5G対応の最新電子デバイスの発熱対策と小型化を同時に実現

ベイパーチャンバー

ベイパーチャンバーとは、水の気化、凝縮によって瞬時に熱を移動させる機能を持った、ヒートパイプと同じ「金属製放熱部材」の一種です。薄型の電子デバイスで一般的に使用されているグラファイトシートと比べ、高い熱伝導能力を持っており、瞬時に熱を拡散させて放熱することができます。 5G環境に対応した電子デバイスの普及が見込まれるなか、大容量・高速通信によるデータ処理量の増加に伴う、アプリケーションプロセッサや通信用IC等の発熱対策が求められます。発熱対策と電子デバイスの小型化の両方を実現するためのソリューションとして、より薄く高性能で電力を使用しない熱対策部品が求められており、ベイパーチャンバーの活躍が期待されています。 DNPでは、高い熱伝導率と薄型化の実現に加え、フレキシブルに曲げられる機能を兼ね揃えたベイパーチャンバーを開発しました。

DNPのベイパーチャンバーの特徴

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DNPのベイパーチャンバー

ベイパーチャンバーの原理(冷却システム)

ベイパーチャンバーの原理(冷却システム)

①内部に封入された作動液(純水)が熱せられることで蒸発
②チャンバー内を蒸発した作動液(蒸気)が移動することで、熱が拡散
③拡散した蒸気が冷却され、再度液化(凝縮)
④毛細管現象で液化した作動液が熱源に戻る
(以後、①~④を繰り返す)

平板状の金属板を貼り合わせた中空構造になっており、ウィックと呼ばれる毛細管を張り巡らせ、内部には純水等が封入されています。“ICなどの発熱部材が高温になると内部の液体が蒸発して空間に広がり、凝縮してまた液体に戻る”というプロセスを繰り返すことで熱を拡散させ、デバイス内の温度を下げるという仕組みです。

他放熱部材との比較

ヒートシンク

【長所】
・低価格
・放熱性がある

【短所】
・熱伝導性が低い
・重い・容積が大きい(小型化・薄型化が困難)
・材質が金属の場合、導電性があるために電子回路をショートさせるリスクがある

ヒートパイプ

【長所】
・熱伝導性が非常に高い

【短所】
・構造上ある程度の厚みが必要(薄型化が困難)
・熱源が高い位置にある場合は、熱輸送の効率が落ちる
・棒(パイプ)状のため、単体では広い面積に熱を拡散できない

グラファイトシート

【長所】
・軽量
・大きく薄型化が可能
・柔軟性がある
・電磁波シールドとして機能する

【短所】
・ヒートパイプやベイパーチャンバーと比較すると、熱伝導性が低い。運べる熱量が小さい
・導電性があるため、粉末などが電子回路に影響を与えるリスクがある

ベイパーチャンバー

【長所】
・熱伝導性が非常に高い。
・熱輸送量が大きい
・薄型化が可能
・熱源が高い位置にある場合でも熱輸送の効率が落ちにくい(ヒートパイプとの比較において)
・平面状のため広い面積に瞬時に熱を拡散できる。

【短所】
・ほかの放熱部品と比較すると高価

DNPのベイパーチャンバーの特長

DNPが開発した「薄型ベイパーチャンバー」は、グラファイトシートよりも熱伝導率が高く、またヒートパイプよりも薄く、曲げることができるため、薄型デバイスのサーマルマネジメントに最適な部材であると考えられます。

DNPのベイパーチャンバーの特徴

■高い熱伝導率
気液相変化による高熱伝導、熱輸送能力
※4000~10,000W/m/K 程度

■薄型化を実現
厚さ0.20mmを実現

■フレキシブルに曲げられる
曲面や段差のある部分へ適用可能

フレキシブル放熱部材

DNPのベイパーチャンバーの「フレキシブルに曲げて使用できる」という特長を生かすことで、これまで主流であった薄型デバイスへの活用だけではなく、複雑な形状のデバイスにも柔軟に活用できるようになります。
例えば、スマートグラスの場合は、データ処理用のCPUに加え、ディスプレイやセンサー、バッテリー等の複数の箇所で熱対策が必要となります。いずれも極狭なうえに異形状な空間に放熱部材を設置しなければならないことが想定され、DNPのベイパーチャンバーが活躍する可能性は大きいと考えられます。

今後、期待される用途

ウェアラブルデバイスなど異形状空間の熱対策

5G対応のウェアラブルデバイスは大量のデータ処理を行うため、高効率な放熱部材が必要となります。そのうえ、放熱部材を設置する空間が極狭かつ直線的でない形状となるケースが多いことが想定され、装着する身体部分に合わせて自由に形状を変えられる放熱部材が求められます。
高い熱伝導率とフレキシビリティを備えたDNPのベイパーチャンバーは、ウェアラブルデバイスの熱対策に最適な素材であると考えられます。

デバイスの小型化を実現する放熱部材

既存製品の小型化を図る上では、放熱部材が使う空間は少ないに越したことはありません。DNPのベイパーチャンバーであれば、必要最低限の空間で高い放熱効果を得ることができます。また、無電源で利用可能なため、ファンレスを実現し、デバイスの小型化・省電力化に大いに貢献します。

モビリティ製品向けパワー半導体の放熱部材

電気で動くモビリティ製品における課題のひとつに、航続距離の短さがあります。航続距離を伸ばすためには、バッテリはもちろんですが、モータを制御するインバータも重要で、その基幹部品であるパワー半導体が急速に進化しています。新素材を使った次世代パワー半導体は従来のものより高温に強いとはいえ、放熱対策は避けては通れません。狭い空間でも高効率に熱を拡散することができ、軽量でもあるベイパーチャンバーはパワー半導体の放熱部材としてうってつけです。

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