「上野の森ブックフェスタ」に出展!
【絵本・児童書×高品質POD】 コンテンツを残し伝えることで、新しい価値創造を

DNPは、2022年5月3日~5日に開催された「上野の森ブックフェスタ」に『復刻書店 いにしえ』を出展いたしました。「もう一度読みたい、あの絵本、あの児童書」をテーマに、入手困難な絵本や児童書をデジタルデータ化し、オンデマンド印刷(POD)で製造。「ほしい本を、ほしい時に、ほしい形で」というBLM(ブック・ライフサイクルマネジメント)のビジョンのもと、絵本との出会いの機会や、絵本を通じた新しい体験を提供しました。 今回は、イベントを担当した出版イノベーション事業部BLMビジネスセンターBLM営業本部の新井千春と、BLM企画本部企画開発部販売企画グループの増井絵美に、PODによる絵本・児童書の可能性について聞きます。※2022年6月公開

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画像クリックし、「復刻書店いにしえ」へ

目次

出版社4社の協力で11タイトルの絵本・児童書を復刻

——まずはじめに、『復刻書店いにしえ』の取組みを実施した背景を教えてください。

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出版イノベーション事業部BLMビジネスセンターBLM営業本部 新井千春(左)
出版イノベーション事業部BLM企画本部企画開発部販売企画グループ 増井絵美(右)

新井:「このジャンルは非常にロングセラーが多いのが特徴で、書店の売り場の7割が既刊本ともいわれます。そのような中でも読みたい本が手に入らず古書店を探すしかないという声は、出版社さんを通じて私たちにも入っていました。今回、偕成社、福音館書店、ポプラ社、理論社の4社様のご協力で、11冊の絵本・児童書をPODで復刻することができ、貴重な作品をオンデマンド版として新たに提供することができました」

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増井:「これまでも過去作品の復刻は、周年イベント等で行われてきた例があります。出版社主導のものもありますし、書店主導でPB商品という形での復刻もありました。ただ、個々の取り組みは認知拡大が難しいことや、コスト的なハードルも高いものでした。今回PODを活用した復刻はDNPにとっても大きなチャレンジでしたが、印刷・製造のクオリティについて、出版社様はもちろん、作家の方々にも高い評価をいただけたことが、『復刻書店 いにしえ』の実現につながりました」

高い“品質ハードル”を越えたPODの絵本・児童書

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——『復刻書店いにしえ』の取組みに対する、出版社からの声があれば教えてください。

新井: 「絵本・児童書におけるPODの提案は、これまでも行ってきましたが、非常に高い印刷品質が求められることなどもあり、出版社のご担当者もなかなか一歩踏み出せずにいた部分もあったかと思います。今回は実証実験という意味もあり、貴重な原本をご提供いただき、断裁・スキャニング・調整した上でデジタルデータ化し、POD製造した現物を見ていただくことができました。
編集者の方からも「こんなに綺麗に出るんだ」「これなら大丈夫」と、クオリティに対する評価もきちんといただけたことは大きな励みになりました。
ここに至る過程では、クオリティについての厳しいご要望も多くいただいてきましたが、今回、作家さんにも喜んでいただける品質を実現できたことで、絵本・児童書におけるPODの可能性は大きく広がったと思います」

イベント来場者の生の声

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——2022年5月3日~5日に開催された「上野の森ブックフェスタ」では、実際の復刻本を多くの方にご覧いただきました。イベント会場での来場者の生の声は、どのようなものだったのでしょうか。

新井:「上野の森ブックフェスタは、絵本が本当にお好きな方が来場する場ですから、目の肥えたお客さまが多いんです。だから私たちも緊張していました(笑)。ところが実際にPODの製品をご覧いただくと、『懐かしい本が、本当に綺麗に復刻されていて驚いた』『デジタル印刷でも品質にはまったく問題がない』といった評価をいただき、私たちも自信になりました」

増井:「驚いたのは『並製本で十分だし、むしろ読みやすくて良い』『古書店でオリジナルを探すよりも、PODで新しく綺麗な本が手に入るのは魅力的だ』という声が多く寄せられたことでした。思い入れのある作品を購入する方が多いので、上製本やオリジナルを好まれる傾向が強いのではないかという予想をしていましたが、多くの方はよりカジュアルに、新しい製本で読むことに抵抗がないのだと、改めて認識しました。
特に並製本については、価格帯も『適正』だと捉えていただけるお客さまがほとんどで、ニーズとのマッチングは高いと感じています」

上野の森ブックフェスタ来場者アンケート結果

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上野の森ブックフェスタ来場者130名に対しアンケートを実施。

PODで広がる、絵本・児童書の可能性

——今後の『復刻書店いにしえ』に関する展望や今後の取組みについてはどうでしょうか。

増井:「『復刻書店 いにしえ』は、2022年9月30日までの限定販売を予定していますが、イベントを通じて、絵本・児童書のPODの大きな可能性を改めて実感しています。イベントには図書館司書の方や保育関係者も多数訪れ、興味をもっていただくことができました。
司書の方に、復刻してほしい本を訪ねると『ご当地の絵本、地域にまつわる絵本を復刻したい』という声も多数いただきました。特定の地域に根ざした展開ができるのは、まさにPODの強みなので、そのような小さなニーズをPODで実現していくことができたらと考えています
また、『大空に生きる』という作品では、実際の判型より大きな『拡大版』もご用意しました。文字の多い作品では読みやすさも向上することから、シニア層のニーズを感じることができました」

新井:「次世代に残すべき作品を未来に繋げていくという意味でも、デジタル化の意義は非常に大きなものです。絵本・児童書ジャンルは相対的にデジタル化が遅れている分野でもあると思いますので、DNPでも主体的に取り組みを後押ししていければと思っています。
PODでは、デジタル化のコストがネックになります。POD以外の、電子書籍やグッズ、オーディオといったマルチメディア展開も含めて、コストマネジメントをしていくことも、DNPに求められた役割だと考えています」

『外濠書店』では展示を継続

2022年6月20日(月)~9月3日(土)の期間、DNPが東京都新宿区で運営するオープンイノベーション施設「DNPプラザ 」内の実証実験書店「外濠書店」内では、『復刻書店 いにしえ』で販売する作品を、実際に手に取ることができます。
上製本、並製本とも全作品をご覧いただけるので、お近くにいらした際はぜひお立寄りください。気に入った作品は、その場でご購入いただける予定です。

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