自社ビジネスの特徴から選ぶ!MAツール選定のポイント2

~マーケターが見落としがちな選定ポイント~

前回のコラム「自社のビジネスの特徴から選ぶ!MAツール選定のポイント」では、自社に最適なMAツールを選定するには、自社のビジネス特徴とベンダー/ツールの特徴を、マッチング&分析することが重要であり、選定の基本であることをお伝えしました。

今回はさらに、マーケターが見落としがちなMAツール選定のポイントを2つご紹介します。

1. 「ベンダー製品の出自」と「顧客の行動特性、マーケティング業務」のマッチング

自社のビジネスの特徴とベンダー/ツールの出自をマッチング・分析する必要がある

1つ目のポイントとして、ベンダー/ツールの特徴の中でも、「出自」に着目してみましょう。
その理由は、急激なMAツールの増加にあります。MA元年から4年の間で、日本の市場の「MA」カテゴリ製品は急激に増え、その数はおよそ3倍にもなっています。

この急激な製品数の増加の背景から浮かんでくるのは、ゼロからMAツールとして開発した製品は少なく、既存製品の追加改修によってMAカテゴリにアップグレードした製品が多いのではないか?という仮説です。
この仮説が正しいとするならば、出自の既存機能は成熟しているが、MAへのアップグレードのために追加された機能や、既存機能との連携性についてはまだ成熟していない可能性があります。
出自を紐解くことによって、得意な機能、不得意な機能を洗い出してみましょう。

日本市場に出ているMAツールの出自を整理すると、おおよそ下記のようなセグメントになります。

  • 純粋なMAツール → チャネル連携性、スコアリングに強い
  • メールマーケティング/キャンペーンマネジメント出自のMAツール → メールチャネル、分析、シナリオ作成に強い
  • CMS出自のMAツール → Webチャネル、Webページの出し分けに強い

1-1. 純粋なMAツール

開発当初からMAとして開発された製品です。スコアリング機能に強味を持っている製品が多いのが特徴です。
前回のコラムでもお伝えした通り、スコアリング機能が強い製品は、自社のビジネス特徴で「購買行動プロセスが長く、対面営業プロセスがある場合」に適したツールと言えます。
オムニチャネル対応を意識し、メールチャネルやWebチャネルなど核になるチャネルの実行機能は組み込まれており、これら以外のチャネルについてはサードパーティーとの連携によって柔軟に増やしていける仕組みを用意しています。
顧客体験戦略としてオムニチャネルコミュニケーションの最適化を掲げる企業にマッチした製品かと思います。

1-2. メールマーケティング/キャンペーンマネジメント出自のMAツール

メールチャネルに強味を持ったMAツールです。大量のメール配信や分析、シナリオ作成を得意としますが、スコアリング機能については弱い傾向があります。まず、自社のビジネス特徴で「購買行動プロセスが短く、対面営業プロセスが無い場合」にはマッチングしやすいツールと言えるでしょう。
また、メールチャネルを中心に顧客とコミュニケーションしている企業ともマッチングするでしょう。

1-3. CMS出自のMAツール

CMS(ContentsManagementSystem)は、その名の通り、Webコンテンツを管理するためのツールですが、デジタルマーケティングがトレンドになる中で、管理ツールからWebマーケティングツールへ発展し、さらにはMAツールへと変貌を遂げるCMSが現れてきました。
CMS出自のMAツールは、当然ながらWebチャネルに強く、複雑なWebコンテンツの出し分けやABテストの実行も可能です。
例えば、会員顧客が多く存在し、会員が継続的に能動的にWebサイトに訪れてくれる状況を確立できている企業とマッチングするMAツールでしょう。

このように、「出自」の情報を紐解けば、その製品がどの機能に強いのか、どの機能がまだ未成熟で注意すべきなのかが見えてきます。ビジネスの特徴とマッチング分析すれば、最適なMAツールをスムーズに絞り込んでいけるでしょう。

2. 対象顧客数と顧客接点パフォーマンスのマッチング

メール配信対象顧客数と顧客接点のパフォーマンスのマッチング・分析との関係

2つ目に見落としがちなポイントが、「施策の対象顧客数」と「顧客接点のパフォーマンス」との関係です。

MAツールはパブリッククラウドサービスで利用するのが主流ですが、パブリッククラウドは複数の顧客でシステムリソースを共有する仕組みです。よって、利用する顧客が増えれば増えるほど、パフォーマンスは悪くなります。

パフォーマンスで気をつけなければならないのは、顧客体験に及ぼす影響です。
顧客体験が重要視されている今、ターゲットに対し、「最適なタイミング」と「最適なチャネル」で、「最適な情報」を届ける、ライトタイムマーケティングの実施は必要不可欠です。
自社のオペレーションが遅くなるのはまだしも、顧客体験に影響を及ぼさないことを考えなければなりません。

例えば、メール接点におけるパフォーマンスを考えてみましょう。
多くの顧客にメールを配信する場合、複数のクラウドユーザーが同時に大量のメール配信を行えば、当然ながら負荷がかかりパフォーマンスが落ちます。極端な例を挙げれば、期間限定、人数限定のキャンペーンメール配信で、最初にメールが届いた人と最後にメールが届いた人で、1日以上のタイムラグが発生し、不公平な状況を作り出してしまうこともあります。同様に、複雑な出し分けロジックを伴うメール配信についても注意が必要です。

また、Web接点においても、MAツールの機能で顧客毎にコンテンツの出し分けをしているWebサイトページに、多くの顧客のアクセスがあった場合、ページ表示が遅くなるなど、パフォーマンスに影響を及ぼすケースも出てきます。

このように、MAツールのパフォーマンスによって顧客体験を損なってしまうという、見落としがちなリスクも存在するのです。多くの顧客に対して、多様なマーケティング施策を打つ必要のあるケースでは、顧客体験を損なわないことを第一に考えて選定すべきかと思います。

最近のMAツールはクラウド型が主流ですが、今後ますます「顧客体験」が競合他社への差別化要素として重要になり、競争が激しくなってくると、独自優位性のある顧客体験を創出するために、機能の追加開発やインフラ増強が自由になるプライベートクラウド型やオンプレミス型の導入も再注目されるでしょう。

3. まとめ

今回は、マーケターが、幅広いシステム知識を持っていないと気づきにくい、見落としがちな2つのポイントをご紹介しました。

  • ベンダーの出自による製品の優位性と自社ビジネスの特徴とのマッチング
  • 自社の施策に対する顧客接点のパフォーマンスが十分か、ツール提供形態は合っているか。

MAツール選定は、マーケティングはもちろんのこと、ビジネス、分析、ITなど幅広い総合的な知識が求められます。万能なマーケターがいれば別ですが、現実はそんな存在はいない企業が多く、大概は一人の力では選定しきれません。
顧客体験価値の最大化がマーケティング目的の中心になり、デジタルトランスフォーメーションが進むと、MAツールは企業にとって非常に重要な基盤になり、その選定も重要になることは間違いありません。
専門家を集めて全社プロジェクトを発足するなど、全社を挙げてマーケターをバックアップする意識を高めていくべきでしょう。

皆様がデジタルマーケティングツール選定をされる際に、少しでもお役に立つ情報になれば幸いです。

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