マーケター必見!実在する個人に紐づくデータを集積させ、人単位の情報管理に特化したプラットフォーム「CDP」とは?

近年、マーケティングや広告に携わる担当者らの間で、「CDP(Customer Data Platform:カスタマー データ プラットフォーム)」というキーワードを耳にすることが増えてきたと思います。一方でそのキーワードが定義する意味や意義がよくわからないという担当者も少なくないと思います。

そこで今回はCDPの仕組みや特徴をきちんと整理してご紹介します。加えて、並べて比較される「DMP」との違いについてもご説明します。

目次

1.そもそもCDPとは一体何なのか?
 1-1.CDPの導入目的
 1-2.CDPの要件とは?
2.DMP(データ マネジメント プラットフォーム)と何が違う?
 2-1.DMPについておさらい
 2-2.CDPとDMPとの違い
3.CDP導入の2つのメリット
 3-1.パーソナライゼーション
 3-2.最適なタイミングでの情報提供
4.まとめ「CDP」の今後の展望

1.そもそもCDPとは一体何なのか?

2017年ごろから登場した「CDP」ですが、まだ新しいコンセプトのためその定義はあいまいで、ベンダー目線での一元的な説明を目にすることも多いです。実際に業界として統一された定義は現時点ではないようです。そこでまずは、諸所から収集した情報をもとに、現段階で明らかになっているCDPについてまとめてみたいと思います。

1-1.CDPの導入目的

CDPの狙いは部署、部門ごとにバラバラに管理されている顧客情報の統合です。
簡単に言えば、CDPとは顧客の属性データや行動データなどを収集し、蓄積し、統合するデータサービス基盤となります。具体的に言えば、自社が直接収集した名刺や自社のWebサイトにある問い合わせフォームから得た顧客の氏名、所属企業名、メールアドレス、電話番号といった情報を収集し、より深く顧客を理解した形で、キャンペーンやメルマガなどのマーケティング施策を実施していくことがCDPの役目と言えます。

1-2.CDPの要件とは?

加えて、各所で書かれているCDPの定義を紐解くと、以下の条件を満たす必要があるようです。

  • マーケターによって利用・管理されるもの
  • 外・内部を問わず、該当顧客のあらゆるデータと統合されている
  • 顧客データはユニークIDを持っている
  • 顧客データは位置情報、SNSの情報、商品の購入(POS)情報などのさまざまな情報と結びつけられる
  • 外部システムからの参照、連携も可能


CDPのポイントは、顧客という「実在する個人」に紐づくあらゆるデータを集積させ、従来以上に個人プロファイルを正確に、リッチにしていくという設計思想にあります。つまりCDPとは、部署や部門、本店、支店などでバラバラに管理されていた企業が持つ個人情報の統合、および単純なプロファイルデータだけでなく、関連するさまざまな情報を結びつけることとも言えます。

CDPのポイントは、顧客という「実在する個人」に紐づくあらゆるデータを集積させ、従来以上に個人プロファイルを正確に、リッチにしていくという設計思想にあります。つまりCDPとは、部署や部門、本店、支店などでバラバラに管理されていた企業が持つ個人情報の統合、および単純なプロファイルデータだけでなく、関連するさまざまな情報を結びつけることとも言えます。

2.DMP(データ マネジメント プラットフォーム)と何が違う?

これを読むマーケターの方のなかには、先行して広まった「DMP(Data Management Platform:データ マネジメント プラットフォーム)」との違いを問う声もあるでしょう。事実「CDP」と「DMP」に機能的な差はそれほどありません。ここでは、それぞれの違いについて解説します。

2-1.DMPについておさらい

「CDP」を深く理解していただく前に、まずは対比する「DMP」について整理していきたいと思います。

「DMP」は、自社広告配信などのアクションプランの最適化を目的に、Webサイトなどのサーバーに蓄積されたビッグデータやログデータなどを一元管理、分析するためのプラットフォームのことです。端的に言えば、広告施策のために必要な情報をつぶさに収集することと言えます。このDMPは大きく2種に分類され、ひとつは広告配信先のデータセラーとしての機能を果たすタイプの「オープンDMP」、もうひとつは企業が自社で蓄積したWebログや顧客DBなどの蓄積したデータを利用するタイプの「プライベートDMP」となります。

「オープンDMP」は、Webサイトを訪問したユーザーのデモグラフィック情報(性別、年齢、居住地域、収入、職業、学歴など人口統計学的属性)や、興味・関心、嗜好性などの顧客情報を集約、整理するクラウド型のデータプラットフォームです。

一方の「プライベートDMP」は、上記のオープンDMPの領域に加え、商品の購買情報、ユーザープロファイル、各種プロモーションの結果など企業独自のマーケティングデータを集約し、それを顧客情報とリンクさせたプラットフォームです。こちらは「オープンDMP」と異なり、データ格納先が企業側にあるというところがポイントです。

大別すれば、より詳細なマーケティング施策全般に活用されるため集められた個人情報を持つ「CDP」と、広告施策のために必要な情報を持つ「DMP」となりますが、それでも「CDP」と「プライベートDMP」を同一とみる向きもあります。

2-2.CDPとDMPとの違い

CDPとDMPで大きく異なるのは「ファーストパーティデータ」=「実名データ」と「匿名データ」に対する設計思想だと言えます。
具体的に言えば、DMPは匿名データを各種マーケティング施策で活用しやすいようセグメンテーションします。一方でCDPは同じくデータをセグメンテーションしますが、その中心は個人プロファイルです。言い換えれば、企業が保有する“実在する個人情報”に紐づくあらゆるデータを紐付かせて個人プロファイルを精密に、リッチにしていくという点で同じセグメンテーションでもDMPと大きく異なるわけです。
データを広告に活用するためのプラットフォームがDMP、そのなかに含まれるより細かな人単位の情報管理に特化したプラットフォームがCDPなのです。

3.CDP導入の2つのメリット

CDPとDMPの違いが理解できたところで、次にCDP導入のメリットについてご紹介します。ここではその効果を羅列するのではなく、導入する企業側、サービスを享受する顧客側の視点に立ってご説明します。

3-1.導入企業にとってのメリット:パーソナライゼーション

ご承知の通り、通り一遍の汎用的なサービスが効果を生みづらい現代において、サービスやマーケティング施策のパーソナライズ化は急務。時に、顧客が求めていないサービスやマーケティング施策が失注や企業ブランドの失墜に結びつきかねません。

その点、CDPを導入すれば、Facebook、TwitterなどのSNSやECサイトにおける顧客の行動データを個別に収集し、分析することができるため、顧客が求めているものを探り出しやすくなり、一人ひとりに合わせた的確なコミュニケーションが可能となります。これにより、顧客の信頼度失墜のリスクを軽減できるほか、目検や手作業で個別にカスタマイズしていた工数を軽減できます。

3-2.顧客にとってのメリット:最適なタイミングでの情報提供

CDPは収集したデータをリアルタイムで利用するため、顧客が自社Webサイトに訪問したタイミングで、行動(購入)履歴やメルマガの閲覧状況、SNSでの履歴などをもとに最適な商品情報などを表示させることができます。

これだけ聞くと、「今までもそうだった」という声が聞こえてきそうですが、単に「マーケティング情報を知りたい男性」といったセグメントではなく、「今年の4月にマーケティング部署に配属されたばかりの若い男性社員で、まずは基本的な情報を探している」といった“実在する個人情報”をリッチにしたプロファイルをもとにしているため、より有用で効果的な情報を入手することができるようになるのです。膨大な情報群のなかから、今まさに自分が知りたい情報を、最適なタイミングで得られることは、顧客にとって大きなメリットであり、当然ながらそのサイトのファンになる可能性がより高まります。

4.まとめ「CDP」の今後の展望

調査会社Research and Marketsが2018年9月に発表したCDP市場分析では、「2018年の世界のCDP市場は9億370万ドル、2023年には32億6510万ドルにまで伸び、毎年29.3%の割合で成長していく」と予想するなど、今後の市場の拡大が期待されています。

市場拡大への期待値として、CDPを活用した、企業間の連携、協業も期待できるという各企業の思惑も見え隠れします。自動車メーカーからの「自動車を持っている」、育児用品メーカーからの「乳幼児が家族にいる」という情報をレストランやショッピングセンターなどに共有すれば今までにないトータルでのサービス展開もみえてきます。この動きを敏感に察知し、自社内での活用だけでなく、トータルで顧客を囲い込みするには、いち早くCDPを取り入れておくべきと考えて動いている企業も少なくないはずです。

デジタル化の加速により、個人の情報をリアルタイムで収集し、各種システムに連携できるCDPの重要性は今後より高まり、次世代のマーケティングルールとして欠かせないものとなる可能性を秘めているのです。

※2020年1月時点の情報です。

未来のあたりまえをつくる。®