顧客を惹きつける、デジタル×リアルのパーソナライズド・コミュニケーションとは

近年、デジタルとリアルを融合させた顧客コミュニケーションが注目されています。
実は、デジタルとリアルの融合という考え方は近年登場したものではなく、さかのぼると「マルチメディア」という言葉が普及した80年代からある概念です。では、なぜ今になってあらためて注目されているのでしょうか?

デジタルが普及した結果、デジタル媒体に比べて、目を通されやすいというメリットからアナログ媒体が見直されていることもありますが、一番の理由はデジタルとリアルを融合させた施策が以前に比べて実行しやすくなった事があげられます。

現在でも一定のハードルはあるものの、データの統合や消費者の行動情報の収集、それらをトリガーとした最適なタイミングで最適なコミュニケーションを実行する仕組みが実現しつつあります。このような仕組みは、当時は実現する事ができませんでした。

この記事では、顧客一人ひとりに合わせた情報を、デジタルとリアルの両方を活用して提供する最新のパーソナライズド・コミュニケーションについて、事例も紹介しながら解説します。

1. デジタル×リアルのパーソナライズド・コミュニケーションとは

パーソナライズド・コミュニケーションとは、顧客一人ひとりの趣味や嗜好などに合わせたコミュニケーションを行うOne to Oneのマーケティング手法です。この手法を取り入れ、それをリアルにまで広げることにはどのような効果があるのでしょうか。

1-1. パーソナライズド・コミュニケーションに取り組むべき理由

市場が成熟化している

世の中には、大量のモノやサービスが溢れ、ほとんどの商品・サービスがコモディティ化しています。そこで、選ばれる商品・サービスを提供するためには、アプローチ方法も検討する必要があります。「顧客」と一括りに言っても、属性、生活スタイル、趣味や嗜好は異なるため、顧客ごとの嗜好性に合わせたコンテンツ訴求が有効です。

タイミング次第で需要は変動する

どれだけ趣味嗜好が合う商品であっても、欲しいと感じているそのタイミングを逃せば、買ってもらえません。そして、いくら緻密にセグメンテーションを行っても、同じセグメントの中で、購買行動を起こすタイミングは人それぞれ異なります。顧客ごとに正しいタイミングで訴求することが重要です。

購買までの情報収集プロセスが多様化している

インターネットやSNSの普及により、購買行動は多様化しています。家事をしながらテレビで情報収集する人もいれば、通学や通勤中にSNSで情報検索する人もいます。どこで、どのような情報を提供するのが最適か、個々にアプローチするチャネルを考える必要があります。

顧客により、商品・サービスへの評価は異なる

年代や性別だけではなく、ライフスタイルや嗜好によって、商品・サービスに求める価値は異なり、評価も異なります。そこで、顧客一人ひとりの嗜好に合わせて最適化したメルマガやDMなどを送ることができれば、顧客の反応率は向上します。

1-2. デジタル・リアルのコミュニケーション方法とメリット・デメリット

企業が生活者や顧客とコミュニケーションを図るには、デジタルとリアル(アナログ)の大きく分けて2つの方法があります。具体的にどのような方法なのか説明します。

デジタルのコミュニケーション

Webサイトへの誘導を主目的とし、メールマガジンや企業SNSアカウント、Web広告などが含まれます。これらの方法は、自動化により人件費などのコストを抑えつつ、リードタイムが短く内容を変更しやすい一方で、情報が埋もれやすいというデメリットがあります。

パーソナライズされたメールや動画など、One to Oneの方法も登場しています。パーソナライズされたメールとは、たとえば顧客の誕生日に合わせて、顧客名とお祝いメッセージ、クーポン情報などが書かれたeメールのことです。

リアルのコミュニケーション

店舗への来店促進を主目的とし、郵送によるDMや架電、チラシなどが含まれます。DMはデジタル媒体に比べ目を通されやすく、手元に残るので所有感があるというメリットがあります。また、個人に向けたメッセ―ジなどもリアル媒体の方がより特別感があり、好感度をあげることができます。一方で、印刷・発送までのリードタイムが長く、郵送費や人件費も含めてコストが高いというデメリットがあります。

デジタル・リアルのどちらにもメリットとデメリットがあります。これらのメリットを掛け合わせ、デメリットを小さくすることができれば、より効果的なマーケティングが行えます。

1-3. パーソナライズド・コミュニケーション実現のためのポイント

パーソナライズド・コミュニケーションを実現するには、コンテンツ(クリエィティブ)、タイミング、チャネル、そしてオファー(提案)の4つの要素が揃う必要があります。コンテンツがパーソナライズされていることは基本ですが、いつ送るのか、どのチャネルを使うのか、そしてどのようなインセンティブを与えるかも重要です。

これらの要素は、テクノロジーの活用により効率的に揃えることができます。たとえば、顧客情報やWebアクセス情報などのデータを収集、データベースに蓄積します。その後、それらのデータを分析し、最適な施策を企画します。企画に沿って、広告やカタログを制作し、分析に基づいたタイミングで配信します。

デジタルとリアルの垣根を超え、両方のメリットを活かし、顧客ひとり一人に最適なコミュニケーションを設計・実行することが大切です。

2. デジタル×リアルのパーソナライズド・コミュニケーション事例

デジタル×リアルのパーソナライズド・コミュニケーションの具体的な事例を取り上げます。

2-1. 郵便局(ドイツ)の事例 ※1

ドイツの郵便貯金では、はじめてWebサイトを訪れた顧客に、質問シート(職業・年齢・家族構成など)に回答して貰う活動を行っています。このデータを元に、顧客ごとにパーソナライズした商品紹介のDMを作成し、スピーディーに送付しています。

2-2. サッカークラブ(イングランド)の事例 ※2

イングランドのあるサッカークラブチームでは、ファンクラブの会員に対して、ユニフォームに自分の名前が入っている形状の特別なDMを送付しました。

これにより、開封率が上がると同時に、「コレクションしたくなる捨てられないDM」としてDM自体の価値があがりました。DMを手に入れるために、ファンクラブ入会の問い合わせも増加しました。その結果、例年よりも短期間でボックスシートが完売し、新たなグッズの売り上げ増加に繋がるなど、大きな効果を得ました。

2-3. 通販企業(日本)の事例

ある大手通販企業では、顧客が購入した商品に基づいてコーディネート提案を行うパーソナルカタログを送付しています。カタログやECサイトから商品を購入するという顧客行動をトリガーにすることで最適なタイミングを捉まえると共に、カタログが持つ情報量・デザイン性・エンタメ性に富むというアナログ媒体のメリットを活かし、顧客とのパーソナルコミュニケーションを図っています。

また、カートに入れた商品を購入しなかった顧客に対して、最短24時間でDMを送付する活動を行い、メールのみで訴求した顧客よりも、購入率が20%上がったという効果も出しています。

3. マーケティングオートメーションを利用した「デジタル×リアルのパーソナライズド・コミュニケーション」

マーケティングオートメーション(MA)は、顧客のWebアクセス履歴や対面の接触・購買データなどから、最適なタイミングでメールなどの送付を自動的に行うことができるため、広く活用されています。
さらに、近年では、MAをDMなどのリアルなコミュニケーションにまでつなげられるようになってきています。これにより、デジタルとリアルの双方のメリットを活かした施策を、一連のフローで自動的に行えます。

たとえば、Webの閲覧ページに沿った内容のメールを配信し、そのメール開封がされた場合には限定情報を載せたメールをさらに送付、開封されなかった場合にはリアルDMを送付しフォローアップするというコミュニケーションを企画したとしましょう。
従来のMAでは、開封者への追加メールまでは自動化できても、未開封者へのリアルDMはMAから未開封者リストを生成し、DMの制作・発送の現場へ人の手を介して連携する必要があります。しかし、新たなサービスの登場によりデジタル・リアルを問わずMAによる自動化が可能になるのです。

メール未開封者へリアルDMを送る
見込み顧客へのアプローチ例

4. まとめ

この記事では、デジタル×リアルのパーソナライズド・コミュニケーションについて解説しました。顧客一人ひとりに合わせパーソナライズした施策は有効ですが、デジタル面だけではなくリアルにまで範囲を広げ、それぞれが持つ特性を活かすことで、より効果的なマーケティングが行えます。最新のデジタルツールによって、デジタル・リアルを問わずすべてを一元管理し、オートメーション化することが可能になりつつあり、より一層、パーソナライズド・コミュニケーションは注目されることでしょう。

デジタルとリアルの垣根を超え、受け手にとって本当にパーソナルなコミュニケーションを目指しましょう。

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