CPU、GPU、SSDの熱対策、設計時にどう考える

ノートパソコン内部の限られたスペースで効率よく放熱するための熱対策とは

CPU、GPU、SSDの熱

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会社のオフィスではなく自宅やカフェなどでノートパソコンを使って仕事をこなす、リモートワーク/テレワークはすっかり一般的になりました。かつてのノートパソコンは、バッテリー駆動という制約からデスクトップパソコンに比べ、パフォーマンスの点で劣っていました。しかし、部品の省電力化やバッテリー性能の向上もあって、高性能なCPUやGPU、大容量のSSDを搭載して、動画の編集やCAEといった“重い”作業もこなすノートパソコンが多く存在します。パフォーマンスがとことん追求されるeスポーツ(オンラインゲーム)に対応できる、ハイスペックなゲーミングノートパソコンも登場しています。CPUやGPU、SSDの発熱量は大きいので、ノートパソコンの限られたスペースで効率よく放熱するには、十分に考えて熱対策を取る必要があります。

目次

CPU、GPU、SSDの熱

ノートパソコンの基板上には、電子部品が整然と高密度に実装されその間を銅箔による配線がつないでいます。電源を入れると電気が流れ、電子部品はもちろん配線部分も(電気抵抗により)発熱します。パソコンに使われる電子部品(=熱源)の中で発熱量が飛び抜けて大きいのが、CPU(中央演算処理装置)、GPU(画像処理装置)、SSD(ソリッドステートドライブ)です。

CPU:ノートパソコンで使われるCPUは、デスクトップパソコン向けCPUよりも省電力になるよう作られていますが、動作温度は一般的には70℃程度が上限とされます。CPUは温度が高くなると発熱を抑えるために処理速度を下げるので、常に高い性能を得るためにはしっかりと放熱できる熱対策を講じる必要があります。

GPU:4K動画や高解像度の3DCG、VR/ARなど、高いグラフィックス処理性能が求められるようになったことで多用されるようになった、画像処理を専門に行う電子部品がGPUです。その並列処理能力の高さからAIの開発にも使われています。動作温度は80℃程度、高性能GPUでは90~100℃を超える場合もあります。CPUと同等以上の熱対策が必要です。

SSD:多数のフラッシュメモリーで構成されるストレージで、HDDの替わりに搭載されることが一般的になりました。データの書き込み/読み出しが集中すると高温になります。動作温度は70℃程度が上限とされています。長期間動作させることを考えると安定した熱対策が必要です。

なお、CPU、GPU、SSDが動作温度の上限を超えないようにするのは当然ですが、周辺に実装されているコンデンサーなどが、これらから伝わってくる熱で高熱にならないようにすることを忘れてはいけません。

CPU、GPU、SSDの熱

ノートパソコンの部品と基板の放熱と熱対策について

CPU、GPU、SSDで発生した熱は、「熱伝導」、「熱伝達」(対流)、「放射」(輻射)により伝わって(放熱して)いきます。このうち電子部品と接している配線や基板を伝わっていく熱伝導が大部分を占めるとされ、残りが部品表面と触れる空気に伝わる熱伝達と、部品表面から電磁波として放出される放射です。

ノートパソコン内で基板に実装された電子部品の熱は、熱伝導で基板に広がり、基板から熱伝達で空気に伝わって放熱されます。検討すべき熱対策は、電子部品から発生する熱を広範囲に速く広げることと、ノートパソコン内部の空気の温度を下げることです。

電子部品から発生する熱を広範囲に速く広げるための熱対策は、グラファイトシートやヒートシンクを使って熱が伝わる面積を増やすことと、ヒートパイプやベイパーチャンバーを使って熱が伝わる速度を上げることのいずれか、またはそれらの組み合わせということになります。

ノートパソコン内の空気の温度を下げるには、筐体に通風口を設けると共に、基板に実装される部品の配置も含めて内部に空気が流れやすい道を作り、さらにファンを使って強制的に換気するといったことが考えられます。これによって、放熱部品や基板からの熱伝達の効率を上げることができます。

CPU、GPU、SSDの場合は大きな熱を発生するので、熱伝導によって周辺に熱を広げるだけでは発熱量に追いつきません。ノートパソコンではスペースも限られているため、周辺に熱を広げることに加えて、ヒートパイプやベイパーチャンバーを使って少し離れた場所、例えば通風口のそばに設置したヒートシンクに熱を伝えるといった熱対策が考えられます。ヒートパイプやベイパーチャンバーは熱伝導率が非常に高い上、動力なしで動作することも利点です。

狭い場所の熱対策にベイパーチャンバーは効果的

ヒートパイプとベイパーチャンバーは同じ基本原理で動作し、熱伝導率も同等ですが、ヒートパイプは金属製のパイプで作られているので狭い場所に適用するのは難しく、また重いのでなるべく軽くしたい電子機器には使いにくい面があります。その点で、ベイパーチャンバーは1mm以下という薄さと軽さという強みがあります。

ベイパーチャンバーは、熱伝導率が高い金属で作った薄いシート状の放熱部品で、動作原理はヒートパイプと同じです。一般的な、メッシュを用いたベイパーチャンバーは、内部に微細に形成された毛細管構造(ウィック)があり、純水などの作動液が封入されています。一方DNPのベイパーチャンバーでは、内部の毛細管構造をエッチングによって極めて微細かつ精密に形成していることが特徴です。ベイパーチャンバーの一端を熱源に密着させると、作動液が蒸発することで潜熱として吸収し、低温部に移動して、熱を放出して液体に戻ります。作動液は毛細管現象によってウィックを伝って熱源部分に戻ります。この動きは非常に短時間かつ連続的に起こり、外部動力は必要ありません。

DNPは、これまで培ってきた超微細精密金属加工技術を使って、厚みが0.20mmという熱伝導シート並みのベイパーチャンバーを開発しました。ある程度の柔軟性もあり、曲面や段差のある部分にも適用できます。(※2022年2月時点の情報です)

DNPのベイパーチャンバー

DNPのベイパーチャンバー

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