自社事例(京あそび)

千利休の菩提寺聚光院で 狩野永徳唯一の国宝障壁画を堪能

大徳寺塔頭 聚光院は京都市北区紫野大徳寺町にある臨済宗大徳寺派の大本山。千利休が開祖・笑嶺和尚に参禅したことから千利休の墓をはじめ、三千家の菩提寺で三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)歴代の墓所となっています。また、狩野永徳・松栄親子が描いた本堂障壁画(現在はDNPデジタル高精細複製 伝匠美®)は全て国宝に指定されています。その聚光院において、狩野派の襖絵と千利休の世界観を堪能するプログラムを開催しました。

プログラム内容

プログラム1 千利休の菩提寺聚光院で 狩野永徳唯一の国宝障壁画を堪能

<開催日時>2018年3月25日(日)、31日(土)、4月1日(日)

<プログラム内容>
・小野澤ご住職のお話
・京都国立博物館学芸部長 山本先生による解説
・狩野永徳親子の障壁画(伝匠美®)の鑑賞
・庭園・茶室見学
・竹籠弁当のご昼食若しくはお茶席
・千利休の墓所お参りののち解散

学芸員による高精細複製作品の解説

大徳寺 聚光院の方丈障壁画全46面は、狩野派の天才絵師 狩野永徳とその父・松栄が手掛けた作品で、国宝に指定されており、現在は京都国立博物館に収蔵されています。
今回、「伝匠美®」による高精細複製の同障壁画を、京都国立博物館 学芸部長 山本英男先生の解説とともに間近に鑑賞できるとあって、多くの狩野派ファンや近世の日本画に興味をお持ちの方が集いました。

まずは、現代日本画家 千住博氏の大作「滝」が設えられた書院にて、小野澤ご住職による聚光院開山の歴史や、千利休、三千家との関わりについてのお話があった後、山本先生による、400年続いたという狩野派の歴史についての大変興味深い講座がありました。なぜ狩野派が歴代の為政者に関わる仕事を任されてきたのかを、作品にみられる特徴や組織としての戦略、長谷川等伯など同じ時代を生きた絵師たちとの関係などの興味深い視点からの解説が行われました。
続いて通常入室できない方丈へと移動し、実際の作品を目の前に解説を聞きました。高精細複製であるからこそ叶えられる間近での鑑賞、作品の詳細な部分をひとつひとつ解説とともに追っていくという、一般の寺社公開や展覧会では味わえない貴重な体験に、参加者の皆さんも前のめりになって耳を傾け、質問する姿が印象的でした。

現代日本画家 千住博氏の大作「滝」と小野澤ご住職

大徳寺 聚光院は、千利休の菩提寺であることから三千家にも縁が深く、侘茶の聖地ともいわれています。休憩をはさんだ後は、狩野永徳が下絵を描き、千利休が整えたといわれる「百積庭」、利休を偲んで作られた2つの茶室「閑隠席」と「枡床席」を、大徳寺 聚光院でボランティアをされている猿田さんのご案内でゆっくりと見学していただきました。

最後は、鮮やかなブルーが印象的な襖絵「滝」を目前に、午前の部では茶懐石専門店 三友居の「竹籠弁当」、午後の部は京菓子の老舗 末富の、この日のために特別にご用意した上生菓子「滝の音(ね)」とおうす(お抹茶)を、それぞれご賞味いただきました。お土産には、末富の「京ふうせん」をお渡ししました。

お帰りの際には、通常非公開の千利休墓所をご案内し、同時代を生きた狩野永徳と千利休の世界に触れる一日を締めくくりました。

<参加者の声(アンケートより抜粋)>
◎普段見られないものを学芸員の方の解説で深く理解でき、学びとなった。またお弁当も非常に素晴らしく、大満足のプログラムでした。(大阪府在住 40代女性)
◎識者(学芸員の方)による説明がわかり易かった。また、随時質問にもお答え頂け、双方向のコミュニケーションを取れたことも良かったです。(大阪府在住 50代女性)
◎ご住職のお話も先生のお話もとてもわかりやすく勉強になりました。また間近で画を拝見できたこと、利休様の墓所にもうかがえたこと、本当に貴重な体験をさせていただきました。(東京都在住 40代女性)


※山本 英男(やまもと ひでお)
1957年岡山県生。大阪大学文学部卒業。山口県立美術館学芸員を経て、現在、京都国立博物館特任研究員。専門は日本中近世絵画史。著書に『雲谷等顔とその一派』(『日本の美術』323 至文堂)、『雪舟とやまと絵屏風』(『日本美術全集』13 講談社 共著)、京都国立博物館編『室町時代の狩野派』(中央公論美術出版)など。主な展覧会に「雪舟」、「狩野永徳」、「長谷川等伯」などがある。

※大室 瑞恵(おおむろ みずえ)
表千家教授。京都NHKカルチャーセンター「表千家茶の湯」講師。京都外大付属高等学校国際学部 学校茶道 講師。自宅茶室にて一般の方にもお稽古しております。一期一会「おいしい一服のお茶を」皆様と共に楽しくお稽古をしております。

プログラム2 大徳寺聚光院で天才絵師狩野永徳と茶人千利休に思いを馳せる

<開催日時>2019年4月20日(土)、21日(日)

<プログラムの内容>
・小野澤ご住職のお話
・京都国立博物館学芸部長 山本先生による解説
・狩野永徳親子の障壁画(高精細複製)の鑑賞
・庭園・茶室見学・墓所参拝
・お茶席体験

学芸員による高精細複製作品の解説

春のあたたかな日差しが注ぐ中、千利休の菩提寺、大徳寺の塔頭寺院 聚光院にて、狩野永徳と千利休をテーマとしたプログラムを行いました。
まず初めは、小野澤ご住職より、聚光院の歴史や茶道とのゆかりをお話しいただきました。三好長慶を弔うため、笑嶺宗訢(しょうれいそうきん)を開山として聚光院は建立され、その笑嶺和尚に千利休が参禅したことなど大変興味深いお話でした。

次に、今回のプログラムのテーマ「狩野永徳と千利休」に焦点を当て、嵯峨美術短期大学の山本英男先生による講義が行われました。特別に展示された千利休直筆の「寄進状」の解説から始まり、狩野永徳の作品の解説や、同じ聚光院にゆかりがある永徳と千利休は実は仲が悪く、千利休のお気に入りは長谷川等伯だったのではないかというお話など、笑いを交えながら大変面白く講義をされました。

聚光院の方丈には、狩野永徳とその父・松栄が手掛けた国宝指定の障壁画全46面が残されており、現在は京都国立博物館に所蔵されています。
講義の後は、この方丈の中に特別にお入りいただき、「伝匠美®」による高精細複製の同障壁画を山本先生の解説で間近に鑑賞していただきました。永徳の豪快な筆遣いを父・松栄の作品と比較しながら、触れられそうな距離でみなさん熱心に鑑賞しておられました。

続いて、狩野永徳が下絵を描き、千利休が整えたといわれる「百積庭」、利休ゆかりの2つの茶室「閑隠席」と「枡床席」を、聚光院の方のわかりやすく親しみやすいご案内で見学していただきました。

表千家 大室先生のお茶席

最後は、表千家の大室先生のお点前によるお茶席です。お茶席経験のない方にも、お菓子の取り方やお薄のいただき方など、先生に優しくご指導いただきました。
永徳の作品「花鳥図」をイメージした塩芳軒謹製の和菓子と、三千家の家紋入りのお茶碗やご住職が作られた黒茶碗などの、貴重なお茶碗でのお薄をお召し上がりいただく、大変貴重な体験となりました。
千利休の菩提寺で行うお茶席に思いを馳せながらゆったりとした時間をお過ごしいただき、プログラムは終了いたしました。


<参加者の声(アンケートより抜粋>
◎ふだん見る事の出来ない障壁画等見せていただき、先生の分かりやすいお話とてもよかったです。楽しい時間でした。お茶も美味しくいただきました。(京都市在住 60代女性)
◎説明して下さる方のお話がそれぞれつながりがあり、テーマに沿って色々な方面から新しいことを見聞きすることができました。お茶の頂き方も、細やかにご指南頂けて、感激しました。(兵庫県在住 50代女性)
◎ゆったりとした時間が流れる中、日本の美を味わうことができました。お点前美味しくいただきました。(大阪府在住 60代女性)

国宝襖絵 大徳寺塔頭聚光院方丈 襖絵 24面

安土桃山時代を代表する狩野松栄(1519-92)・永徳(1543-90)父子が描いた国宝襖絵を「伝匠美®」で再現しました。

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