自社事例(京あそび)

伊藤若冲の墓所 石峰寺で若冲に想いを馳せる

伊藤若冲が晩年を過ごし、墓所もあることで知られている 黄檗宗百丈山 石峰寺には、貴重な若冲作品が数多く残されています。本堂の裏山には、七代密山和尚の協賛を得て若冲がデザインし、石工に彫らせた五百羅漢が並び、当時は千体以上あったといわれる羅漢像も現在は五百三十体ほどとなりましたが、時の流れが刻まれた様子は独特の趣を帯びています。その石峰寺を会場に、学芸員による特別解説付きで若冲の作品を間近で鑑賞いただくプログラムを開催しました。

プログラム内容

石峰寺
黄檗宗百丈山 石峰寺

<開催日時>2018年4月20日(金)、21日(土)、22日(日)

<プログラム内容>
・阪田ご住職のお話
・若冲作品鑑賞 嵯峨嵐山日本美術研究所学芸課長・岡田先生による解説
・ご住職による案内で 本堂・五百羅漢・若冲墓所拝観
・京料理松花堂弁当もしくは季節の京菓子とお茶

岡田先生
嵯峨嵐山日本美術研究所 岡田秀之先生による解説

若冲作品が9点展示された書院にて、阪田ご住職のご挨拶からプログラムがスタートしました。
続いて、嵯峨嵐山日本美術研究所 学芸課長の岡田秀之先生の解説のもと、じっくりと間近で作品を鑑賞いただき、若冲の繊細な筆遣いや技法など、細かい部分まで参加者は食い入るように見ておられました。
他の博物館や展覧会等とは異なり、ガラスで遮られることもなく、また時折電気を消して自然光で水墨画を鑑賞することで、作品本来の質感や当時の明るさを体感してもらうなど、今までとは違った作品の良さに気づかされる有意義な時間となりました。

五百羅漢
阪田ご住職と五百羅漢

続いてご住職の解説付きで本堂や伊藤若冲の墓所、五百羅漢を拝観しました。本堂では黄檗宗の成り立ちと共に黄檗宗に帰依し、数多くの黄檗僧と関係の深かった若冲の生涯を解説いただきました。五百羅漢は釈迦の一生を7つの場面に分け、誕生から涅槃へと続く過程を石像で表現しており、各場面の特徴や石像の表情など細部にわたる解説を受け、無数の石像に想いを馳せました。

境内拝観の後、書院に戻ってからは 午前の部では松花堂弁当、午後の部ではお茶とお菓子をそれぞれ若冲の作品が展示されている部屋でご賞味いただき、最後まで若冲づくしと贅沢なひとときとなりました。


※岡田 秀之(おかだ ひでゆき)
1975年大阪生まれ。嵯峨嵐山日本美術研究所 (SAIJA)学芸課長。関西学院大学大学院文学研究科前期課程修了後、 MIIHO MUSEUM学芸員を経て現職。専門は江戸絵画。 MIHO MUSEUMでは2009年「若冲ワンダーランド」展、 2011年「長沢芦雪 奇は新なり」展、2015年「同い年の天才絵師 若冲と蕪村」展を担当。近著に『別冊太陽 若冲百図』(平凡社、共著)、『若冲ワンダフルワールド』(新潮社、共著)、『若冲の花』(朝日新聞出版社、共著)、『かわいい こわい おもしろい 長澤芦雪』 (新潮社、単著)などがある。

参加者の声(アンケートより抜粋)

◎非常に繊細な絵を解説付きで見られ、若冲の違う側面を知ることができたこと。日本画の歴史を知ることができ非常に知識が深まった。(大阪府在住 50代男性)
◎ガラス越しではなく生でお寺という環境で見ることができ良かった。初めてみる作品も多く、先生の参加者の気づきを促すお話も楽しかった。住職さんのお話もよくわかり楽しかった。(大阪府在住 60代女性)
◎掛物を生ですぐそばで見られ、解説も大変おもしろく、わかりやすく有意義な時間でした。住職様の講話もとてもよかったです。(福井県在住 60代女性)

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