数字で見る!出版市場・生活者トレンド レポート

DNPは運用型モデルのサービスを提供し、出版市場の推移、生活者のメディア接触時間の推移から出版社がこれから取り組むべき、デジタルトランスフォーメーションを支援しています。 今回のコラム記事ではデジタルトランスフォーメーションを推進していくにあたり、基礎となる出版市場と生活者のライフスタイルの変容、雑誌ブランドに対する信頼・情報の価値についてデータを踏まえご紹介致します。

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【目次】

雑誌を読む人の比率が10年で18%減 出版市場の動向

まずは全国出版協会・出版科学研究所の2021年1月の発表データをおさらいしてみましょう。2018年以降、回復傾向にあるものの出版物市場の状況は厳しく、特に2020年の雑誌推定販売金額は月刊誌・週刊誌合わせて5,576億円(前年比1.1%減)でした。月刊誌は全体で4,662億円(前年比0.5%増)となっていますが、内訳をみると
定期誌:2,214億円(前年比11.3%減)
ムック:572億円(14.9%減)
コミックス:1,876億円(前年比27.4%増)
と、増加傾向はコミックスのみで、月刊誌の定期誌は減少傾向にあります。
週刊誌も同様に913億円(前年比8.5%減)と厳しい結果が出ており、今後さらに出版物市場は縮小していくことが予想されています。
また視点を変えて雑誌読書率をみてみます。2020年4月に発表された最新の「読書世論調査」の中から雑誌に関するところを取り出してみましょう。2019年においても雑誌を読む人の割合が43%に対し読まない人は54%と、読まない人の割合が逆転しています。10年前の2009年時点では雑誌を読む人が61%、読まない人が36%であったのと比較すると、雑誌離れが顕著であることが分かります。(図1)
特に年齢層別のデータでは、若者の雑誌を読まない傾向は高く、雑誌を読む人の割合が過半数を超えているのは50代以上の女性のみです。(図2)

「読書世論調査2020年版」のデータ

(図1)

「読書世論調査2020年版」のデータ

(図2)
※図1、2ともに毎日新聞東京本社 「読書世論調査2020年版」の雑誌読書率のデータを基に作成
調査方法:郵送調査/調査時期:2019年7月24日~9月30日/調査エリア:全国300地点/調査対象:満16歳以上(2019年9月末時点)の男女計3,600人(1地点12人)。有効回答数は2,165人、回答率は60%。

生活者のメディア接触時間

雑誌を読む人の比率が減っていることに加え、雑誌を読む時間も減少傾向にあります。博報堂DYメディアパートナーズによる調査の2021年のデータをみてみましょう。
1日の雑誌読書時間は、10年前の2011年では18.6分だったのに対し、2021年には9.3分と半減し、1日の割合でみても、2011年の5.3%から2.1%に減少しています。
一方で、生活者の日常生活における接触時間が増えているのは携帯電話・スマートフォンです。1日の中で携帯電話・スマートフォンを使う時間は2011年の32分から2021年には139.2分に増加し、割合をみても2011年の9.2%から30.9%と3倍に上がっています。

メディア総接触時間の時系列推移(1日あたり・週平均):東京地区

メディア接触時間

(図3)博報堂DYメディアパートーズ メディア環境研究所「メディア定点調査2021」 より引用
※メディア総接触時間は、各メディアの接触時間の合計値 各メディアの接触時間は不明を除く有効回答から算出
※2014年より「パソコンからのインターネット」を「パソコン」に「携帯電話(スマートフォン含む)からのインターネット」を「携帯電話・スマートフォン」に表記を変更
※タブレット端末は、2014年より調査
※調査地区:東京都・大阪府標本/抽出方法:RDD (Random Digit Dialing)/調査方法:郵送調査法/調査対象条件:対象エリアに在住の15~69歳の男女個人/有効回収数:962s(東京都647s、大阪府315s)/調査期間:2021年1月21日(木)発送~2021年2月5日(金)投函締切り/調査実施機関:株式会社ビデオリサーチ

メディア総接触時間の構成比 時系列推移(1日あたり・週平均):東京地区

メディア接触時間

(図4)博報堂DYメディアパートーズ メディア環境研究所「メディア定点調査2021」 より引用
※メディア総接触時間は、各メディアの接触時間の合計値 各メディアの接触時間は不明を除く有効回答から算出
※2014年より「パソコンからのインターネット」を「パソコン」に「携帯電話(スマートフォン含む)からのインターネット」を「携帯電話・スマートフォン」に表記を変更
※タブレット端末は、2014年より調査
※調査地区:東京都・大阪府標本/抽出方法:RDD (Random Digit Dialing)/調査方法:郵送調査法/調査対象条件:対象エリアに在住の15~69歳の男女個人/有効回収数:962s(東京都647s、大阪府315s)/調査期間:2021年1月21日(木)発送~2021年2月5日(金)投函締切り/調査実施機関:株式会社ビデオリサーチ

日本人の雑誌に対する信頼度

生活者が紙の雑誌を読む時間は減り、携帯電話・スマートフォンといったデジタル領域に費やす時間は増えていますが、雑誌自体の価値もなくなっているのでしょうか?
ここで総務省が発行する情報通信白書のデータをご紹介します。同調査によると80%以上が雑誌に対して「信頼できる」「半々くらい」と回答しています。他のSNSや動画投稿サイトといったWebメディアの「信頼できる」「半々くらい」と回答した割合が60%前後であるのと比較しても高い数値といえます。(図5)
同白書は偽情報を入手したメディアに関するデータも掲載しています。そこにおいても、雑誌から偽情報を入手した割合が6.2%と他のメディアに比べ低く、正確な情報を提供しているといえます。(図6)

情報通信白書

(図5)

情報通信白書

(図6)
※図5、6共に総務省 情報通信白書 のデータを基に作成
※調査方法:インターネットアンケート/調査時期:2021年3月/調査エリア:日本、米国、ドイツ及び中国/有効回答数:年齢(20、30、40、50、60 代以上)、性別(男女)で各 100 件ずつ、各国で合計 1,000 件のサンプル回収を行った。

以上のデータより『紙の雑誌を読む時間は減っているが、雑誌が発信する情報・コンテンツに対する信頼は高い』と読み解くことができます。

まとめ

出版市場と生活者のライフスタイルの変容、雑誌ブランドに対する信頼・情報の価値についてご紹介してきました。
本コラムのまとめは、

・生活者は紙の雑誌を購入しなくなっている
・生活者は1日の1/3を、携帯電話・スマートフォンを見て過ごしている
・紙の雑誌は読まないが、雑誌が発信する情報・コンテンツに対する信頼度は高い

の3点です。
次回コラムでは、上記市場動向を踏まえ、雑誌ビジネスのこれからについて取り上げます。

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