、簡単にできます。(ソフトウェア開発キットとスタンドアローンアプリケーションを選択可能)
DNP独自技術により、免許証の画像から暗証番号(PIN)なしで簡単チェック(真贋判定補助)・免許証の個人認証を実現しました。 -
レンタカー、携帯電話、会員申し込み手続きなど、店頭や窓口で法律・規則により、本人確認を行う際に、お客様の目の前で、運転免許証(以下、免許証)、在留カード、特別永住者証明書、マイナンバーカード、パスポート(旅券)など、本人確認書類のスキャンができます。
IDドキュメントリーダーは、ICリーダーライターを内蔵しているため、スキャナーに本人確認書類やカードを挿入するだけで、スキャン画像と、ICチップデータの読み取りが可能です。
本体がコンパクトなので、窓口での本人確認時に、お客様からお預かりした本人確認書類をバックヤードなど目の届かないところに持ち込むことなく、お客様の目の前でスキャンできるため、お客様対応の品質向上と業務効率化を実現できます。
※免許証、在留カード、特別永住者証明書、マイナンバーカード、パスポート(旅券)など、各種ICチップ付き本人確認書類のICチップデータ読み取りには、別途、ソフトウェアが必要です。
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