2023年1月施行の車検証電子化と電子車検証のデータ読み取りについて解説 !

2023年1月4日より、道路運送車両法施行規則等の改正に伴い車検証電子化が始まります。
電子化された自動車車検証(以下、電子車検証)は、現行の車検証の目視確認のみとは車検証データの確認方法が異なるため、本ページでは、車検証電子化の背景と電子車検証のデータ読み取り方法を解説します。
また、電子車検証を読み取りに対応したハードウェアをご紹介します。
(2022年12月時点の情報)

電子車検証とは?

電子車検証とは、車検証にICタグ(チップ)が搭載され、券面に基礎的情報(継続検査や変更登録等の影響を受けない情報)を記載し、ICタグ(チップ)内に書き換えが発生する情報(自動車車検証の有効期間、所得者/使用者の氏名・住所など)を記録する、2023年1月4日施行の電子化された自動車車検証(電子車検証)です。

道路運送車両法施行規則等の改正後は、電子車検証のICタグ(チップ)に記録された車検証情報をスマートフォン/タブレット、パソコンで閲覧/PDFなどで出力できる「車検証閲覧アプリ」が国土交通省から提供される予定です。
そのため、ICタグ(チップ)の読み取り機能がないスマートフォン/タブレット/パソコンではICタグ(チップ)を読み取るためのハードウェア(ICリーダー)が必要となります。

2022年8月19日に、国土交通省より電子車検証特設サイトが開設されました。電子車検証の詳細はこちらにも記載がございます。

※参考:道路運送車両法施行規則等の改正について(国土交通省)
※参考:電子車検証特設サイトはこちら(国土交通省)

道路運送車両法施行規則等の改正と電子車検証導入の背景

2019年5月に道路運送車両法の一部を改正する法律(令和元年法律第14号。以下、改正法) により、2023年1月4日から自動車検査証を電子化するとともに、継続検査に係る自動車検査証への記録/変更等に関する特定記録等事務/特定変更記録事務を国土交通大臣が一定の要件を備える者に委託する記録等事務委託制度が創設。改正法の施行に伴い、記録等事務の委託手続等や電子車検証の記載事項等が定められました。

記録等事務の委託手続等について

現行の車検証に関係する手続では、オンラインで一括した申請手続を可能とするワンストップサービス(以下、OSS)を用います。
OSSは、オンライン申請後、継続検査等で車検証の受け取りのために運輸支局等への来訪が必要で、オンラインで申請手続を完結できないことと、車検証の紛失リスクが発生することが課題でした。

そこで、申請手続の軽減/車検証紛失を避けるため、改正法の施行により2023年1月4日から車検証に関連する手続がオンラインで完結します。

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現行の車検フローと改正法施行後の車検証フロー

電子車検証の記載事項等について

電子車検証と現行の紙の車検証(以下、現行の車検証)では、車検証サイズ、閲覧可能な項目が異なります。
電子車検証では、車検証自体にICタグ(チップ)が搭載され、券面に基礎的情報(継続検査や変更登録等の影響を受けない情報)を記載。ICタグ(チップ)内に書き換えが発生する情報(自動車車検証の有効期間、所得者/使用者の氏名・住所など)を記録しています。

車検証サイズの比較

車検証のサイズは、現行の車検証ではA4サイズの台紙、電子車検証ではA6サイズの台紙にシールタイプのICタグ(チップ)が貼り付けられます。
サイズは、A6サイズ+ICタグ(チップ)余白分程度。現行の車検証と比較すると約1/4のサイズダウンです。

項目 現行の車検証 電子車検証
サイズ A4サイズの台紙
(A4は297mm×210mm)
A6サイズ+ICタグ(チップ)余白分程度
(約105mm×約177.8mm)

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現行の車検証と電子車検証のサイズ比較

現行の車検証と電子車検証の情報確認方法の違い

車検証の情報記載方式の比較

閲覧できる情報や方法にも違いがあり現行の車検証では全ての情報が券面で確認できます。
対して、電子車検証では、券面とICタグ(チップ)に情報があり、それぞれ読み取り可能な情報(データ保存方法)が異なります。
上記の他、現行の車検証と電子車検証には二次元コードが設置されています。

情報記載方式 現行の車検証 電子車検証
券面記載事項
ICタグ(チップ) ×
二次元コード

今回、電子車検証では、車両識別符号(車両ID)が新たに増えます。(ICタグ(チップ)内の記録情報)
さらに、情報(データ)の表記/記録方法が変わります。

  • 券面に基礎的情報(継続検査や変更登録等の影響を受けない情報)を記載
  • ICタグ(チップ)内に書き換えが発生する情報(自動車車検証の有効期間、所得者/使用者の氏名・住所など)を記録

現行の車検証と電子車検証の券面記載情報/ICタグ(チップ)情報の比較

電子車検証の券面記載情報とICタグ(チップ)情報の違いとして、券面記載事項は、継続検査や変更登録などの影響を受けない基礎的情報が記載される予定であり、登録番号/車両番号、車体の形状、車体番号、交付年月日など、他にも多くの情報が記載される予定です。
対して、ICタグ(チップ)情報は、車検証の有効期限、所有者の氏名・住所、使用者の住所、使用者の本拠の位置、の4つが含まれる予定です。

このように、ICタグ(チップ)情報には氏名や住所、本拠地など個人情報が多く含まれており、券面に記載されている情報と、ICタグ(チップ)に記録されている情報を全て読み込むためには、ICリーダーが必要となります。

現行の車検証と電子車検証の共通情報

自動車登録番号又は車両番号、登録年月日/初度登録年月、交付年月日、自動車種別、用途、自家用・事業用、車体の形状、車名、乗車定員/最大積載量、車両重量/車両総重量、車台番号、長さ/幅/高さ、軸重(前前/前後/後前/後後)、型式、原動機の型式、総排気量又は定格出力、燃料の種類、型式指定番号、類別区分番号

現行の車検証と電子車検証の情報の表記/記録方法の違いの下記となります。

車検証情報の項目 現行の車検証
(券面記載情報)
電子車検証
(券面記載情報) (ICタグ(チップ)記録情報)
所有者の氏名又は名称 -
所有者の住所 -
使用者の氏名又は名称 -
使用者の住所 -
使用の本拠地の位置 -
有効期間の満了する日 -
帳票タイプ - -
車両識別符号(車両ID) - -

※車両識別符号(車両ID)は、車両ごとに不変の番号として電子化に伴い付与。

電子車検証における備考情報

電子車検証での券面記載の備考情報

牽引重量又は第五輪荷重、軽自動車で最高速度60km/hのうち、高速道路を運行しないものである旨、必要な整備を行うべきことを命じた自動車である旨、保安上の技術基準についての制限の内容(乗車定員などの制限)、破壊試験を行っていない装置を備える自動車である旨、タンク自動車の積載物品名、道路維持作業用車の灯火を備える自動車である旨、青色防犯灯を備える自動車である旨、総重量7t以上の貨物自動車にあっては燃料タンクの個数・容量、貸渡自動車(ワンウェイ方式)である旨

備考情報の内、電子化に伴い「その旨」のみを券面に記載し具体的な内容はICタグ(チップ)に記録する項目

被牽引自動車である旨、牽引自動車である旨、保安基準の緩和をした自動車である旨、保安上・環境保全上の必要な指示をした自動車である旨、キャンピングトレーラーを牽引する自動車である旨

電子車検証の券面に記載されない非表示事項(ICタグ(チップ)内にのみ情報を記録)

被牽引自動車にあっては牽引自動車の車名・型式、保安基準を緩和した自動車にあってはその内容、牽引自動車にあっては被牽引自動車の車名・型式、保安上・環境保全上に必要な指示をした自動車にあってはその内容、特区法の規定による特殊仕様自動車の内容、キャンピングトレーラーを牽引する自動車にあってはその総重量

電子車検証の読み取りに対応したハードウェア(ICリーダー)のご紹介

電子車検証の施行後は、ICタグ(チップ)に記録された車検証情報をスマートフォン/タブレット、パソコンで閲覧/PDFなどで出力できる「車検証閲覧アプリ」が国土交通省から提供される予定です。
DNPでは、パソコンで電子車検証のICタグ(チップ)を読み取るためのハードウェア(ICリーダー)をご提供しております。

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NFCリーダー

整備工場様、運送事業者様、行政書士など、パソコンでICタグ(チップ)の読み取りが必要である場合に最適です。

電子車検証の読み取り検証:動作検証済
ICタグ(チップ)の読み取り:対応
画像の読み取り:非対応

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IDドキュメントリーダー

車両管理・画像スキャンを開発しているシステム会社様/保険会社様など、ICタグ(チップ)の読み取りだけでなく、画像の読み取り必要な場合に最適です。

電子車検証の読み取り検証:動作検証済
ICタグ(チップ)の読み取り:対応
画像の読み取り:対応

上記の「NFCリーダー」「IDドキュメントリーダー」は、国土交通省が開設した電子車検証特設サイトの電子車検証動作確認済みICカードリーダの動作確認済み一覧に記載されています。

※国土交通省電子車検証特設サイト/電子車検証動作確認済みICカードリーダ一覧

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