販促物管理のコスト削減をめざすときに
最初に取り組むべき二つの対策
【連載-販促物管理のポイント 第3回】

販促物管理のコスト削減をめざすとき、最初にどこから着手すべきなのでしょうか。また、販促物管理を効率化しようとしたとき、どのような面からシステムの導入や改善を考えるといいのでしょうか。コスト削減の軸として考えるべき二つの対策と、企業が実践しているコスト削減手法を紹介します。

対策1 : ペーパーレス化の促進

コスト削減方法として、デジタルの活用を真っ先に考える人が多いかもしれません。しかし、ひと言でデジタルの活用といっても、一度にすべてのシステムを導入するのは現実的でなく、業務のどの部分から手を付けるべきか選定が難しい面もあります。

そこで、一歩先にあるプロセスから考えてみることで、コスト削減を具体的に、着実に進めていくことができます。その代表例が「ペーパーレス化」です。ペーパーレス化を進めていくことで、ペーパーレス化が持つ次のようなメリットがコスト削減へつながっていきます。

印刷と紙にかかっていた費用の削減

1枚ずつ紙に印刷するとき、人件費は別として、プリンターの電気代、インク代、用紙代がかかります。一般的なオフィスのレーザープリンターは、A4モノクロ印刷で1枚2円から4円のコストがかかるといわれています。例えば、従業員ひとりが1日に10枚の印刷をするとして、従業員100人がこれを行うと年間で60万円ものコストになります。もっと多くの従業員がさらに多くの印刷を行うとすれば、この印刷コストは莫大にふくれ上がります。ペーパーレス化はこのコストを削減します。

承認の時間・場所を非限定化

ペーパーレス化は組織において必要となる承認フローにおいてもメリットがあります。承認が必要となる書類がデータ化され、承認印として電子印が使われるようになれば、オフィス内に限らず承認が可能です。これは承認の時間や場所の制約をなくし、チームや部署、会社全体の動きも効率化することにつながります。

書類管理の場所や手間の削減

経営資源として「場所」も注目されるようになった近年、書類の保管場所も資源として例外ではありません。ペーパーレス化により書類保管のスペースを別の目的に使うことができれば、場所という経営資源の有効活用につながります。また、その保管場所へ書類を収納したり、整理したりする手間と時間を省くことができます。

情報検索の効率化

情報が紙ではなくデータで管理されている場合は、必要な情報を瞬時に、簡単に検索・抽出することが可能です。過去の情報を活用するとき、その情報にたどり着くまでの作業を圧倒的に効率化できます。

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このようにメリットの多いペーパーレス化ですが、一度にすべてのシステムを切り替えていくのは容易ではありません。現場から強い拒否反応が起こったり、管理方法に関して混乱を招いてしまったりする可能性もあります。

そこで、ペーパーレス化は着手しやすい部分から進めるのがおすすめです。例えば、PDFファイルを印刷して配るのではなく、社内イントラや誰もがアクセスできる共有フォルダへアップロードしておき、拠点で必要数を印刷するという方法があります。郵送や回覧、保管の手間がなくなり、業務の効率化とコスト削減へと着実に結びつきます。ここから次の段階としてデジタルデータのまま使う方向へと移行していけば、混乱の少ないスムーズなペーパーレス化が可能です。

また、コスト削減に直結はしないものの、ペーパーレス化には次のような効果もあります。

セキュリティの強化

重要な情報が記載された書類を保管するとき、もしそれが社外秘文書だとしたら、厳重な金庫にしまう必要があります。閲覧するときにはまた金庫を開けなければなりません。しかしデジタルデータとして管理すれば 、ネットワーク上で閲覧に関するセキュリティ対策を施すだけで管理できます。

環境負荷の低減

ペーパーレス化は、紙資源の使用量を減らすのはもちろんのこと、社会全体の消費電力削減にも貢献します。また、インクトナーに使われる樹脂や、印刷に必要なさまざまな資材の運搬量も減らします。これにより地球温暖化ガスの削減やプラスチック廃棄物の問題など、環境負荷の低減へとつながります。

このようにペーパーレス化には、コスト削減を含めたさまざまな効果が期待できます。また、ペーパーレス化を進めるうえでデジタルをどのように活用すべきかといった、課題と解決方法も見えてくることがあります。

対策2 : 間接作業の効率化

コスト削減の手法として次に考えるべきなのは、間接作業の効率化です。一般的に効率化を考えるときは、利益に直結する製品やサービスに関する直接作業に目が行きがちになります。また、直接作業は本業との関連性が高く入念な費用対効果の検討が必要なため、安易にコスト削減の対象とするにはリスクが伴います。こういった面からも、間接作業のコスト削減を先に検討すべきです。

間接作業においてコストを削減できる部分としては、次のような例があります。

販促物の発注作業

間接業務では、営業活動に使用するさまざまな販促物、事務作業に使う消耗品など、多くの物品を日々発注する作業があります。こういった作業を自動発注するシステムを導入することで、間接作業を大幅に効率化することができます。

コスト削減策の見直し

コスト削減のためにしていることが、逆に回り道になってしまっているケースもあります。極端な例として、雑紙を集めて封筒をつくり封筒代を節約するような作業は、コスト削減策が無駄なコストを発生させている代表例といえるでしょう。電球を間引いてオフィスを暗くしたり、プリンターの電源を使用するごとに切ったりするなど、コスト削減のために行っていることをもう一度見直しましょう。

こういった部分を徹底的に見直しながら、ペーパーレス化と同時進行することが効果的でしょう。これらをひとつずつ進めていくことで、さらにデジタルの活用の必要性を具体化することができるのです。

間接作業をペーパーレス化することで効果はさらに大きくなる

ペーパーレス化と間接作業、二つの注目すべきコスト削減ポイントにふれました。これらは密接に結びつきやすい関係にあり、同時進行することが可能です。ここで販促物管理に置き換えて考えてみましょう。例えば調達業務では、次のような作業が紙の管理で行われていることが多く、大いにコスト削減できる要素があります。

  • 帳票の作成や管理
  • 見積書や納品書の受領
  • 過去の見積書との比較
  • 各種書類の保管

また、倉庫管理業務や物流業務では、次のような作業が紙の管理で行われていることが考えられます。

  • 帳票の作成や管理
  • 販促物の請求・発送の書類
  • 在庫表のような在庫管理の集計
  • 費用一覧や経理との連携についての管理書類

こういった業務をペーパーレス化することにより、次の効果が期待できます。

さらにシステムの利用方法についてルールを定めて管理することにより、コンプライアンスの遵守推進も期待できます。また、在庫や費用の見える化により、全体の「ものの動き」を考慮した製造計画立案が可能になり、製造コストの削減にもつなげることができるのです。

このように、間接作業をペーパーレス化することで、販促物管理の業務効率化・コスト削減の効果はさらに大きくなることが期待できます。これらを実現するためには、次のようなプロセスが有効です。

  • 書類電子化
  • システム上でのワークフロー管理

こういった機能を満たしたツールを活用することで、販促物管理では間接作業の効率化とペーパーレス化が同時進行でき、大幅なコスト削減効果が見込めるのです。

コスト削減の切り口はペーパーレス化を軸に

販促物管理のコスト削減について、ペーパーレス化と間接作業の効率化、それぞれのポイントと結びつきを紹介しました。コスト削減を考えるとき、紙を使うことが無駄につながっている場合が多くあります。「デジタルをどのように使うか」といった視点ではなく、「ペーパーレス化するにはどうしたら」を軸に考えると具体的な解決策への近道になります。

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■連載コラム【販促物管理のポイント】シリーズ

第1回: 販促物の過剰在庫や欠品を防ぐカギは?
第2回: みんな悩んでいる「販促物の在庫管理方法」、販促物受発注システムでどこまで解決できる?
第3回: 販促物管理のコスト削減をめざすときに最初に取り組むべき二つの対策(現在のページ)
第4回: 事務作業の改善で生産性向上を 効率化の5つのポイント

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